2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第32号 2013年5月16日

2013年春闘・第6回賃上げ集計

単純平均5,410円 1.92%
加重平均5,953円 2.02%

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は14日、2013年春闘における第6回目となる賃金改定集計を行いました。

<回答状況>
2013年 2012年
登録組合数 871 795
回答組合数 424(48.7%) 396(49.8%)
うち金額・率回答 352 315
うち「定昇のみ」など
言葉による回答
72 81
うち上積み獲得 84(19.8%) 73(18.4%)
うち前年実績以上 181(42.7%) 165(41.7%)
うち妥結組合数 194(45.8%) 192(48.5%)

<回答内容>
集計方法&対象 2013年 2012年 (前年比)
単純平均 額(円) 5,410  5,347  +63 
率(%)  1.92   1.80  +0.12 
加重平均 額(円) 5,953  5,421  +532 
率(%)  2.02   1.83  +0.19 
組合員数(人) 99,205  77,609 
※額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。
※「定昇のみ」など言葉による回答は計算から除いています。
※前年同期比は前年第5回集計(2012年5月16日集計)との比較となります。

<集計結果の概要>
 第6回集計に新たに報告が寄せられたのは、全労連・全国一般の製造、卸売・小売業と金融労連です。24単産・部会の登録871組合のうち、これまでに回答を引き出したのは、第5回集計(4月25日時点:399組合・45.9%)から25組合・2.8ポイント増え、424組合・48.7%となりました。前年同期(396組合・49.8%)と比べると率で若干下回っています。
 回答のあった352組合を産業別にみると、JMIU(90.0%)、化学一般労連(87.5%)、合同繊維労組(66.7%)など製造業関連が登録110組合中84組合(76.4%)。全印総連(73.5%)、出版労連(77.1%)などマスコミ業関係が112組合中74組合(66.1%)。建交労・鉄道、検数労連、郵政産業ユニオン、全倉運(各100%)など運輸・通信業関係が68組合中35組合(51.5%)となっています。これら回答引き出し率が比較的高い単産がある一方で、全農協労連など農林水産業関係は17.0%、建設関連など鉱業・建設業関係は11.6%、金融労連など金融・保険業関係は3.8%などとなっています。また、卸売・小売業関係では生協労連の54.9%に対し、全国一般は12.0%となっており、同産業内でも有額回答引き出し率に差が出ており、先行した単産では終結方向にあり、春闘後半戦に力点をおく単産では今後、たたかいを展開していく状況となっています。

前年比プラスを維持

 賃上げの単純平均(一組合あたりの平均)は5,410円・1.92%、加重平均(組合員一人あたりの平均)は5,953円・2.02%となっています。前年同期と比較すると、単純平均で63円増・プラス0.12ポイント、加重平均で532円増・プラス0.19ポイントと前年同期を上回る状況で推移しています。
 ただし、単産・部会別にみると、単純平均額で前年との比較が可能な21単産・部会のうち、対前年比プラスが11単産・部会、マイナスが10単産・部会となっています。引き続き、農林水産業関連、製造業関連、マスコミ関連で前年同期比マイナス傾向にあり、運輸・通信関連、金融、卸売・小売関連、医療サービス、地方組合でプラス傾向となっています。
 また、規模別でみると、「1000人以上」が単純平均で6,077 円・1.99%、「300〜999人」が5,903円・2.02%と規模の大きな組合が高水準の回答で推移しています。
 第5回集計(4月25日時点:単純平均:5,445円・1.92%、加重平均:5,951円・2.02%)との比較では単純平均で35円減・±0ポイント、加重平均で2円減・±0ポイントとなっており、4月に入り回答水準は若干低下傾向を示しています。また、全印総連、生協労連、建交労・建設、建交労・運輸、通信労組、地方登録、建設関連労連で、定昇凍結4組合、ゼロ回答30組合、賃下げ回答2組合の報告があります。これらはアベノミクスによる円安・物価高政策が、燃料費・原材料費などの高騰をもたらし、中小零細企業の経営に悪影響を与えていることのあらわれです。

