2013国民春闘共闘情報
全労連HP

第31号 2013年5月7日

2013年春闘・第3回進ちょく状況調査

上積み求め交渉つづく!

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は4月30日、加盟全単組を対象とした第3回の「春闘進ちょく状況」調査を実施し、22単産(3749組合)から報告が寄せられました。

1.要求提出状況
 これまでに、別表の22単産から報告が寄せられました。今回新たに自交総連、全労連・全国一般、福祉保育労から報告が寄せられ、交渉単位では3749組合となりました。うち、4月30日段階で要求提出が確認できた組合は、2306組合(61.5%)で、第2回調査時(3月29日)の1521組合(62.1%)から785組合増えています。第2回集計で確認した通信労組、全損保、検数労連、郵政産業ユニオンに加え、合同繊維が要求提出率100%で、これに金融労連(94.1%)、全倉運(92.5%)が9割台で続き、映演労連(87.5%)、民放労連(83.2%)が8割台、JMIU(78.8%)、化学一般労連(77.8%)、特殊法人労連(77.8%)、出版労連(75.9%)、全労連・全国一般(75.0%)が7割台、日本医労連(69.2%)、建交労(68.2%)、自交総連(61.4%)が6割台となっています。
 前年同期(2342組合・63.1%)に比べると、要求提出組合数は36組合減・マイナス1.6ポイントと微減しています。比較可能な21単産のうち、前年同期比でプラスとなったのは生協労連(11.8ポイント増)、映演労連(11.0ポイント増)、金融労連(5.4ポイント増)、全農協労連(3.4ポイント増)、日本医労連(2.2ポイント増)、自交総連(1.6ポイント増)、全印総連(0.6ポイント増)の7単産で、対前年同期比マイナスは8単産。6単産は前年と同率となっています。
 第2回調査と比べ顕著に要求提出率が上昇しているのは、4月15日を産別集中回答指定日に設定した映演労連(62.5ポイント増)で、以下、全農協労連(25.8ポイント増)、合同繊維(16.7ポイント増)、建交労(10.5ポイント増)、建設関連労連(9.8ポイント増)などが要求提出を増やしてきています。

2.スト権確立状況
 ストライキ権を確立したのは、1343組合(47.2%)です。例年高水準でストライキ権批准の報告がある単産が、集約途上となっているため、厳密には比較できませんが、前年同期(1585組合・58.2%)と比べるとかなり下回っています。全単組でスト権を確立しているのは、検数労連、通信労組、全損保、郵政産業ユニオンで、これに全労連・全国一般(87.5%)、JMIU(78.8%)、特殊法人労連(77.8%)、が高率で続いています。

3.回答引出し状況
 
要求提出した組合のうち、回答を引き出したのは1244組合(53.9%)となりました。検数労連、単一組合の通信労組と郵政産業ユニオンの引き出し率100%に続き、出版労連(93.9%)、民放労連(90.4%)、生協労連(90.1%)、全印総連(90.0%)が9割台、化学一般労連(82.9%)、JMIU(74.1%)、全倉運(73.0%)、建設関連労連(71.4%)、日本医労連(69.0%)、合同繊維(66.7%)が高率で続いています。
 前年同期比(1257組合・53.7%)では、全体でほぼ同水準となっています。単産別にみると比較可能な19単産のうち全労連・全国一般(19.4ポイント増)、建設関連労連(11.4ポイント増)、出版労連(4.2ポイント増)、全印総連(1.5ポイント増)、JMIU、福祉保育労(1.4ポイント増)、生協労連(0.4ポイント増)の7単産が対前年同期比プラス、対前年同期比マイナスが7単産、前年同期同率が5単産となっています。
 第2回調査(727組合・47.8%)との比較では、建交労(32.1ポイント増)、合同繊維(26.7ポイント増)、全倉運(24.4ポイント増)、映演労連(21.4ポイント増)、日本医労連(18.4ポイント増)、全損保(16.7ポイント増)、化学一般労連(15.3ポイント増)、民放労連(15.1ポイント増)、出版労連(12.6ポイント増)、生協労連(12.2ポイント増)、全農協労連(9.1ポイント増)、全印総連(7.5ポイント増)、JMIU(6.8ポイント増)、建設関連労連(4.7ポイント増)など、各単産で回答引き出し率を伸ばしています。
 回答延期など使用者側の厳しい姿勢も現れる中、4月10日に設定した回答引き出し・追い上げ集中日も節目に各職場での粘り強いたたかいが伺える状況となっています。

