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【意見】内閣官房TPP対策本部の意見募集に対して提出したTPP交渉参加に関する全労連の意見

1.組織名 全国労働組合総連合(全労連)

2.代表者 大黒作治(議長)

3.提出意見

 全労連はすべての物品を対象にした関税の撤廃と、非関税障壁を口実にあらゆる分野で制度の改変を迫る可能性があるTPPの参加には反対である。以下分野別に個別の意見を記述する。

(物品市場アクセス)
 原則関税撤廃というTPPの目標から、関税自主権、食料主権の放棄につながる危険性を持ち、農林漁業や地域地場産業、中小零細企業の経営とそこに働く労働者の雇用に甚大な影響が懸念される。
 大多数の労働者は、国境をこえて移動することは不可能であり、国内での安定した良質な雇用の確保が求められる。しかし、政府の諸施策の中には雇用の流動化策は強調されるものの、雇用安定や雇用の質の向上をめざす施策は薄く、激化するグローバル経済のもとでの労働者保護の施策はほとんど見受けられない。
 このような状況で、国内市場を全面的に開放する全面自由化には反対であり、日本はTPPに参加すべきではない。
 国民のいのちと健康にかかわる医薬品などのアクセスについても同様の観点で反対を強く主張する。

(原産地規則)
 遺伝子組み換えなどの規制を弱めることは、国民の健康にかかわる選択の自由を侵害することにもなりかねず、現状より弱められることには反対する。
 TPPへの参加が原産地規則の緩和を条件にしているのであれば、交渉参加を取りやめるべきである。

(政府調達)
 政府・自治体が独自に定める地元発注条件など、地域産業と雇用維持を目的とする運用がTPP交渉参加によって改変されることには反対する。
 また、英語での入札公示義務など、過度に煩雑な基準を押しつけられるべきではない。
 さらに、公契約を通じた雇用の最低保障の前進等をめざす公契約条例など自治体独自の調達ルールは維持、前進すべきものである。国際労働基準でも認められる生活できる労働条件の最低基準を底上げする地方政府の取り組みが阻害される危険性があるTPP交渉には参加すべきでない。

(競争政策)
 国有企業などに特化して議論がされているが、外国企業の日本市場への参加促進を口実に、自主共済や非営利団体の事業や基金などの活動を規制し、あるいは一般営利企業と同様の課税条件などを課すことには強く反対する。TPPのこれまでの議論では、「国有企業」の範囲が明確でなく、非営利団体の事業などに思影響しかねないことを強く懸念する。

(金融サービス)
 共済など労働者、市民の自主的な取り組み、協同事業が規制の対象となることに反対する。

(投資)
 ISD条項については、海外投資家・企業の利益が法的に日本国民よりも優位になることが想定され、国民主権を著しく侵害する仕組みであることが明らかである。同条項をTPPに盛り込むことに日本政府は強く反対すべきである。

(労働)
 ILOの基本8条約(結社の自由、差別禁止・均等待遇、強制労働禁止、児童労働禁止)が明文化されることを強く求める。自由貿易が促進される中で、共通の最低限ルールとして上記の条約などは厳守されるべきであるが、TPP交渉国の中には、基本条約すら批准できない国も多い。日本も例外ではなく、2条約(105号、111号)が未批准である。
 労働条件引き下げ競争に労働者を追い立てるべきではなく、自由貿易と労働者保護とを両立させ、調和を図る立場を明確にする最低限の条件として、基本8条約の批准を義務化すべきである。

(以上)


・意見提出の宛先アドレスは、jouhou.tpp2@cas.go.jp です。
・締め切りは平成25年7月17日(水)17時です。
・意見提出の案内などは下記の内閣官房TPP対策室Webページを参照ください。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo.html#setsumeikai 

 
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