前年実績以上181組合、上積み獲得84組合に

 そうした中でも、ストライキや数次にわたる交渉を重ね要求を前進させている組合も多くあります。
 回答引き出しのあった424組合のうち、前年実績を上回る回答を引き出したのは141組合・33.3%で前年同期(127組合・32.1%)から14組合増・プラス1.2ポイントとなり、前年同額は40組合・9.4%(前年同期:38組合・9.6%)となりました。
 また、数次にわたる交渉を行い上積み回答を引き出した組合は、前回調査から11組合・1.5ポイント増え、16単産・部会の84組合(19.8%)となり、前年同期(73組合・18.4%)からも11組合・1.4ポイント増えています。そして、月額1万円以上の賃金引き上げを獲得した組合は19組合(前年同期21組合)となり、前年同期(29組合)を超える46組合が2.5%以上の賃上げ率を引き出しています。

妥結率45.8% たたかい続く

 これまでに妥結した組合は、回答引き出し424組合のうち194組合(妥結率45.8%)となりました。前年同期(192組合・48.5%)と比べると若干解決が遅れる傾向にあります。合同繊維、建交労・鉄道、検数労連、地方マスコミ、出版労連、JMIUなどでは妥結もしくは妥結傾向にありますが、春闘後半戦に力点をおいている単産に加え、先行した単産の中でも、なお、上積みを求め粘り強くたたかっている組合が多くあることが伺える状況となっています。

パート・アルバイトなどの賃上げ 平均26.0円 3.74%に

 パート・アルバイトなどの非正規雇用で働く仲間の賃上げは、今回新たに全労連・全国一般、民放労連、自治労連から報告が寄せられました。前回調査(4月25日時点:170組合)から61組合増え231組合となり、前年同期(10単産176組合)を3単産55組合上回っています。
 時間額引上げの報告があった129組合の単純平均は26.0 円となり、前回集計(25.3円)から0.7円増加し、率でも49組合の単純平均で3.74%となり、前回調査(3.39%)から0.35ポイント増加しており、集計を重ねるごとに上昇しています。
 前年同期(10.2円・0.55%)と比較すると、額・率いずれも大幅に前進しています。とりわけ、日本医労連(36.1円増)、JMIU(19.4円増)、福祉保育労(10.0円増)、生協労連(6.1円増)などでの健闘が光ります。

企業内最賃協定を武器に法定最賃引上げを!

 企業内最低賃金協約の締結・改定を獲得組合は、今回新たに全農協労連、全労連・全国一般、民放労連から報告が寄せられ、9産70組合となりました。時間額は49組合平均843円、日額は8組合平均7,196円(前回調査同)、月額は30組合平均で161,047円となりました。
 職場で締結した企業内最賃協定も武器に法廷最賃闘争を旺盛に展開していきましょう。

<参考> 他団体の賃上げ集計結果

●連合の第5回回答集計(平均賃上げ方式・5月10日公表)は以下のとおりです。

集計対象 集計組合 加重平均 単純平均
組合数 人数(万) 金額 昨年 金額 昨年
全組合 3,383 178.8 5,00 1.74 5,006 1.74 3,925 1.61 4,048 1.60
中小共闘 2,423 22.8 3,880 1.60 3,927 1.60 3,640 1.57 3,778 1.56
※中小共闘は、規模300人未満

●日本経団連の中小企業 第1回回答集計(5月10日現在)は以下のとおりです。

集計対象 集計企業 加重平均 単純平均
社数 人数 金額 昨年 金額 昨年
加盟企業 172 4,141 1.64 3,855 1.52 4,005 1.63 3,763 1.48
※調査対象は、原則として東証一部上場、従業員数500人以上の企業

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