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【談話】2015年人事院勧告について

 人事院は昨日6日、2015年度の国家公務員給与に関する勧告をおこなった。
 民間給与との比較で、月例給で0.36%(平均1,469円)、一時金で0.10月下回っているとして、昨年に引き続き俸給表の水準と一時金の引き上げを勧告した。初任給を2,500円引き上げ、若年層を同程度改善し、高齢層も含めすべての俸給号俸を引き上げた。24年ぶりの2年連続引き上げは、公務・民間が一体となったねばり強いたたかいの貴重な到達点である。

 しかし、物価上昇下での生活実態の悪化や内需拡大の必要性を踏まえた実質賃金の引き上げ要求や2015年国民春闘全体の到達点からみれば、公務労働者の暮らしをかえりみない極めて不十分な引き上げといわざるを得ない。また、2014年勧告によって本年4月から「給与制度の総合的見直し」で平均2%、高齢層では最大4%も賃金が削減され、経過措置として支給額が据え置かれているもとで、実際には多くの公務労働者が引き上げにならない。

 くわえて今次勧告では、「給与制度の総合的見直し」に盛られた「地域間格差の拡大」に関して、3年間の段階的実施からの前倒し実施が打ち出されたが、認めることはできない。賃金の地域間格差は現状においても、若年労働者の地方からの流出を招き、地域経済が衰退する要因となっており、その是正こそが民間労働者や地域の事業者、自治体の切実な声である。同時に、公務員給与における職務給の原則をゆがめ、人事異動に弊害を引き起こすものでもある。

 人事院はまた、すべての職員を対象に「フレックスタイム制」の導入を勧告した。しかし、労働者が自ら出退勤時間を管理できるものとされている民間労働者の制度とは異なり、公務労働者の場合は、窓口業務や他の機関との調整、国会対応等によって勤務時間が大きく左右される。それが、超過勤務の実効ある削減がすすまない要因ともなっている。そうしたもとでの一方的な「フレックスタイム制」の導入は、実際の労働時間を変えずに時間外手当だけを削減するものにならざるを得ない。さらに、安倍政権が「高度プロフェッショナル制」など「労働時間に関係なく成果で」はかる賃金制度を提唱し、改悪法案を提出しているもとで、8時間労働制の大原則を先行してなし崩しにするものでもある。

 人事院は、労働基本権制約の代償機関である。そうであるなら、公務労働者の切実な要求に正面から向きあい、職員からの信頼を取り戻す本来の役割発揮をめざすべきである。
 全労連はあらためて、「給与制度の総合的見直し」と「フレックスタイム制」の中止・撤回を強く求める。また、非常勤職員の処遇を早急に改善するとともに、定年延長、再任用・再雇用問題を検討するにあたっては、その社会的な影響の大きさもふまえ、ひろく利害関係のある労働組合の意見を聞き、慎重な検討をおこなうべきである。憲法とILO勧告にもとづいて、公務労働者の労働基本権を早急に回復するよう強く要請する。

 2015年8月7日

全国労働組合総連合
事務局長 井上 久

 
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