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2019年度労働法制中央連絡会総会開催
運動の蓄積と到達点を活かし労働法の抜本的改正を求める運動の構築を!

写真 労働法制中央連絡会(自由法曹団、MIC、全労連などで構成)は10月31日、2019年度総会を都内で開催しました。総会には5団体10単産、5地方(地域)から39人が参加しました。

 自由法曹団の吉田建一弁護士は開会あいさつで、長時間労働と過労死を促進させる高度プロフェッショナル制度と時間外労働の上限規制が導入されたことに触れ、「職場に入れさせない取り組みを皆さんと一緒に進めてきた。今後も現場の取り組み、地域や単産でのたたかいや成果を共有し、強化していこう」と呼びかけました。また、野党共闘の合意13項目においても高プロ廃止などが挙げられていることから、「政治を変えることのたたかいも具体的に進める」と強調、参加者の活発な議論を呼びかけました。

反転攻勢の一年に転換をしよう!
 議案提案では、伊藤事務局長がこの一年の運動の経過として、入管難民法をめぐるたたかい、高プロ指針、同一労働同一賃金ガイドライン策定をめぐる取り組み、女性活躍推進・ハラスメント防止関連法に関するたたかいを報告。働き方改革関連法をめぐっては、「働き方改革は『労働者のため』という宣伝戦略で政府に位置づけられてきた。この間、法律の欠陥を知りながらも、多くの労働者に知らせることができなかった」とし、次年度の中心課題であるとしました。他方で、現状打開につながるチャンスの芽もあるとし、(1)労働法への関心の高まりと労働組合への期待の高まり、(2)広範に網羅的に労働法制の規制緩和が進められており、すべての労働者に関連性がある、(3)最賃1500円、全国一律最賃制への関心の高まりの3点を挙げ、「前向きに、チャンスととらえる目線で、反転攻勢の一年にしよう」と強調しました。
 労働法制中央連絡会の2018年度の取り組みとして、4回開催した働き方改革批判検討会と解雇の金銭解決制度の批判検討会を報告。また、11回の事務局団体会議を開催し、関係法規や単産、地域、職場の取り組みや経験を共有したことを報告しました。
 今後の課題として、公立学校の教員をめぐる「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」の法案撤回を求めるたたかい、ハラスメント関連法の実効性ある指針の策定を求めるたたかいのほか、高齢者雇用、企画業務型裁量労働制の拡大阻止、解雇の金銭解決制度反対の取り組み、雇用されない働き方、副業兼業促進、労働時間管理の在り方、派遣法の見直しなどの課題を紹介し、「事態をすべての労働者に知らせながらたたかっていく」とし、組織間における情報共有、批判検討会の開催、学習宣伝素材の作成、市民的関心を高めるための宣伝行動の展開、各団体との懇談、中央連絡会の組織強化を図ることを方針として提案しました。

 

あいさつする労働総研の松丸代表理事

 主催者あいさつに立った労働運動総合研究所の松丸和夫代表理事は、「働き方改革が完全実施となれば、パートに賞与がない、手当が正社員と違うことに対し、使用者は正面から答えなければならない」とし、「労働の価値をしっかり評価させていくことが重要。そのためにも、運動の蓄積、到達点を活かしながら、力を結集して高めることが求められている」と強調しました。
 また、公務労働では会計年度任用職員や民間委託化の問題に触れ「公務の分野でも仕事の内容や責任、技能の意味をせめぎ合いの中であらためていくこととなる」と訴えました。

人間らしく働き生きていける職場を目指そう
 全教、MIC、JMITUの3組織から特別報告がされ、いずれも現場で労働者が置かれている状況が報告され、成果と課題の共有がされました(以下参照)。
また、討論では、4人の参加者から意見が出され、労働法制中央連絡会の役割の強化、労働行政をめぐる情勢、現場でのハラスメントの実態と労働組合の取り組みが報告されました(以下参照)。
 特別発言と討議の内容を受け、伊藤事務局長から総括答弁。その後、全労連の岩橋副議長から「働き方改革が施行され、労働者の命と健康を守る労働組合としての責任を痛感している。人間らしく働き、生きていける職場を目指し、革命を起こしましょう」と力強いあいさつがされ、閉会となりました。

