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【談話】2013年人事院「勧告」について

 本日8日、人事院は、公務員給与及び公務員制度に関する報告と、「配偶帯同休業制度」に関する意見の申し出をおこなった。
 昨年の「勧告」に引き続き、月例賃金については官民較差が極小で、期末・勤勉手当(一時金)については官民の支給月数が均衡しているとして、いずれの改定も見送った。諸手当等の改定も行わないことから、1960年に現行の官民比較が始まって以来はじめて、勧告が行われなかった。
 公務員労働者の賃金、労働条件改善を人事院の勧告等に委ねる「人事院勧告制度」が、制度的な限界にきていることを示す結果である。

 国家公務員労働者の賃金は、特別措置法により、平均7.8%の賃金カットが2012年4月から実施されている。法律による賃下げが強行されているもとで、労働基本権の代償措置とされる人事院勧告には、4月1日時点の官民賃金の実額較差を正確に反映させる「ルールの遵守」が強く求められていた。
 しかし人事院は、昨年と同様、架空の額である俸給表に示される給与額と民間賃金実態調査の結果を比較し、較差が極小であるとした。このような人事院の較差算出は、自らが定め、長年定着してきた官民賃金比較方法のルールを恣意的に捻じ曲げる不当なものである。
 同時に、人事院勧告の影響を直接的に受ける約630万人の公務労働者や、国家公務員賃下げを口実に賃金抑制やカットの攻撃をかけられている民間労働者の「既存のルールにそった勧告」要求にも背を向けている。
 要求に背を向け、ルールを無視し続ける人事院に、強く抗議の意思を表明する。
 なお、人事院が使用しなかった実額での官民賃金比較の結果は、国家公務員の賃金が不当に7.8%も引き下げられていることを明らかにしている。人事院はこの点をふまえ、政府に対し、賃下げ特措法の早急な廃止を求めるべきである。

 人事院は報告で、給与制度の総合的な見直しに言及した。
 人事院には、今後の検討にあたり、国家公務員賃金の社会的影響の大きさをふまえ、広く利害関係を有する労働者等の意見を反映するよう求めたい。
 特に、60歳代前半の雇用が、官民ともに部分就労・部分年金を前提とする再任用・再雇用等の形態で進められ、暮らせる所得の保障が困難になっている現状をふまえ、規範性のある高齢者賃金の水準提示を求めたい。
 また、地域間の賃金格差が経済を疲弊させ、地域での労働力確保を困難にするまで拡大し、格差是正を求める声が高まっていることに留意した検討を求めたい。地域間給与配分のあり方検討では、国家公務員賃金の地域間配分の枠内にとどまることなく、その影響をふまえた慎重な検討を行うよう求めたい。

  2013年8月8日

全国労働組合総連合    
事務局長  小 田 川 義 和

 
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