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【談話】政府の「グローバル化」路線の抜本的見直しを
     ―「中国ギョーザ中毒」事件を契機にした国民論議を呼びかける―

 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が発生し、国民の不安が広がっている。生活の基本である「食」の安全にかかわる問題であり、政府が万全の対策を早急に講ずるよう求める。
 同時に、今回の事件を契機に、日本の経済政策などにもかかわる重大な問題が次々に明らかになっている。問題の原因や背景にまで踏みこんだ国民的な論議を期待したい。

 今、政府は、経済財政諮問会議のもとに「グローバル化改革専門調査会」などを設置し、「グローバル化のメリットを最大限活用する国内体制づくり」をめざすとして、「EPA(経済連携協定)」の締結加速と、「農業構造改革」を推し進めている。
 全労連は、この間も、農民連などとも共同して、地域経済の維持、発展と雇用確保の面から、「地産地消」運動の前進などによる食料自給率の向上を求めてきた。その立場から、WTO体制の見直しを求め、無秩序なEPA、FTA(自由貿易協定)の締結に反対し、農業つぶしの政策の見直しなどの政府追及をおこなってきた。今回の中毒事件は、我々が危惧し続けてきた食の海外依存の危うさが、不幸にして現実のものとなった。

 明らかな問題点の一つは、自動車などの工業製品を輸出し続けることでグローバル化の経済競争を勝ち抜くことを最優先した結果、カロリーベースの食料自給率が39%にまで低下したことである。そのため、学校給食で、一般家庭でも、飲食店でも、輸入食料品に依存せざるを得なくなり、被害が拡散しやすくなっている。
 二つには、大量の食料品が輸入されているにもかかわらず、それを監視、検査する体制が極めて貧弱で、慢性的な人員不足の状態にある。しかし、政府は、人的体制の強化をはかるのではなく、食品衛生法を改悪して輸入食料の「モニタリング」調査と言う「手抜き」で対処しようとした。自由貿易のいき過ぎが、このような「手抜き」法を生み、国民の健康を蝕む結果を生んでいるのである。
 三つは、政府の「グローバル化」路線のもとで、農民の貧困化が進行していることである。自由貿易が強調されるほど米価は下落し、ペットボトル1本分の米の値段が90円台にまで低下した。他の農産物でも同様の状況があり、農民が生産意欲を損なうまでの価格低下で、貧困と格差が広がっている。そのことが地域経済をさらに疲弊させ、深刻な社会問題となっている。グローバル化は、世界的にも格差と貧困を深刻にしたが、国内でも一部の産業に大きな陰を落としている。

 今回の中毒事件を契機にして、直接的な原因解明だけでなく、格差や貧困を解消し、持続可能な日本社会をめざす視点から、重大な社会問題と位置づけた議論を求めたい。そのためのリーダーシップを政府や政党、マスコミが果たすよう強く期待したい。

  2008年2月1日

全国労働組合総連合
事務局長  小 田 川 義 和

 
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