以下、特別報告、討議の概要、2019年度役員・事務局団体
【特別報告】概要
全教 吹上勇人 書記次長
 1年単位の変形労働時間制導入を狙う給特法改正案が10月18日に閣議決定された。また、英語の民間試験の導入によって教育の民営化は地方の高校生を苦しめている。教員の働き方にも大きくかかわる。教職員は目の前の子どもたちのために無権利状態で働かされている。給特法の導入により、定額働かせ法という現状。超過勤務を命じてはならにため、そもそも上限ガイドラインは成立しないが、在校等時間という概念を作り出し、在校時間以外を勤務時間や労働時間と認めないとしている。
 これからの取り組みとして、廃案を求めていくたたかい、万が一成立したとしても条例をつくらせない取り組みが重要。人員増は触れずに業務改善をすすめているが、人員増がないと成り立たないとどこの県の教育委員会でも言われる。私立ではすでに1年単位の変形労働時間制が持ち込まれているが、実際には労働時間が延びることが報告されている。配慮ではなく差別だ。教育の営み、子ども達の教育にとってもよくない。希望をもって教師になったが、悲痛な声がたくさん寄せられている。家族からも心配の声や子供たちも相談することを躊躇するなど、働き方の問題だけでなく、教育の在り方の問題である。

出版労連 北建一 書記次長
 教職員、公務員の話をきいて、彼らは労働基本権が不当に制限されているが、やりがいがあるという意見。その状況は雇用類似やフリーランスにも共通の部分がある。雇用されていれば労働法やセーフティネットがあるが、雇用されていないと守られない。
 今、雇用によらない働き方の推進に向けた審議が大きく動き出している。厚労省の中間整理の概要では、対象者について、労基法上の労働者性が妥当であるか検討する必要があると入れさせた。しかし、見直しは短期的には結論は困難として先送り、今の審議会ではやらないとされた。
 前進面では、保護の内容、相談窓口設置。労災は特別加入の拡大、セクハラ防止等は抜本的に見直させる必要がある。セーフティネットは後回しになっている。MICではフリーランス連絡会を作り、ほぼ毎月当事者を読んで議論を進めてきた。労働者性の見直しの場を議論する場を厚労省に作らせる取り組みを強める。
 労組法上の労働者性、コンビニオーナー、ウーバー、東電の三次請負労働者、ヤマハ英語教師などの例がある。労働者と繋がることが重要合だが、労働組合に入ってない、入れるとも思っていない。組合以外の団体との協力、フリーランス協会と俳優団体の例などみても、労働組合以外の人と共闘するのも大切。

JMITU 三木陵一 中央執行委員長
 今春闘から秋闘にかけての特徴的な成果、自動車の販売部門で、第二組合数千人、JMITUの組合員10数人の職場で、夏の一時金を正社員と同一にさせた。本体の自動車メーカーは実現していない。別の職場でも、正社員と同一の育児介護休暇の取得を勝ち取った。また、5月の連休増えた分を有給にするよう、JMITUとして統一要求を打ち出した結果、5月1日と2日を有給とさせた。秋闘でも家族手当、住宅手当を正社員と同一支給させた職場がある。自然災害に対する要求についても、交通遮断による遅刻や休暇が発生。正規は有給だが非正規は無給。そこで、派遣労働者も含めて有給にさせた。大手通信業者の職場でも通勤費上限5000円を18春闘で7500円まで引き上げ、今年は全額支給を勝ち取った、忌引き、結婚出産育児介護休暇、時間外の割増率も同一とさせた。自然災害はJMITUが要求を出したからこそ実現したと考える。職場世論を背景に要求、回答を引き出すことができた。
 教訓は、どんなに労使関係が悪くても、非正規の条件を前進させる情勢にあるということ。しかし、職場ではまだまだその情勢だという認識になっていない。労働組合側の弱点の克服が必要。中央も含め、地方の産別幹部が、頑張れば前進できるという構えを作り、決意し学習を繰り返す、産別も入った団体交渉で迫っていくことが必要。大企業は要求しなくてもやったかもしれないが、会社がやってくれたと終わってしまう。攻勢的に要求を出し、前進させることで、労働組合の影響力を拡大していく。

