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【談話】菅内閣の発足にあたって

 6月4日の国会で指名された菅直人首相は本日8日、組閣をおこない、新内閣を正式に発足させる。しかし、新政権は鳩山前首相の辞任を受け、国会内の「数の力」で誕生したものであり、政権のたらい回しに外ならず、国民の負託を得たものとは言えない。
 1か月余りに迫った参議院選挙で国民が審判をおこなうことが必要だが、それを念頭に、発足した菅政権に対する現時点での評価を明らかにしておく。

 新政権は、鳩山前首相のもとでの民主党支持率の急落を受け、参議院選挙にむけた「看板かけかえ」のために発足した。新首相への期待感から、首相指名直後の世論調査では、参議院選挙で民主党に投票するとの割合が軒並み急増している。
 しかし、次の点から、冷静に見ていく必要がある。

 一つは、菅首相は、民主党代表選への出馬にあたって、「米軍・普天間基地の県内移設」の日米合意を「踏まえる」と述べていることである。この問題は、鳩山前首相辞任の直接の契機になっただけでなく、民主党政権の基本的な姿勢が問われる課題である。
 沖縄県民や国民に対する党の公約を踏みにじってまで外国政府との合意を重視する姿勢は、自民党政権時代と変わらない旧態依然としたものに外ならない。限界点に来ている沖縄県民、国民の怒りに背を向けるものと言わざるを得ない。

 二つには、新政権では、官房長官に先の戦略担当大臣を起用し、財務大臣には前副大臣を昇格させ、多くの閣僚を前政権から引き継ぐなど、政策面での大きな変更は期待できない布陣となっている。むしろ、事業仕分けで名をはせた議員を入閣させ、国会運営の要である民主党幹事長に起用するなど、新自由主義改革、「構造改革」への回帰さえ懸念される内閣と党の体制と言える。
 前政権は、国民の期待を裏切り、後期高齢者医療制度廃止の先送りや抜け穴だらけの労働者派遣法「改正」法案の提出など、「構造改革」からの転換に消極的な姿勢に後退した。また、新成長戦略策定過程の論議にもみられるように、企業の競争力強化を最重視する政策への回帰を強めていた。
 これら一連の公約破り、政治姿勢が国民の反発を呼び、退陣に追い込まれたのであるが、菅新政権も、国民の期待に反する「構造改革」の継続、推進の立場に立つのではないかということが強く懸念される。

 貧困と格差の拡大、雇用不安や中小零細企業の経営不安のひろがり、宮崎県での口蹄疫問題にもみられる食の安全の問題、高止まりした自殺者の状況など、いま国民はくらしへの不安を強め、国民目線の政治の実現を求めている。菅政権が、民主党の参議院選挙対策を目的とした「選挙管理内閣」としてではなく、民主党政権誕生に寄せられた国民の期待に立ち返り、「構造改革」と決別し、対等な日米関係の構築にむけた施策を具体化するよう強く求める。

2010年6月8日

全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

 
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