2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第45号 2013年7月29日

生活を守るたたかいに全力を!

7・25最賃・人勧中央行動 全国から2000人が決起

 今年度の最低賃金目安改定の審議が本格化し、人事院が減額されている実支給額で官民の賃金比較ではなく、俸給表上の金額で比較して今年の勧告をするとの見解を示し、労働法制の規制緩和が推し進められようという重要局面を迎えるなか、全労連・国民春闘共闘は25日、「7・25最賃・人勧中央行動」(第3次最賃デー)を東京・霞ヶ関でとりくみました。日比谷野外音楽堂での中央総決起集会に続き、厚生労働省、人事院をはじめ財務省、農林水産省前での要求行動、銀座デモを展開しました。この行動には、国民大運動実行委員会も共催団体に加わり、労働組合をはじめ、全商連、農民連などの民主団体から2000人が参加しました。

写真〜7・25中央総決起集会〜
 国民春闘共闘・全労連・国民大運動実行委員会が主催し、労働法制中央連絡会の協賛で行われた日比谷野外音楽堂での中央総決起集会は、最賃Tシャツを着た全労連・布施恵輔常任幹事と自治労連・岡崎加奈子中央執行委員の司会で幕を開けました。
 主催者あいさつを行った国民春闘共闘・大黒作治代表幹事(全労連議長)は、「参議院選挙を通じてアベノミクスの恩恵は一握りの大企業や資産家のもので、国民の暮らしや中小企業の経営改善には効果を発揮していないことが明らかになった。自民党は大幅に議席を増やしたが、国民は自民党に白紙委任したのではないというマスコミ論調も見られる。世論と政治の力で消費税増税ストップ、最賃1,000円以上を実現しよう」と呼びかけました。
 つづいて、比例候補として当選を果たした日本共産党の山下芳生参議院議員が連帯あいさつし、選挙での支援に感謝の言葉をのべつつ、「15年ぶりの躍進となった。安倍政権は、原発や憲法などで暴走をつづけ、共産党の役割はいっそう重大だ。政府に賃上げをせまり、国民運動と共同をひろげて悪法阻止に奮闘する」と決意を込めて、参加者を激励しました。
 国民春闘共闘・小田川義和事務局長(全労連事務局長)の情勢報告では、労働法制の大改悪や最低賃金をめぐる現状などが報告され、「憲法を暮らしに生かすたたかいを強めよう。明文改憲の動きにハドメをかけよう」とのべました。
 各団体から4名の代表が発言し、全教の今谷賢二書記長は、「8万5千人分の教育拡充を求める『えがお署名』を、本日、文科省に提出する。労働者の雇用状況が、子どもの教育にも影響している。家庭を壊す雇用の流動化は許さない」と決意表明しました。
 JMIUの三木陵一書記長は、「ロックアウト解雇」が横行する日本IBM労組の仲間とともに登壇、「ただちに出て行けと通告され、突然クビが切られる。資本によるファシズムは絶対許してはならない。解雇自由の労働法制改悪を阻止しよう」と訴えました。
 また、首都圏青年ユニオンの武田敦委員長は、「職場では鮮度が重要」と言われ喫茶店チェーン店を解雇された青年について語り、「長く働いてきた人を追い出すのは認められない。労働者をもの扱いすることは断じて許さない。裁判でたたかいぬく」と支援を要請しました。
 全商連の菊池大輔副会長からは、ガソリン代が13%アップして運送業者は悲鳴を上げていることなどが紹介され、「参議院選挙の結果は、国民が消費税増税を認めたわけではない。安倍首相のブレーンでさえ消費税の延期を主張している。なんとしても消費税増税をくい止める」と決意表明しました。
 最後に、農民連の白石淳一会長が、「自民党は、公約を破ってTPP参加へ暴走している。農業や暮らしが破壊されるTPPは撤退以外にない。本日の行動の成功をバネにして、国民生活を守るたたかいに全力をあげよう」と閉会あいさつをのべ、参加者全員で団結ガンバロウを三唱して集会の幕を閉じました。

