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2008年9月24日

【談話】労働者派遣制度見直しの建議について

全国労働組合総連合
事務局長 小田川 義和

1.本日、労働政策審議会は、労働者派遣法の見直しに関する「報告」を、厚生労働大臣に建議した。
 偽装請負や二重派遣などの違法行為が大企業や官公署にも広がっていることや、労働者供給事業と化した日雇い派遣の実態が明らかになる中、労働者派遣法改正は、国政の場においても緊急課題となっていた。
 「報告」は、これまで派遣事業の規制緩和一辺倒であった姿勢を一定転換しているものの、派遣労働者が置かれている深刻な労働実態からすれば期待に反する不十分なものである。そればかりか、労働の商品化を求めてやまない経営者側の主張にそった改悪内容まで含まれている。
 全労連は、「報告」にもとづく法改定作業ではなく、さらなる規制緩和を目指す部分の撤回はもとより、繰り返し求めている労働者保護に資する実効ある制度改正をおこなうよう主張する。

2.「報告」では、「日雇派遣の原則禁止」や「登録型派遣の常用化」、「派遣労働者の待遇の確保」、「派遣先の法違反に対する是正措置の強化」などに改定課題として言及した。この内、日雇派遣の原則禁止では、禁止されるのは30日以内の労働者派遣だけであり、31日の派遣契約を結んでスポット派遣されてしまえば、しり抜けの規制となってしまう。さらに18業務については、ポジティブ・リスト化して日雇派遣のお墨付きを与えている。
 派遣労働者の均等待遇でも派遣先の賃金を考慮要素の一つにとどめ、登録型派遣の規制強化はせず、派遣元に常用化の努力義務を課すにとどめた。グループ企業による「もっぱら派遣」は8割までを認め、「マージン率規制」は事業運営の一般的な情報公開に矮小化した。
 違法派遣是正のために不可欠な派遣先責任について、野党が一致して求めている違法な派遣の場合の派遣先の直接雇用義務を課す「みなし雇用」は認めなかった。
 さらに問題なのは、期間の定めのない常用型派遣労働者について、派遣先が事前に労働者を特定・選別する行為を合法化し、さらに直接雇用契約の申し込み義務も除外している点である。派遣先の派遣労働者に対する優位性を高める制度改悪であることは言うまでもない。こうした内容では、社会問題化している派遣労働者の無権利状態を救済し、改善することはできない。

3.労働力需給制度部会での審議で、使用者側委員は、「我々は派遣労働という、低コストで必要な時だけ使える便利な労働力を手にし、それを前提としたビジネス・モデルを構築した。その成功の条件を崩すべきでない」などとして労働者派遣法の規制強化に反対した。その主張には、労働者が人間であり、そこに生活があることなど一顧だにしない浅薄さが露骨にあらわれている。こうした主張を容認することは到底出来ない。そのような主張に基づく経営を許してしまう労働者派遣制度の罪は明らかである。今、労働者派遣法を抜本的に改正しなければ、日本の企業と経済、社会の将来に禍根を残すことは確実である。
 全労連は、働くルールを確立し、ワーキング・プアをなくすための中心課題として労働者派遣法の改正を位置づけ、その実現にむけ引き続きたたかいを継続する。同時に、働くルールを確立するための運動への多くの仲間の参加を呼びかける。
 総選挙が目前にせまっているが、各政党においても、貧困と格差の是正をはかるためにも、労働者派遣をはじめとする雇用問題を政策の中心に据え、施策を明らかにして労働者・国民の審判を得るよう強く求める。

以上

 
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