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【談話】国家公務員法「改正」法案の閣議決定にあたって

 鳩山内閣は本日、政治主導による人事管理強化と公務員の「天下り」(再就職あっせん)規制をめざした国家公務員法「改正」法案等を閣議決定した。
 法案は、内閣人事局設置による幹部職員人事の一元管理、「降任」を含む幹部職員人事の弾力化をすすめることや、国家公務員の「天下り」規制強化のために、官民人材交流センターおよび再就職等監視委員会を廃止して、民間人材登用・再就職適正化センターおよび再就職監視・適正化委員会を新設することなどを内容としている。

 この10年間、公務員制度改革は、政治主導の確立などを口実に、歴代政権の中心的な政治課題であり続け、政治が「改革」を競い合う状況が繰り返されてきた。その結果、憲法第15条に規定される「(国民)全体の奉仕者」という公務員の本質の具体化よりも、時の政権に隷属する公務員づくりを強く意識した「制度いじり」となり、政権交代を前提とした議院内閣制のもとでの職業公務員の政治的中立性の確保という大目的が軽視される状況となっている。
 今回の法「改正」でも、閣議決定直前になって、事務次官から部長級までの幹部公務員の標準職務遂行能力を「同一」であるとみなして、実質的な「降任」を転任と言いくるめる「改正」事項が、政治の力によって付加された。
 新政権となっても、公共事業の「箇所付け」を通じた政権党によるあからさまな利益誘導と思える事態がおきているが、人事管理等を通じた行政への過度な政治介入は、利権構造を生み出しやすいことは、歴史が物語るところである。そのような問題も吟味しないままの、時の政権による恣意的な「公務員制度いじり」では、結果として国民の利益が損なわれることは明らかである。

 また、組織的関与のもとに行われる「天下り」禁止は当然のこととしても、それは官僚の特権排除と行政の中立性を高めることが目的とされるべきである。しかし、現実は、感情的な公務員バッシングとも一体で、公務員の再就職すべてを「天下り」と拡大解釈した再就職全面禁止の動きとなっている。「出口(退職管理)」のみを厳しくすれば、公務員人事管理が円滑に行われるというものではなく、人事管理と密接な関連をもつ定員、予算や行政組織のあり方などや、定年延長とそれを前提とした制度を同時に検討する必要がある。
 その点で、今回の「改正」法案は、「出口」規制に偏った極めて不十分な内容である。

 「改正」法案では、公務員の労働基本権の引き続く検討にも言及されている。この点では、この間の様々なレベルでの議論の到達点や、ILO(国際労働機関)からのたび重なる勧告をふまえて、労働基本権回復にむけたすべての利害関係者との誠実な論議と、早期の制度化を強く求めるものである。

2010年2月19日

全国労働組合総連合・公務員制度改革闘争本部
   本部長  小 田 川 義 和

 
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