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【談話】経済危機の原因へ反省なしの「経労委報告」を批判する
- 日本経団連の2009年版「経営労働政策委員会報告」に対する談話 -

 本日16日、日本経団連が公表した「経営労働政策委員会報告」(報告)は、個別企業の短期利益の確保を優先する余り、「かつてないほど危機的な状況に直面」(報告序文)している世界経済の中での日本経済の進路について、財界のビジョンも責任も語っていない。
 報告が、「労使一丸で難局を乗り越え、さらなる飛躍に挑戦を」の副題をつけているが、政府の集計だけでも3万人にも達する非正規労働者の雇用破壊計画が明らかにされ、さらに正規労働者の大量リストラ計画も明らかにされる08年末の雇用状況に照らせば、これほど空虚なことはない。

 賃金の抑制切り下げと正規雇用の非正規への切り換えが強行された90年代後半以降の日本社会はデフレ状態に陥り、資産バブルに沸き立つアメリカ市場に依存した外需頼みの構造に「改革」されてきた。アメリカ発の金融危機は、その構造の行きづまりを示したが、報告ではその分析も反省もなく「企業の成長を通じて日本経済を支えるという気概」を労働者に求め続けている。
 なんらの対応策も示すことなく「雇用関連指標のさらなる悪化は確実」と他人事のように論評し、「安定的な企業内労使関係の真価が問われる」などと恫喝するに及んでは、労働組合への挑発としか受けとめられない。

 報告は、現状をオイルショックとバブル崩壊後の長期不況に続く第三の危機的状況と分析し、09年春闘の労使交渉は「雇用の安定に努力」することが求められるとしている。
 しかし、示している労働条件決定の「3つの視点」は、国際競争力強化の観点での総人件費削減であり、「付加価値増大」の範囲での労働条件の改善姿勢である。これらは、昨年までの報告と趣旨を同じくする財界方針であり、大企業による雇用破壊が進められる現状では、「賃下げも雇用破壊も」と言っているに等しい。これでは、日本国内の消費はさらに減少し、労働者、国民を底なしの貧困、生活危機に追い込むことになりかねない。

 日本経団連も強く主張するワーク・ライフ・バランスの推進でも、生産性向上との引き換えを持ち出している。正規労働者の長時間過密労働の一方で、低賃金、細切れ雇用に苦しむ非正規労働者が増加しているという非人間的な働き方の広がりを是正する姿勢は微塵も感じられない。
 09年度の最低賃金をめぐって、景気後退局面での「小規模企業における雇用維持」を口実に消極的な姿勢を示し、個別企業の支払い能力論を強調している。最低賃金は、労働者に最低生活を保障するに足りうる賃金確保を企業に規制するために社会的に決定さるべきものであり、改正最低賃金法で「生活保護との整合性」が盛り込まれた経緯も、そのことが前提となっている。報告は、そのような点さえ否定している。

 報告は、労働者、国民に対する社会的責任を投げ捨てている日本経団連の本音を明らかにしており、受け入れることのできない内容である。
 全労連は、強行されている非正規労働者などの雇用破壊に反対するたたかいなどを先行させながら、09春闘を国民春闘として発展させ、財界の攻撃をはね返すために奮闘する決意である。

2008年12月16日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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