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【談話】大企業は社会的責任を自覚すべきだ
- 経団連の2018年経労委報告に対する談話 -

 1月16日に公表された2018年版経労委報告は、「賃金引き上げをめぐる動向は明らかに潮目が変わりつつある」と述べた。その理由として、企業全体の収益は過去最高を更新し続け、賃上げへの社会的な要請・期待感の高まりに触れた。そして、2018年春闘では、「賃金引き上げのモメンタム(勢い)の一層の強化に努め」るとした。報告が、GDPの6割を占める個人消費が「力強さに欠け」る一方で、企業全体の収益が「過去最高を更新し続けていることを認め、「利益剰余金を過剰に増やすようなこと」は許されない」としたことも含め、大企業への富の偏在を告発、批判し、すべての労働者の賃上げこそ内需拡大の鍵だと要求し続けた我々の主張に、財界が耐えきれなくなった結果にほかならない。それは、労働者の賃上げ要求を拒む口実の破たんをも意味している。
 報告が、個別企業の労使関係に埋没して、すべての労働者や下請け企業への大企業の責任に目を向けていないことの問題点にも目を向け、暮らし改善を求める「月額20000円以上、時間額150円以上」の統一要求の正当性に確信を持ち、すべての労働者の賃金改善の旗を高く掲げて2018年春闘を全力でたたかおう。

 経労委報告は、その第1章で「働き方改革の推進と労働生産性のさらなる向上」を取り上げ、その推進に強い決意で臨む姿勢を示している。
 GDPで示される日本社会全体の付加価値を高めることと、個別企業における労働者個々人の働き方とかかわる労働生産性の向上を意図的に混同し、少子高齢化や情報技術の発展も口実にして、雇用によらない働き方を含む多様な働き方や、労働時間によらない働き方への転換を強行しようという意図に貫かれている。述べられる対策は業務の効率化(合理化)や無駄な業務の廃止(リストラ)という「合理化」であり、政府・財界が進める「働き方改革」の狙いが吐露されている。
 個別企業での労働生産性が向上し、同質の商品をより安価に生産して競争力が高まっても、価格が低下すれば付加価値は高まらない。報告では、中小企業に対し、「大規模製造業の改善ノウハウ」を応用したムダの徹底的な削減を求めているが、大企業による下請けたたきの悪習にこそメスを入れるべきである。
 これまでも繰り返されてきたリストラ「合理化」の言い換えである「生産性向上のための働き方改革」の欺瞞を追及し、8時間働けば暮らせる社会の実現要求を対峙した取り組みを職場と地域の双方で強めよう。

 報告は第2章で、雇用・労働分野における諸課題として、労働時間、非正規雇用、最低賃金の三課題を取り上げている。いずれも、社会問題化し我々も強く改善を求めている課題である。
 報告は、政府が通常国会に提出しようとしている過労死促進、残業代ゼロ法案の成立を求めている。また、労働時間法制改悪を見込んだ対応や、格差の固定化になりかねない「同一労働同一賃金」ガイドラインや労働契約法18条の無期雇用への企業の立場での対応マニュアルの内容となっている。
 一日8時間、週40時間労働や雇用の安定を目指す姿勢は微塵もなく、非正規という呼称を「パート・有期・派遣労働者(社員)」と言い換えることで、非正規をなくすという安倍政権の要望に応えるという姿勢の姑息さが際立つものとなっている。
 通常国会に提出予定の「働き方改革一括法案」の狙いと危険性を学び、伝え、労働者保護の規制緩和に反対する運動と世論を早急に高めよう。

 経労委報告は、大企業が個別企業の儲け拡大と生き残りにのみ関心を向け、政府の賃上げ要請にこたえるポーズを示しつつ、さらなる富の収奪のための仕組みづくりを進める宣言ともなっている。その点を直視し、労働者の要求実現のためにも、2018年国民春闘のたたかいでも大企業の社会的責任追及を強める決意を表明する。

 2018年1月17日

全国労働組合総連合
事務局長代行  橋口紀塩

 
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