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【談話】「共謀罪」創設に反対し、法案提出中止を求める

2017年2月7日
全国労働組合総連合
事務局次長  橋口紀塩

 安倍政権は、「共謀罪」を創設する法案の国会成立にむけた動きをつよめている。「共謀罪」は、思想・良心・言論の自由を侵す危険な法案であることから、過去3度にわたって国民の大きな反対の声により廃案にされてきた。その「共謀罪」を、名前を変えて、今国会成立を強行しようとする安倍政権の企みに対して、全労連は強く抗議する。「共謀罪」創設に反対し、法案の国会提出中止を強く求める。

 「共謀罪」は、犯罪を実行していないのに、話し合い、合意しただけで犯罪とするものである。「犯罪の実行行為を処罰し、思想や内心の意思を処罰しない」という近代刑法の基本原則を根底から破壊するものであり、さらに、自由に考え討議する民主主義の土台を揺るがすものである。
 政府は、「共謀罪」の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」と変え、テロ対策を装っている。「『国際組織犯罪防止条約』の批准のために必要だ」と言うが、この条約は、国際マフィアを取り締まる条約であり、テロ対策とは関係ない。そして、日本はテロ防止に関する国際条約13本すべてをすでに締結し、国内法も整備している。現行法で摘発は可能であり、「テロ対策」との強弁には何ら根拠がない。
 しかも、「共謀罪」が適用される犯罪の対象の多くは、「テロ」とは関係のないものである。対象犯罪を減らすことが議論されているが、対象を限定しても、その危険性に変わりはない。
 また、「『組織的犯罪集団』を処罰するものであり、一般人は対象外だ」と言うが、「組織的犯罪集団」の判断は捜査機関にゆだねられており、労働組合や市民運動も捜査対象にされかねない。
 さらに、捜査のために会話や電話、メールまで監視される危険性がある。すでに強行された秘密保護法、盗聴の拡大や司法取引の導入に加えて「共謀罪」を創設すれば、モノ言えぬ監視・密告社会を生み出す危険が高まる。「戦争する国」づくりと一体の「共謀罪」の創設は断じて許されない。

 戦前、「労働運動は拘束されない」と説明して、治安維持法が制定された。しかし、実際は、労働運動、宗教者、リベラリスト、学生サークルと、弾圧の対象は際限なく広げられ、その結果、「戦争反対」を口にすること、心の中で「戦争はイヤだ」と思うことさえ弾圧され、日本は戦争へとまっしぐらに突き進んだ。この痛苦の歴史を再び繰り返してはならない。
 「共謀罪」の創設は、労働組合や市民団体の運動を委縮させること、国民が声を上げることを封殺することに、その狙いがある。労働運動や市民運動を根底から破壊する違憲立法「共謀罪」の創設を許してはならない。すべての職場・地域で学習・宣伝行動にとりくみ、急速に世論を高め、共同を広げ、「現代の治安維持法」とも言える「共謀罪」創設を葬り去るために、全労連は奮闘する決意である。

 
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