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【談話】労働組合がルール破りを「要求」する愚挙を批判する
− 2011年人事院勧告の取り扱いをめぐる連合会長発言にかかわって −

 10月11日、連合の古賀会長は野田首相に対し「(2011年度人事院勧告について)受けるべきではないし、実施すべきではない」と要望したと伝えられている。
 連合会長の発言は、本年5月23日に連合傘下の公務員労働組合と政府・総務省との間で、国家公務員賃金引き下げに「合意」し、実施のための「賃下げ法案」と一体で公務員労働者の協約締結権を回復する国家公務員制度改革関連法案の成立を求める立場から行われたものと考えられる。
 連合傘下の公務員組合が政府に対して同趣旨の要求を繰り返している事実があり、連合会長の発言も、傘下組合の要求を代弁したとの主張もあるかもしれない。しかし、すべての労働者の権利と利益に目を向けるべきナショナルセンターの代表者が、法のルール無視を政府に迫り、賃金引き下げという不利益変更を主張することは明らかな逸脱である。ルール破りを「要求」する連合会長の愚挙を強く批判し、抗議する。

 主要な問題は二点である。
 一つは、今日の時点での国家公務員の賃金決定ルールは、人事院勧告制度が唯一のものであるということである。それ以外のルールは存在せず、人事院勧告を意図的に実施しないことは、政府による労働基本権侵害にほかならない。労働者の権利実現に努力すべき労働組合が、労働基本権の形骸化を主張することがあって良いはずはない。
 二つ目は、政府の賃下げ提案に、全労連傘下の日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は同意しておらず、一方の当事者である連合・公務員連絡会のみとの合意で「賃下げ法案」が提出された事実である。
 国家公務員の労働組合の組織率は、全労連と連合のそれぞれの系列が拮抗し、連合・公務員連絡会が国家公務員労働者を代表しているとは言えない。
 一部の労働者しか組織していない一部の労働組合との合意のみで、労働条件の不利益変更を行うことは、団結権を侵害し、労働基本権を侵害する行為にほかならない。一方の労働組合に対する不当労働行為でもある。これらの点をふまえない連合会長の主張は、独善と言わざるをえない。

 全労連は、本年9月30日の人事院勧告の際にも主張しているよう、政府は賃下げ法案を撤回し、人事院勧告をもとにした労使交渉を尽くして給与法改正法案を提出すべきだと考えている。それが、現行制度と公務員制度改革関連法案が提出されているという現状をふまえた政府としての最善の対応策だと考える。野田政権の冷静で慎重な対応を強く求めるものである。

 2011年10月21日

全国労働組合総連合
事務局長  小田川 義和

 
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