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【談話】社会保険庁職員への一時金(ボーナス)返納の強制はルールに反する

  6月25日、政府は、安倍首相の指示も受けて、社会保険庁職員に一時金の「自主返納」を求めることを決定した。この決定とかかわって、塩崎官房長官は、返納に応じない職員について、社会保険庁を解体して2010年に発足させる予定の「日本年金機構」への雇用引継ぎを拒否することもあり得るとの見解を示した。
 全労連は、「消えた年金」問題に対する国民の怒りにも便乗して、公務員制度のルールも無視した「雇用の踏み絵」をちらつかせ、社会保険庁職員に「総ざんげ」を強いる一時金返納の実質的な強制には賛成できない。政府に決定を撤回するよう求める。

 労働者にとって、雇用や賃金は「働くルール」の基本の部分である。特に、労働条件の不利益な変更については、決められた手続きに従い、労働者との十分な協議を経て行われるべきである。その点は、公務員でも民間企業の従業員でも変わることはない。
今回の社会保険庁での決定は、安倍首相の「鶴の一声」で、社会保険庁長官が記者会見で一方的に発表すると言う乱暴な経過をたどっている。日ごろ、勤務条件法定主義を強調し、規律維持を強く求める政府が、公務員労働者の労働条件決定において、特に賃金の一部である一時金の返納という重大な不利益変更に対し、そのルールを無視すると言うのでは、「二重基準」での対応であるといわざるを得ない。このような政府のご都合主義に対し、強く抗議する。

 安倍政権とこれを支える与党には、「消えた年金」問題の責任が、社会保険庁職員の個々人にあるように描き、労働組合の存在を問題視する動きがある。しかし、6000万件をこえると言われる膨大な年金記録が宙に浮いている事実だけを見ても、個々の職員の問題とは言えない。基礎年金番号導入時点や、その後の対応策が不十分であったことなど、政府の施策そのものの過ちであることは明らかである。
政治的、組織的な過ちを職員個々人の責任にすりかえることでは、「消えた年金」問題の抜本的な解決すら期待できない。今、政府がすべきは、国民一人ひとりに対し、保管している年金記録の実際を公表・通知し、問題の全容を解明することに全力を尽くすことであり、一時金の返納で、問題や責任の所在をうやむやにすることではない。

 公的年金制度は、国民の老後を支える極めて重要な制度であり、これを瓦解、形骸化させることがあってはならない。失われた年金制度への信頼を回復するためにも、政府は、国民の年金権の保障を最優先した問題解決策を早急に示し、一人の被害者も出さないために全力を尽くすよう強く求める。

2007年6月28日
全国労働組合総連合(全労連)
事務局長  小田川 義和

 
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