TOP 全労連紹介 ニュース オピニオン 労働法制 賃金闘争 憲法・平和 くらし・社会保障 非正規全国センター 全労連共済 青年 女性 English
 
BACK
TOP
オピニオン
 

【談話】「アベノミクス」のこれ以上の強行は、国民を苦しめるだけだ
−「骨太の方針」、「日本再興戦略」の閣議決定にあたって −

 本日の臨時閣議で政府は、経済財政運営の基本指針(骨太の方針)とこれと一体的な関係にある「日本再興戦略」(成長戦略)の改訂を決定した。
 安倍政権が進めたアベノミクスで「日本経済の好循環が動き始め(た)」(骨太の方針)と自画自賛し、「好循環」を引き続き回転させていくためには、「『稼ぐ力』を強化していくことが不可欠」(成長戦略)との立場で、諸施策の具体化を提起している。
 アベノミクスの1年間は、「異次元の金融緩和」や多額の公共投資の効果が一部大企業に滞留し、労働者や中小零細企業には「しずくの一滴」も落ちない状態で推移した。そのことは、労働者の基本賃金(所定内賃金)が2014年4月も前年比で低下し、25か月連続減となっていることからも明らかである。
 アベノミクスで企業部門に富が集中する構造が強まった流れを、引き継ぎ強化する目的で決定された「骨太の方針」等は、「企業栄えて民滅ぶ」状態をいっそう深刻にさせるものである。

 「骨太の方針」でも、「日本再興戦略」でも、課題の筆頭に、雇用、賃金などの労働課題をおき、その構造改革(規制緩和)を具体策として掲げている。
 より具体的には、(1)労働力不足を口実に、女性労働力の活用を掲げ、雇用の流動化や配偶者控除の廃止など税制・社会保障制度改革を「女性の活動促進策」として位置づけること、(2)企業の雇用維持の義務を軽減する目的で、多様な正社員制度の普及やフレックスタイム制の見直しに加え、時間ではなく成果で評価される働き方に相応しい労働時間制度を創設すること、(3)投資促進を口実に予見可能性の高い紛争解決システム(=解雇の金銭解決制度)を検討すること、(4)建設業や介護労働、家事労働への外国人労働者受け入れを拡大すること、などである。
 「稼ぐ力」とは言うまでもなく、大企業の儲けの場、儲けの自由を拡大することである。その第一の課題に雇用や賃金をおくことは、企業にとって都合のいい働かせ方を労働者に強いるものである。女性や外国人労働者の活用もその域を出ていない。

 「骨太の方針」などの重点課題の今一つは、法人税減税におかれている。2015年10月からの消費税率10%を既定の路線とし、大企業優遇税制を温存したまま法人税率引き下げを行う一方で、財政再建も同時に進めることが宣言されている。
 その財政再建の中心は、社会保障費の抑制・引き下げにおかれ、医療、介護、年金の給付削減、提供体制の合理化、営利化が強調されている。
 すでに、日本の社会保障は、すべての国民に健康で文化的な最低限の生活を保障しがたくなっている。にもかかわらず、「骨太の方針」では、税制・社会保障制度による再配分機能を解体させ、富を大企業に集中させる道を一気に拡大しようとしている。

 以上のような雇用と社会保障に対する攻撃のほかにも、企業活動のための人材育成、確保も目的にした「教育再生」、司法が不十分だと指摘した規制基準による原発の再稼働、経済社会基盤としての「積極的平和主義」の位置づけなど、多くの国民が反対の声を上げ続けている課題についても強行突破の姿勢があからさまである。

 全労連は、「骨太の方針」、「日本再興戦略」の閣議決定に強く抗議する。労働者、国民にとっても百害あって一利もなく、大企業のためのものにほかならない「骨太の方針」の具体化に強く反対し、安倍暴走政治との真正面のたたかいをいっそう強める決意を表明する。

 2014年6月24日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
〒113-8462 東京都文京区湯島2−4−4全労連会館4F TEL(03)5842-5611 FAX(03)5842-5620 Email:webmaster@zenroren.gr.jp

Copyright(c)2006 zenroren. All rights reserved.