TOP 全労連紹介 ニュース オピニオン 労働法制 賃金闘争 憲法・平和 くらし・社会保障 非正規全国センター 全労連共済 青年 女性 English
 
BACK
TOP
オピニオン
 

【談話】雇用保険法等の改正法案の成立にあたって

 昨日3月29日、雇用保険法等の一部改正法案が参議院で可決され、成立した。
 成立した法案は、雇用保険だけでなく、育児・介護休業法や男女雇用機会均等法、高齢法など、多岐の内容にまたがる一括法案であり、しかも予算関連法案として短期日の審議で年度内成立が図られたことから、極めて不十分な議論に止まったといわざるを得ない。強い遺憾の意を表すとともに、その主ないくつかの点について、以下のとおりコメントする。

 まず、第一は、失業等給付に係る雇用保険料率の引き下げについてである。安倍政権は、雇用情勢は「着実に改善」しているとして、料率引き下げを正当化したが、この基本認識そのものが間違いだと指摘しなければならない。数字上は求人数の増加や求職者数の減少が認められ、失業率も低下したが、求人の大半は今も低賃金の非正規・不安定雇用であり、再就職の現実は依然として困難である。
にもかかわらず、失業率が低下しているのは、蓄えの乏しさ、生活困窮ゆえに質の悪い仕事にも飛びつかざるを得ない人が多いからだ。裏を返せば、失業等給付の不十分さが、失業者らに拙速な就労を強い、ブラック企業を助長しているのである。失業等給付は、雇用保険財政の悪化を理由に2000年以降、改悪が重ねられてきた。保険財政に余裕が出たというのなら、少なくともそれを元に戻し、さらに、非正規雇用労働者の増大や格差と貧困の加速度的な拡大を踏まえた改正が議論すべきであった。全労連は今後も、失業時保障の拡充、それを通じた良質な雇用の増進を積極的に提言し、実現を求めるとりくみを強化していく。

 第二は、育児休業の要件緩和や介護休業の分割取得・休業給付の給付率引き上げ等、また、マタハラ対策の強化については、いずれも若干の改善ということができる。しかし、安倍政権が「1億総活躍社会」を唱え、希望出生率1.8や介護離職ゼロを掲げていることからすれば、極めて不十分な内容といわざるを得ない。改正内容のほとんどは来年1月施行であり、一括法案にまとめる必要もなかったのであり、安倍政権の本気度が問われると批判されねばならない。安倍政権は5月にも「1億総活躍プラン」を取りまとめるとしているが、全労連は引き続き、男女ともが人間らしく働き続けられる社会を実現するために、労働時間の短縮・上限規制や雇用の安定、育児・介護の制度拡充などを強く求めていく。

 第三は、シルバー人材センターの業務の一部に週40時間までの就労を可能とする点である。これは、シルバー人材センターが生きがい事業として最低賃金等の規制の外に置かれていることからすれば、原則を曲げる大改悪であり、とうてい認めることはできない。しかも、ガイドライン等の具体的な内容も示されないなかでの成立であり、それが4月1日には施行される。混乱は必至であり、今後も厳しく追及していく。同時に、今国会では“奴隷労働”とも批判される外国人技能実習制度の要件緩和の法案も出されているが、結局のところ、安倍政権の本音が、高齢者や外国人、さらには女性や若者を低賃金の不安定雇用に駆り立てる(こき使う)ことで、深刻化する労働力不足を糊塗しようという点にあることを示すものといわねばならない。これでは、雇用はさらに不安定化し、内需縮小・経済悪化の悪循環がいっそう深まることになる。全労連は暮らしの安定こそ日本経済再生の道であることを強く訴え、低賃金・使い捨てが当たり前の安倍政権の雇用政策の抜本的な転換を求めるとりくみと共同を強めていく。

 2016年3月30日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

参考資料:成立した改正法の概要(PDF622KB)

 
〒113-8462 東京都文京区湯島2−4−4全労連会館4F TEL(03)5842-5611 FAX(03)5842-5620 Email:webmaster@zenroren.gr.jp

Copyright(c)2006 zenroren. All rights reserved.