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【談話】中賃目安を乗り越え、生活できる最賃の実現を
- 地方最低賃金審議会金額改定の「山場」にむけた談話 -

2008年8月7日
全国労働組合総連合
事務局長 小田川義和

  1. 昨日、中央最低賃金審議会は厚生労働大臣に対し、2008年度地域別最低賃金額改定の目安を答申した。Aランク地方は15円、Bランクは11円、Cランク10円、Dランク7円の引き上げを示し、そのうち12の都道府県についてのみ最低賃金が生活保護を下回っていると認定して、生活保護からの乖離額(地方により9〜89円)を2〜5年程度かけて解消すべく、上記の目安以上の引き上げを決定するよう、地方最低賃金審議会に提案した。12都道府県のいくつかがランク別目安を越え、平均15円程度の引き上げとなると報道されている。しかし、それでも平均時給は700円余りであり、年間2000時間働けたとして140万円、手取りで120万円にすぎない。これで法の求める「健康で文化的な生活」など保障できるはずがない。生計費原則が強化された改正最低賃金法のもと、初めて出された今回の目安には、多くの労働者・国民の期待が寄せられていた。にもかかわらず、結果として、新法の趣旨を十分に反映させられず、生活必需品が高騰する中で生活困窮を強めている「働く貧困層」の切実な要求にこたえない低額目安が出されたことは、きわめて不満である。


  2. 最低賃金制度は、旧法のもとで低額改定を繰り返し、ワーキング・プアの温床となったとまで指摘されている。その反省の上に最低賃金法が改正され、あえて憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営むこと」を書き込み、それを担保する具体的措置として「生活保護に係る施策との整合性に配慮」することを求めた。したがって、今回の中央最低賃金審議会は、生計費原則にのっとった「あるべき最低賃金の水準」をまず明らかにし、今年どこまでそこに迫るのかを審議するべきであった。ところが、目安審議では、数字も明示されないままに生活保護の水準を矮小化した算定を行い、あるべき最賃水準を引き下げてしまった。目安の伝達を受け、具体的な改定額を審議する地方最低賃金審議会では、今回の目安の欠点である生計費原則の欠如を埋める審議を行い、目安を大きく乗り越える改定をめざすべきである。


  3. 全労連は、この間、中央・地方で数次にわたる統一行動を配置し、全国で最低賃金引き上げの運動を粘り強く展開してきた。各単産・地方組織は、署名や街宣での世論喚起、意見書提出にとどまらず、「最賃生活体験」、「生活保護を活用した最低生計費算定法の検討」、「最低生計費試算」など、生計費原則強化に焦点をあてた取り組みも行ってきた。これらの運動の到達を背景に、この夏、各地方最低賃金審議会が目安を乗り越える改定を決断するよう働きかけを強め、「せめて時給1000円」の実現に大きく接近するよう、全国の仲間に対し、たたかいへの集中と奮闘を呼びかける。加えて、ナショナル・ミニマムの基軸となる全国一律最賃制度を確立すべく、粘り強く制度改定をめざす運動を展開させる決意である。

以上

 
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