【討論】概要
自由法曹団 鷲見賢一郎 弁護士
 解雇金銭解決は一大闘争を構えると同時に、たとえ労働者申立であろうと、不当だと知らせなくてはならない。お金の上限を決めるということはリストラ促進になる。解雇してもお金で解決できるという風潮になる。30代40代の働き盛りの労働者の首を切り、非正規化することも狙い。非正規社会を作ろうとしている。働き方改革や同一労働同一賃金も、非正規中心の雇用社会を作るためだと私は考えている。働く人に労働法の保護を及ぼす、労働者性の判断基準の適正化を強く要求する。
 
東京地評 柴田和啓 副議長
 働き方改革推進センターが各都道府県に設置されている。東京は人材派遣会社、中小企業に対してのサポート窓口。相談の必須事項として「同意する」ボタン。目的外事業を認めているのかと労働局に投げた。労働局は指導するとのこと。36協定の無届業者も厚労省が調査。厚労省の天下り社労士事務所が受託したことがわかり、情報データ管理など問題があるのではないかと考えている。人材ビジネスにとって大きな市場化になるのではないか。情報が流れ込んでいく、悪用してされていく。商売のために働き方改革が進められていると実感した。

MIC 南彰 議長
 MICには様々な現場の労働者が集っているが、ハラスメントの問題が深刻。保護がされていないフリーランスに象徴的に表れている。きっかけは財務省事務次官のテレビ朝日記者へのセクハラ問題。あらゆる職域の人がセクハラを訴え、変えていくようにしたい。MICのアンケートには1061人が回答し、運動が広がった。声を上げるようになってきた。被害を声に出しても相談窓口でしっかり対応されない、加害者の方を持つような対応などの実態が浮かび上がってきた。厚労大臣と閣員あてに包括的な法制度、防止法含めた法制度の課題、救済される制度設定が急務。安心して、絶望せず、泣き寝入りさせないことが大事、ここが大事にされないと昨年の財務事務次官以前の泣き寝入り横行する、戻ってしまう。法整備、ルール作りとともに、安心して相談できる環境づくりを労働組合としてもやっていかなくてはならない。

全労働 津川剛 書記長
 外部委託が広がってきている。人材不足に負けてきている。1、行政体制、労働行政も第一線職場である監督署、雇用環境均等室、1800人が削減されている。ハローワーク、労働部局の削減は激しい。メンタル疾患も増えている。2、非正規化、非常勤職員4割、労働行政では5割以上。ほとんど職業相談の窓口は非正規、1年更新の不安定雇用、公募の問題、厚労省ではなく人事院。3年に一回、外部の公募者と競争させる。欠員募集などならいいが、任用更新ではなく、3年に一回公募。各省庁にもと求めている。全労働見解も出している。誇りを持っている。常勤化したい。せめて3年公募はやめさせたい。3、技官職員、10年採用停止している。労働災害防止調査、指導。憲法に根差した労働行政にしていく決意。

【労働法制中央連絡会2019年度役員】
代表委員
 松丸和夫 労働運動総合研究所代表理事
 笠井貴美代 新日本婦人の会会長
 吉田建一 弁護士・自由法曹団団長
 岩橋祐治 全国労働組合総連合副議長
 南彰 日本マスコミ文化情報労組会議議長(新聞労連委員長)
 柴田真佐子 日本婦人団体連合会会長

事務局長
 伊藤圭一 全国労働組合総連合雇用・労働法制局長
事務局次長
 井之上亮 全国労働組合総連合事務局員

事務局団体
自由法曹団
日本婦人団体連合会
新日本婦人の会
労働運動総合研究所
働くもののいのちと健康を守る全国センター
日本マスコミ文化情報労組会議
東京地方労働組合評議会
全労働省労働組合
日本自治体労働組合総連合
全国労働組合総連合

 
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