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【全労連事務局長談話】コロナ感染対策のための「緊急経済対策」の閣議決定にあたって
総花的な対策ではなく、医療体制の拡充と雇用の維持を最優先する対策に-

2020年4月7日
全国労働組合総連合
事務局長 野村幸裕

 政府は本日、「緊急経済対策」(以下「対策」)を決定した。
 民間金融機関を含めた資金繰り対策や法人税、社会保険料の支払い猶予なども含めた事業規模は「108兆円」にのぼると喧伝されているが、「真水」(財政支出)部分は、収入が激減した世帯やフリーランスを含む事業主への現金給付金、6兆円を含む総額16兆5千億円規模にとどまっている。
 この規模では、コロナウィルス感染の拡大の防止と医療体制の拡充や広がっている雇用不安、中小零細企業・事業者の経営危機を回避し、経済危機を招かない対策として不充分である。市民、労働者の生活維持に国が積極的な役割を果たすために、自粛要請と補償は一体との立場を明確にし、賃金・所得補償の仕組みと財政措置の具体化を早期に行うよう求める。

 「対策」は、感染症拡大の収束の目途がつくまでの「緊急支援フェーズ」と、収束後の反転攻勢に向けた「V字回復フェーズ」の二つの段階で構成されている。
 新型インフルエンザ等対策特措法に基づく緊急事態宣言を発出しようという感染拡大局面で、なお経済成長戦略を「対策」に持ち込むことに強い違和感を覚える。
  昨年10月の消費税率引き上げを契機に、景気が後退局面に入っていた上に、感染の世界的広がりが経済に悪影響を与えている。この現状を直視せずに、従来型の成長戦略やマイナンバー活用などを便乗型で盛り込むことは、雇用の維持、安定が中心の経済対策ではないことを示している。

 現段階での喫緊の課題は、とりわけ都市部における医療体制の整備である。
 医療機器や防護具等の備品調達、医療従事者の体制拡充と安全確保に、財政面を含む積極的な支援を行うとともに、感染症対応で必要となる病院等の経費の全額補償を国が行うべきである。また、労働者の介護離職などの事態を広げないためにも、介護事業所への感染症対策費用の支給など介護体制の整備も必要だと考える。しかし、これら点での「緊急経済対策」の内容は、極めて不十分なものである。

 「対策」の目玉とも思える「一世帯30万円」やフリーランスを含む「個人事業主100万円」の給付金は、仕組みが極めて複雑なうえに対象者も限定されており、休業等に追い込まれて困窮している労働者の暮らし支援策とはなりえず、不公平さもぬぐえない。
 また、政府は国会答弁で、緊急事態宣言発令時の労働者の休業について、休業手当金の対象とならないとの見解を示しているが、それでは労働者のくらしは守れない。賃金保障の新たな仕組みの速やかな具体化を強く求める。

 「対策」では、消費税について一言も言及していない。与党の一部を含め野党からも強く声が上がっているように、生活が困窮している市民への効果が大きい消費税減税を、現時点の経済対策から除外することは不適当である。消費税率引き下げの検討を強く求める。あわせて、この間、増加している内部留保の活用や臨時的な課税、高額な資産への課税などには一切触れていない。あらためて、国民生活優先の経済政策の確立を求めていく決意である。

以 上

 
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