〜厚労省前・人事院前要求行動〜 生活できる賃金を!
写真 総決起集会を終えた2000人の仲間は、「全国一律最低賃金1000円以上の実現、公務員賃金改善、労働法制規制緩和反対、社会保障拡充」などを求め、厚生労働省・人事院前に結集しました。
 主催者あいさつにたった国民春闘共闘・大-谷充代表幹事(出版労連委員長)は、「政府・財界は、自分たちに都合のよい政策や制度の改悪を行おうとしている。非正規労働者が4割をしめ、格差と貧困がひろがっていることに憂慮すべきだ。今日の行動を起点に連帯・団結して、憲法が生きる、安心・安全な社会をめざし、今日の行動を起点に大きな運動を作り上げていこう」と呼びかけました。
 日本婦人団体連合会から堀江ゆり会長が激励にかけつけ、「安倍政権は、女性の活躍や女性を輝かせるなどと言って労働法制の規制緩和を進めようとしているが、女性も男性も安く働かせ、使い捨てにすることが本当のねらいだ。自民党のやりたい放題を国民の運動は許さない」と決意を込めてあいさつしました。
 国民春闘共闘の伊藤圭一事務局次長(全労連調査局長)が、中央最低賃金審議会の議論状況などを紹介しながら情勢報告を行い、「アベノミクスが計画どおりに進んだらガタガタになる。賃金を上げさせ、解雇自由を止めよう。世界最低の日本の最賃を、グローバル水準に押し上げよう。大きな飛躍を求めてがんばろう」とのべました。
 つづいて、3名の代表が決意表明を行い、生協労連・コープあいち労働組合の野々山大輔書記長は、「ダブルワークしていたパートの仲間が、契約更新の時期に自宅で亡くなっていた。悔やまれてならない。コープあいちの最低賃金は760円。生活できる賃金にすることが仲間への償いだ」と最低賃金引き上げへの思いを語りました。
 国公労連から全司法・愛媛支部の藤田亮祐執行委員が、賃下げ特例法で4.7%の賃下げになった青年層の国家公務員の現状について語り、「20歳以下の職員は10万円ほどしか手元に残らず、一時金や超過勤務手当で生活をしのいでいる。賃下げ法の早期廃止と初任給の改善を求める」と訴えました。
 神奈川労連最賃裁判原告団の岩森あかねさんは、原告団が123名になったことを報告。「親からもらった5Kgのお米を半年間かけて食べている」など苦しい生活を強いられている原告の状況を紹介し、「裁判の勝利で最賃引上げの突破口にしたい」と決意をのべました。
 最後に東京春闘の菊池友里事務局員のリードで、厚生労働省・人事院に向け熱いシュプレヒコールをぶつけました。
 厚労省前・人事院前要求行動の終了後、参加者は人事院前、財務省前、農林水産省前に分かれ各省庁への要求行動を展開しました。

〜人事院前要求行動〜 本来の役割を投げ捨てた人事院に怒りが爆発
写真 公務労組連絡会・全労連公務部会主催による人事院前要求行動で、主催者あいさつした宮垣忠公務労組連絡会副議長(国公労連委員長)は、「憲法違反の賃下げは断じて許さない。デフレ脱却のためにも公務員の賃下げをやめさせよう。人事院は、実際に減額された支給額で比較をおこなうことが役割だ」と怒りを込めてのべました。
 連帯あいさつに駆けつけた建交労の赤羽数幸書記長は、「国民の怒りを公務労働者へむけさせることで賃下げを強行しているが、それは民間労働者にも直結していくことになる。憲法を生かし、国民の生存権を守る立場で奮闘する」と決意をのべました。
 人事院勧告をめぐる状況や、人事院との交渉の現状を中心に情勢報告した黒田健司事務局長は、「実際の賃金額で官民比較して改善勧告するのが、人事院勧告の唯一の役割だ。それを実行しないのなら、人事院は必要ない。高齢者いじめを許さず、臨時・非常勤職員の賃金・労働条件の改善にむけて、残された2週間を全力でたたかおう」と呼びかけました。
 続く決意表明では、「賃下げ特例法が延長されれば、将来の設計が崩れてしまう。震災後も組合員は業務に邁進してきた。怒りは頂点に達している。人事院には実額ベースの賃上げをあらためて求める」(国公労連・全通信東北支部・渋谷執行委員)、「賃下げの片棒を担いできた人事院に恨みつらみをのべる。労働基本権制約の代償措置として、実額比較するのが人事院の道ではないのか。」(特殊法人労連・竹内事務局長)、「安倍首相の故郷の山口から来た。県内の市町村での賃下げを許していない。今後とも賃下げ反対でがんばりたい」(山口自治労連・周南市職労・吉武さん)、「ジャンボハガキ行動にとりくみ、13時間におよぶ深夜の交渉でも合意せず、『終結』という形で交渉を打ち切った。人事院は、役割をしっかり果たしてほしい」(長野高教組・吉田書記次長)など、各地でのたたかいの報告をふくめた発言がありました。

