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【談話】労働者派遣法改正とかかわる労政審議会答申にあたって

 12月28日に開催された労政審議会職業安定分科会に、労働力需給制度部会からの「今後の労働者派遣法の在り方について」報告があり、了解されて審議会から厚生労働大臣への答申が行われた。その内容は、10月7日の諮問事項に答え、先の通常国会に政府が提出していた労働者派遣法「改正」法案の修正事項(改正法案に盛り込むべき事項)を示したものである。
 報告は、規制緩和一辺倒であった労働法制「改正」論議から大きく転換し、かつ、2008年末来の製造業などでの「派遣切り」に対する社会的批判や労働組合と労働者のたたかいを一定反映した内容もあり、それらの点は歓迎する。

 しかし同時に、登録型派遣の禁止、製造業派遣の禁止とも「抜け穴」が多く、違法派遣の場合の直接雇用の「みなし」規定も不十分であり、通常国会提出の「改正」法案の問題点の修正が行なわれていないなど、不十分さは否めない。
 したがって全労連は、通常国会への法案提出作業での不十分さの解消を政府に求め、国会段階での徹底した審議による制度改善を求めて取り組みを強める。

 全労連として、報告内容が不十分だと考えるのは次の点である。
 第一に、大きな問題となった製造業派遣について原則禁止としつつも、「雇用の安定性が比較的高い常用雇用の労働者派遣」を例外としている点である。常用雇用が「期間の定めのない雇用」を意味せず雇用の不安定さが指摘できることや、昨年末来の派遣切りの半数以上が生産調整を理由とする中途の契約解除であったことなどを考えれば、この例外は設けるべきではない。
 第二に、登録型派遣についても原則禁止としつつ、専門26業務などについては、「雇用の安定等の観点から問題が少ない」と言い切り、ここでも例外規定を設けるとしている。この間、専門業種違反の事例も多く報告され、ファイリングの業務や事務用機器操作の業務など専門的とは言えないものも含まれることの是正要求が高まっていることに眼を向けていない。
 第三に、違法派遣について、「違法であることを知りながら」派遣労働者を受け入れた場合に「派遣元における労働条件と同一の労働契約を申し込んだものとみなす規定」の創設は、派遣先企業の正規労働者として雇用すべきという要求からすれば消極的すぎる内容である。より派遣先に直接雇用を義務付ける規定整備を求めたい。
 第四に、通常国会段階で取りまとめられた「3党案」からも後退していることである。とりわけ、派遣先の団交応諾義務など、派遣先企業の責任が明確になっていないことは問題である。
 第五に、施行期日について、法の公布の日から、登録型派遣については最長5年間、製造業派遣についても3年間の「猶予期間」を設けるとしていることである。現時点でも「派遣切り」の事例が報告され、違法派遣が繰り返される事態を考えれば、このような措置は不適当である。

 以上の点を中心に、進めている国会請願署名も活用して、労働者派遣法改正のたたかいを強める決意である。

   2009年12月28日
全国労働組合総連合        
事務局長  小 田 川 義 和

 
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