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2010年8月6日

【談話】目安を乗り越え、生活できる最賃の実現を
- 中央最低賃金審議会目安答申にあたっての談話 -

全国労働組合総連合 事務局長 小田川義和

 本日、中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に対し、2010年度地域別最低賃金額改定の目安を答申した。その内容は、A、B、C、D各ランクとも10円の引き上げを基本としつつ、最低賃金が生活保護水準を下回っていると審議会が認定した都道府県については乖離幅の解消を優先し、乖離額の大きい地方については、解消年限を1年延長するなどのものであった。
 この結果、今年度の最低賃金改定の目安額は、全国加重平均で15円となった。時間額表示となった02年以降で初めてDランク地方の目安額を二桁に乗せ、上位ランクと同額として地域格差の拡大を抑制したことや、中小企業の賃金改定状況がマイナスを示す中での二桁改定であることなどは、単産、地方組織のこの間の奮闘を一定反映したものである。
 しかし同時に、ワーキングプアの解消や均等待遇への接近、消費購買力向上による景気回復を求める立場からの「時給1000円」要求には程遠く、現行最低賃金法の限界が、あらためて明らかになったと言わざるを得ない。

 今年の審議は、雇用戦略対話の「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」との政労使合意ををふまえた諮問を受けて開始され、労働者側は3年で全国800円の実現を主張した。これに対し、使用者側はその合意を骨抜きにしようと、中小企業への景気回復の波及の遅れや中小企業支援策が具体化されていないこと、合意の前提とされる「名目3%、実質2%を上回る経済成長」が未達成であることなどを繰り返し、引き上げの目安答申に頑強に抵抗した。そのため、審議会は異例の長期戦となり、最終的には公益委員が先述の内容を提案して答申が取りまとめられた。
 使用者側委員の主張は、内閣府の経済成長率予測が実質2.6%と合意の前提を上回る水準を展望し、かつ、名目成長率が実質を下回るデフレ経済の克服を課題としている中、中小企業が景気回復を実感できるようにするためには、雇用と所得の改善、とりわけ最低賃金の引き上げが必要であるという視点が欠落している。また、2007年時点で働く貧困層が641万人にも上るという厚生労働省研究班の調査結果や、政府のナショナルミニマム研究会で明らかにされた生活保護基準未満の低所得世帯数が相当数に上るという申告な事態を軽視している。
 最低賃金を抑制し続けることは、内需に依存する中小零細企業の経営をさらに困難にし、貧困と格差をより深刻化させ、社会不安を拡げることになる。使用者には、企業の社会的責任の自覚を強く求めたい。

 全労連は、今年の最低賃金引き上げの取り組みを、春闘時の最賃請願署名と国会議員要請行動からスタートさせ、最賃を政治課題に押し上げるべく奮闘した。中央・地方で数次にわたり、公務・民間一体の統一行動を配置し、単産・地方組織での署名や街頭宣伝、最低賃金審議会への意見書提出を行った。また、「最賃生活体験」、「生活保護を活用した最低生計費算定法の検討」、東北、静岡、九州における「最低生計費試算」など、生計費原則に焦点をあてた取り組みも展開した。
 加盟各組織においては、今回の目安が私たちの運動を一定反映するものであることを確信に、来週からスタートする地方最低賃金審議会に向けた要求行動などに取り組み、目安の不十分さを突破して地域別最賃の大幅引き上げを勝ち取るよう、山場の奮闘を呼びかける。
 また、政府に対しては、目安答申にも記されているとおり、低すぎる今の最低賃金の大幅引き上げを円滑に達成するための中小企業支援や、政府発注の事業・業務委託・調達における賃金底上げに向けた必要な措置を講ずるよう、要求する。

以 上

 
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