2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第31号 2012年5月18日

2012年春闘・第5回賃上げ集計

単純平均5,347円 1.80%
最低賃金協定も大幅増

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)は16日、2012春闘における第5回目の賃金改定集計を行いました。単純・加重平均ともに前回集計(4月25日時点)を上回り、非正規労働者の賃上げや最賃協定も大幅に前進しています。

第5回集計のおもな数値は以下のとおりです。

<回答状況>
2012年 2011年 2010年
登録組合数 795 810 789
回答組合数 315(39.6%) 290(35.8%) 314(39.8%)
 うち上積み獲得 73(23.2%) 68(23.4%) 84(26.8%)
 うち前年実績以上 165(52.4%) 160(55.2%) 160(51.0%)
 うち妥結組合数 165(52.3%) 139(47.9%) 133(42.4%)

<回答内容>
集計方法&対象 2012年 2011年 (前年比) 2010年
単純平均 額(円)
5,347
5,440
−93
5,361
率(%)
1.80
1.82
−0.02
1.74
加重平均 額(円)
5,421
5,503
−82
5,791
率(%)
1.83
1.82
+0.01
1.87
組合員数(人)
77,609
74,102

83,603
*額または率のみの報告があるため、双方は連動しません。

<集計結果の概要>

先行組合で着実な回答引出し

 第5回集計には、別表の22単産部会から報告が寄せられました。

 登録795組合のうち、これまでに有額回答を引き出したのは315組合(39.6%)となり、第4回集計(4月25日時点:282組合35.5%)から33組合4.1ポイント増えました。

 産業別に見るとJMIU(98.3%)、化学一般(76.9%)などの製造業関連が登録112組合中の88組合(78.5%)。建交労・運輸(54.1%)、検数労連(100%)、全倉運輸(88.9%)などの運輸・通信業関係が67組合中の35組合(52.2%)。全印総連(58.3%)、出版労連(82.9%)などマスコミ関係が102組合中62組合(60.7%)などとなっています。一方で、全農協労連など農林水産業関係・17.2%、建設関連など鉱業・建設関係・18.3%、全国一般など卸売・小売業関係・36.3%、金融労連など金融・保険関係・6.3%などとなっており、先行した産別では、賃金闘争は終結方向にある一方で、春闘後半の時期に力点がおかれる単産では本番のたたかいが展開される状況にあります。

単純・加重平均ともに前回集計よりプラスへ

 賃上げ回答の水準は、単純平均(一組合あたりの平均)で5,347円・1.80%(前回調査比プラス31円・0.02ポイント増)、加重平均(組合員一人あたりの平均)で5,421円・1.83%(同プラス2円・0.01ポイント増)となっています。昨年同期比では単純平均マイナス93円・0.02ポイント減、加重平均マイナス82円・0.01ポイント増。一昨年同期比では単純平均マイナス14円・0.06ポイント増、加重平均マイナス370円・0.06ポイント減と全体としては厳しい回答状況になっています。

127組合で前年妥結額を突破

 財界の「定昇凍結論」、景気の先行不安の影響もあり、定昇凍結4組合、ゼロ回答23組合、賃下げ回答が1組合報告されています。

 しかし、ストライキや数次にわたる交渉を重ね、逆風を力強く押し返している組合も数多くあります。11単産部会73組合・23.2%(JMIU・30、日本医労連・10、化学一般・7など)が上積み回答を引出し、127組合(2011年同期116組合、2010年同期127組合)が前年妥結額以上、38組合(同44組合・同33組合)が前年同額、21組合(同19組合・同13組合)が1万円以上の回答を引出しています。

 また、JMIUの日本高周波(2.65%)、川本製作所(2.67%)や出版労連・医学書院(2.78%)、日本医労連の全厚労・新潟(2.69%)など29組合で2.5%以上の賃上げ率を引出しています。

5割以上で決着

 妥結組合は前回集計126組合(妥結率44.7%)から165組合(同52.3%)となっています。前回調査と同様に、昨年同期(139組合・47.9%)、一昨年同期(133組合・42.4%)より、早期に解決している傾向がみられます。

 これは検数労連、全倉運輸、建交労・鉄道、(回答引出し組合中の妥結率100%)、地方マスコミ(同88.2%)、化学一般(同85.0%)、出版労連(同79.3%)JMIU(同74.9%)など、前述した回答引出しの多い先行した単産部会が、粘り強い交渉と運動で、要求を前進させた結果の表れだと言えるでしょう。

単産部会別・規模別の傾向

 単産部会別では、2011年との同期比較が可能な21組織のうち、単純平均金額で前年同期比プラスとなった単産部会は11、マイナスは10です。プラスとなった単産部会は、民放労連(2011年同期比1,450円増)、合同繊維労組(同909円増)、建交労・製造(同820円増)、全印総連(同533円増)などとなっています。

 2010年同期と比べると(比較対象は21組織)、プラスとなった単産部会は8、マイナスは13です。プラス組合は、検数労連(2010年同期比2,147円増)、民放労連(同1,341円増)、合同繊維労組(同1,047円増)、建交労・製造(同1,000円増)などです。

 産業分野別では到達点にばらつきはありますが、建設関連や卸売・小売関係など内需型の産業分野では昨年・一昨年同期からマイナスの回答状況にあり、デフレ経済から脱却しない日本経済の状況に加え、社会保障改悪と消費税増税の悪政によってさらに閉そく感が高まっていることが、これらの回答状況に反映していると考えられます。

 規模別では、前回集計と同様に「30〜99人」の組合が、2011年同期比240円増(前回集計170円増)、10年同期比422円増(同319円増)と、全体を牽引する回答を引き出しています。

パート賃上げ平均10.2円…二桁台に!!

 パート・アルバイト等の賃上げは、前回集計から56組合増え、10単産176 組合が引上げを獲得しています。全農協労連(5組合)、郵産労(4組合)、福祉保育労(7組合)から新たに報告が寄せられ、建交労(前回より3組合増)、生協労連(同8組合増)、全国一般(23組合増)、日本医労連(6組合増)で獲得数を増加させています。

 時間額の引上げは単純平均で10.2円(0.55%)で二桁台に乗りました。前回調査の9.1円(0.52%)から1.1 円(0.03ポイント)増加し、集計を重ねるごとに増加しています。

 非正規労働者の均等待遇を求めてストライキを構えたたかい続けている郵産労では、月額制契約社員の月2,000円の賃上げを、全国一般でも「正社員(月額6,000円)と同率の賃上げ」を獲得し、福祉保育労でも時間額10ポイント30円の引上げを勝ち取っています。

 企業内最低賃金の改定は7単産95組合から報告が寄せられ、前回集計(7単産40組合)から55組合増加しました。生協労連では広島で「ヘルパー職・時間額1,070円」、化学一般は関西で「時間額1,090円」、日本医労連では秋田で「誰でも1,200円」など、報告のあった全7単産で38組合が時間額(換算)1,000円を超える最賃協定を締結しています。法定最賃闘争を加速させるためにも1000円を超える最賃協定の普及が急がれます。

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