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【談話】誤謬の公務員制度改革には反対する
     国家公務員法改正法案の閣議決定にあたっての談話

 本日政府は、国家公務員法の一部「改正」法案を閣議決定した。近づく参議院選挙対策を最優先させ、これまでの公務員制度改革論議の経過や公務員制度の基本的な理念の確認、関係者との十分な論議もなく、政権与党の党利党略に貫かれた「改正」法案は、内容、手続きとも誤り以外のなにものでもない。われわれは、法案の撤回を強く主張するとともに、成立阻止にむけたたたかいに力を傾注する。

 法案は、「能力基準(標準職務遂行能力)」による昇任や「新たな人事評価制度」による人事管理などを内容とする「能力・実績主義」の人事管理強化と、「押し付け的あっせん規制のための人材バンクの設置」や「事前規制から行為規制への転換」を内容とする「再就職に関する規制の変更」を中心的な内容としている。
 これらの内容は、頓挫した2001年12月の「公務員制度改革大綱」を基本的に踏襲していると言わざるを得ない。評価基準を設けることが極めて困難な「能力」をもとにした人事管理は、「T種キャリア特権制度」の合法化にほかならない。
 「天下り」にかかわる「行為規制」は、同様の制度を持つアメリカでもその実効性に疑問が呈されている。「人材バンク」の構想も、結局、高級官僚の「再就職自由化」となることは必至であり、「天下り合法化法案」にほかならない。
 決定された法案は、公務員制度の民主化とは程遠く、改革の名に値しないものである。

 より重要な問題は、公務員労働者の労働基本権回復について、なんら言及していないことである。言うまでもなく、公務員労働者の労働基本権回復は、公務員制度、公務運営双方の民主化の要の課題であり、かつ、ILOからも国際労働基準への適合を繰り返し求められる緊急の改革課題である。
 政府は、行政改革推進本部内に専門調査会を設置し、2006年7月から、実質的な論議が始まったところであり、現時点では論議の取りまとめも不十分な状況にある。
 経過からすれば、専門調査会での論議の成熟を待って、公務員制度改革論議を行うのが本来である。後付の「公務員制度改革基本法」論議も含め、政府の対応は極めて不誠実であり、より良い制度改革を行う姿勢とは受けとめられない。
 しかも、政府は、国家公務員法「改正」法案に準じる内容で、地方公務員法「改正」も行うと一方的に宣言している。公務員制度は、一面で、公務員労働者の労働条件そのものであり、このような不誠実かつ一方的な制度改革は労使間の軋轢を高めるものであり、厳しく抗議する。

 われわれは、公正・中立で安定的な公務運営のためにも、専門的、民主的な公務員制度の確立が不可欠と考える。市場原理にもとづく競争主義を公務・公共サービスにもちこむ「小さな政府」に反対する取り組みとも結合し、労働基本権回復を含む民主的公務員制度確立のたたかいを引き続き強化する。

2007年4月24日
全国労働組合総連合・公務員制度改革闘争本部
本部長 小 田 川 義 和

 
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