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【談話】国民の目と耳をふさぐ「秘密保護法案」に断固反対する(談話)

 政府は10月25日、特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出した。
 同法案に対するパブリックコメントは9万件をこえ、その77%を反対意見が占めていた。法案要綱を示してからわずか2か月という短期間に、国民主権の行使を担保する「知る権利」の侵害が懸念される重要法案を国民の強い反対を押し切って決定したこと自体が大問題である。
 後述するように、法案の内容は、軍事、外交とテロ対策などの治安分野にかかわる政府の情報を広範囲に秘匿し、国民監視の目から遠ざけようとするものである。その目的を達するために、違反行為について高額な罰金と10年の懲役という重い刑罰を準備することで、国民の行政情報へのアクセスを自粛させることも狙われている。
 全労連は、パブリックコメントでも絶対反対の意見を表明した。法案決定の経過、内容ともに民主主義の根幹を脅かすものであり、改めて抗議し、撤回を強く要求する。

 法案は、次の点で国民の基本的人権や主権者としての行動を制限するものである。
 第一に、秘密の指定は政府が恣意的、一方的に行うこととされており、「何が秘密かが秘密」という組み立てになっていることである。
 例えば、自衛隊の装備について監視することは、主権者としての国民の当然の権利である。しかし、法案では、自衛隊の装備が「特定秘密」とされ、自衛隊の装備情報にアクセスし、あるいは基地監視の中で情報を収集することまでもが「特定有害活動」とされ、罪に問われる恐れが強い。

 第二に、「特定秘密」とされた事項が漏洩したときの処罰の対象は、公務員にとどまらず、国会議員や関わりのある民間企業の労働者など広範囲に及ぶことである。その点で、国民の口を塞ぐ法律となることも強く懸念される。
 例えば、法案では「特定秘密」に関する国会審議について「秘密会」とすることを求めており、「秘密会」で審議された内容等を漏洩すれば、国会議員も罪に問われることになる。民間企業で軍事関連や原発関連産業にはたらく労働者も、本人が知らないうちに「特定秘密」情報に触れ、漏洩の罪に問われることになりかねない。

 第三に、「特定秘密」を知る者に対して情報の提供を求めることは「特定取得行為」として処罰の対象とされていることである。
 国民が、例えば、防衛省や外務省に対して情報の公開を求めて交渉し、あるいは請願することも法違反とされ拒否されることや、その行為自体が処罰の対象となることが懸念される。

 第四に、「特定秘密」に指定された情報を扱う公務員、民間企業の従業員に対し、「適正評価」の口実で、病歴や経済状況、活動状況などプライバシーを侵害する調査が規定されている。
 国家による個人情報の管理は明らかな人権侵害行為だが、それが「特定秘密」という曖昧な根拠で合法化されるという重大な問題である。

 国民の目と耳を塞ぎ、政府の暴走を監視する主権者の権利を抑圧する特定秘密保護法案を断じて成立させてはならない。
 政府は、短期間の国会審議で法案を成立させようとしており、成立阻止のたたかいが緊急に求められている。法案成立阻止の一点での国民運動に結集し、総力を挙げてたたかうことを全国のはたらく仲間に強く訴える。

 2013年10月28日

全国労働組合総連合
事務局長 小 田 川 義 和

 
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