〜財務省前要求行動〜 大企業には大盤振る舞い、国民には負担増など言語道断
写真 財務省前では、消費税増税中止、大企業・大金持ちは応分の税負担を、軍事を削ってくらしと福祉、教育など国民本位の行財政を求め、全労連と国民大運動実行委員会の共催による要求行動が取り組まれました。
 高橋信一・全労連副議長は主催者あいさつで、「安倍政権は財界の声にこたえる骨太方針と成長戦略を閣議決定した。『限定正社員』の導入といった働くルールの破壊を盛り込み、さらに設備投資減税、研究開発減税など、大企業の自由や利益の拡大に大盤振る舞い。一方で、国民には社会保障の負担増・改悪、来年には消費税増税などと言語道断だ」と厳しく批判しました。また、政府が8月上旬に骨太方針に基づき中期財政計画を出す方針であることにふれ、「国民犠牲の財政を許さず、くらしと福祉、教育の拡充、中小企業関連予算、地方交付税の増額など、国民本位の予算編成を求める運動を全国で強めよう」と呼びかけました。
 つづいて、職場・地域から5人の代表が要求アピールを行いました。神奈川自治労連の高橋輝雄書記長は、7月23日に決定された地方交付税額について、「普通交付税額は全体でマイナス2.2%。交付額の算定は、地方公務員給与の国家公務員並みの給与削減や職員数の削減を前提にしている。交付税を減らすことは住民サービスを削ること。自分たちの給料も大事だけど、地方の財政や住民サービスを守るたたかいだと決意を新たにしている」と力強く述べました。
 是村高市全印総連委員長は、公共調達の入札制度問題について「試験的に導入されている競り下げ方式が一般化すると、落札額はものすごい勢いで下がり、中小零細が多い印刷出版業界では倒産、廃業が増加する。そこに消費税が増税されれば、産業はつぶれる。最賃を引き上げ、単価の下げ止まりに歯止めをかける基本的な下支えがないと日本の再生はない」と呼びかけました。
 国公労連・全経済の渡辺忠一書記長は、独立行政法人の運営費交付金の確保・拡充について、「研究機関などでは運営費が削減され続け、長期的な視野に立った基礎的研究が困難になり、人員不足で長時間残業が慢性化しメンタルヘルスが問題になっている。独立行政法人は効率化と質の両方を確保する必要がある」と訴えました。
 新婦人の児玉紀子中央委員は、65歳以上の女性9000人以上から集めた暮らし実態アンケートから浮かんできた深刻な生活実態について、「年金だけで生活できない人が80%にのぼり、貯金の取り崩しやパートでつなぐぎりぎりの生活となっている。若い世代の雇用や生活が不安定なもとで、子どもの国保、年金を払っているケースも多い。貧困と格差をさらに拡大するアベノミクスの暴走を許さず、消費税増税と社会保障の改悪を中止することを強く要求する」と訴えました。
 全労連・全国一般の山縣哲也京都地本書記長は、「成長戦略は働くものの命や雇用の権利、労働条件を大企業の利益のために差し出せというもので、地域経済の再生につながらないとはっきりした。求められるのは財政の使い道をかえ、働くものの懐をあたためて地域を再生することだ。そのためにも最低賃金の大幅引き上げと中小支援策を拡充することが必要だ」と強調しました。

〜農林水産省前要求行動〜 TPP参加反対、国と東電は福島原発事故の責任を取れ
 農林水産省前では、農民連と、全国食健連、国民大運動実行委員会主催による「くらしと経済・農業を壊すTPP参加反対、日本農業を守れ、政府と東電は福島原発被害者の全面賠償を行え!」要求行動が行われ、労働組合や各県農民連などの色とりどりの旗が並びました。
 冒頭、主催者を代表してあいさつした全農協労連国分委員長は「安倍政権は7月22日にTPP交渉参加を強行した。安倍首相は強い交渉力で食の安全や農業5品目、医療が守れるかのように言ったが、交渉に先立って牛肉、自動車、簡保への米国要求を丸呑みしたのが安倍首相だ。さらに、日本政府はTPP交渉に先立って、守秘義務契約を結び正式参加を認められた後は一切交渉内容を公開しない。『事あるごとに国民に公開し判断を仰ぐ』と言ってきたが、全くの嘘とペテンであることがはっきりした」と、国民の命や暮らし、安定した雇用より、日米の多国籍企業が国民・農民をどう搾取するかが最優先の交渉をしているTPP交渉からの即時撤回を強く求めました。
 新婦人の浅井さんに続き決意表明にたった自治労連の久保貴裕中央執行委員は、「TPP交渉については44道府県議会と8割を超える市町村議会が反対決議を上げている」とのべ、多くの自治体が「TPP交渉に参加したら地域が成り立たなくなる。今でさえ構造改革で痛めつけられているのに、安倍首相のやることは理解できない」と話していることを報告。さらにISD条項の危険性について語り、「自治労連は、この秋全国1800自治体すべてをまわり、地方、住民守るため自治体の役割を果たしてく」とたたかう決意を表しました。
 農民連からは福島と大阪から発言。福島農民連・金田会長は、「原発事故も解決していないのにTPPなんてとんでもないというのが福島の声だ」とのべ、汚染水問題や、除染した水が用水路に流されていた問題などを紹介しながら、「国と東電は原発事故の責任を認めろ、安全安心な福島を取り戻すため頑張りたい」と発言しました。
 行動提起を行った農民連の笹渡義夫事務局長は、「TPPは各国の国会で批准されてから最終決定となる。TPP参加阻止のたたかいはこれからだ。これまでのたたかいの到達点に確信をもち、国民の疑問に答える学習宣伝を強め、無数に作られている一点共同の組織を網の目のように張り巡らせストップをかける力にしよう」と訴えました。
 各省庁前要求行動を終えた参加者は、ふたたび日比谷公園に集合し、15時すぎから銀座デモに出発しました。大勢の通行人や買い物客で混雑する銀座の通りを、最低賃金引き上げ、公務員賃金改善などを訴えて、東京駅近くまで元気よくデモ行進しました。

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