4.回答の内容
 
回答の内容について、<定昇制度あり>の職場(581組合)からみていくと「ベア獲得」は、日本医労連37組合、出版労連15組合、民放労連9組合など79組合(回答組合中13.6%)となりました。前年同期(55組合・9.2%)から24組合・4.4ポイント上回っています。「ベアゼロ・定昇のみ」回答は、482組合・83.0%と多数を占めていますが、前年同期(504組合・84.6%)を22組合・1.6ポイント下回っています。
 <定昇制度なし>の職場(回答あり295組合)では、「有額獲得」が187組合(回答組合中63.4%)と過半数以上となっており、前年同期(82組合・63.6%)とほぼ同水準となっています。ただし、残念ながら、「ゼロ回答」も107組合(回答組合中36.3%)あり、回答引き出しが進むにつれ、その割合は増えています(第2回調査23.7%)。
 全体としてみれば、「ベアゼロ・定昇のみ」の回答が多数となっていることは、例年と同様の傾向ですが、そうした中でも、ベア回答と有額回答は前年を上回っており、粘り強い上積み交渉により成果を勝ち取っている労働組合があることが伺えます。
 一方、前年同期よりは少ないものの、賃金カット提案が21組合に出されています。背景には、業績悪化や介護報酬などの国による制度改定の影響があります。各職場での奮闘とともに、中小企業の経営悪化を招く過度の円安政策や、社会保障の改悪、地方公務員の賃下げ、労働分野の規制緩和など国や自治体による制度改悪を阻止し、賃下げスパイラルを断ち切るたたかいが重要な局面を迎えています。

5.平均賃上げ額・率と妥結状況
 
回答があった1244組合のうち、額または率での報告が寄せられたのは843組合です。平均賃上げは、単純平均(組合ごとの平均)で4,524円・1.97%となります。前回調査(5,311円・19.4%)から額で787円マイナス、率では0.03ポイント上昇しています。また、前年同期(5281円・2.01%)との比較では額で757円、率で0.04ポイント下回っています。
 全体としては厳しい回答状況となっていますが、建設関連労連、検数労連、全倉運、民放労連、出版労連では前年同期比を上回り、建設関連労連、検数労連、民放労連、日本医労連で2%以上の比較的高い賃上げ率を引出しています。なかでも、検数労連では、春闘共闘の回答相場を示すことで、使用者側から前向きな姿勢を引き出し、他産業の仲間との統一闘争の意義を再確認したと総括しています。
 この段階で妥結、もしくは妥結方向との報告があがっているのは366組合で、要求提出組合の15.9%となりました。前年同期(517組合・22.1%)から151組合減・マイナス6.2ポイントとなっており、厳しい回答状況の中、納得ができる回答を引き出すため、各職場で粘り強い上積み交渉が継続されていることが伺える状況となっています。

6.ストライキ実施状況
 
ストライキ実施状況は、のべ321組合となり調査組合(未集計の単産除く)の10.8%となりました。前年同期(のべ265組合・9.1%)から56組合・1.7ポイント上回る実施状況となっています。
 JMIU、日本医労連では前年同期を大きく上回り、映演では4月16日に各労組でオルグ交換などを行いながら産別統一ストライキを決行しました。全印総連では4月12日の大日本印刷包囲行動にストライキに決起し参加するなど、前回調査から7組合増えています。
 すでに春闘決着した単産や職場も多数出てきていますが、金融保険、建設関係、福祉保育労などの職場では、交渉が本格化しはじめたところで、これからヤマ場を迎えようとしています。また、納得のいく回答が出るまで粘り強く交渉を積み重ねている職場も多くなっています。
 春闘勝利・夏季一時金闘争勝利に向けた追い上げを図るとともに、全労働者の賃金の底上げをはかる法定最低賃金闘争や、公務員の賃金改悪の撤回・阻止の運動にも結集していきましょう。

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