2012国民春闘共闘情報
全労連HP

第30号 2012年5月15日

2012年春闘・制度的諸要求(中間集計②)

休日休暇、非正規の処遇改善、初任給UP、安全衛生が前進

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇、地方共闘などで構成)はこのほど、今春闘における制度的諸要求(パート等待遇改善、企業内最賃、時短、各種休暇など)の獲得状況をまとめました。5月11日現在、14単産部会3地方412組織(連合会・単組・支部等の交渉単位)から報告が寄せられ、賃上げ要求とあわせた各組織での積極的な取り組みで、ディーセント・ワーク、再雇用・定年延長などに関する協定獲得など、767件の条件改善を獲得しています。

●時短関係

 時間短縮・休暇・残業関係では、前回調査(4月10日)20件から75件へと要求獲得数を前進させました。建交労の職場では「所定労働時間を週40時間から39.7時間」に短縮し、建設関連の職場では、「アニバーサリー休暇」を新設するなどの要求を勝ち取っています。休日休暇関係では、「職員全員が4?5日間程度連休で取得できるリフレッシュ休暇制度を実現」(日本医労連)「時間休取得の協定化」「ワークキャンプ1日代休」(福祉保育労)「定年後の再雇用者にメモリアル休暇及び健康増進休暇を付与」(静岡)などといった制度改善を新たに実現させています。残業関係では、「残業代を過去に遡って10分単位で支給する」(福祉保育労)、「60時間以上の残業割増を50%にする」(建交労)、「時間外に行う看護研究は残業申請をする」(日本医労連)など時間外労働の削減などの要求獲得の報告が寄せられています。

●非正規関係

 これまでに非正規労働者の正規化を勝ち取った組合は、郵産労で均等待遇を求める闘いの中で時給制・月額契約社員1058人の正社員登用合格者(平成23年度)を出し、日本医労連の職場では80名が正規職員になるなど新たに5組合報告され8組合となりました。(JMIU2、建交労1、生協労連1、郵産労1、全農協労連1、福祉保育労1)。

  非正規の賃上げ獲得検数は前回調査(98件)から大きく前進しています。全農協労連が岩手でパート労働者の月額2,706円(1.28%)・日額123円(1.89%)・時間額16円(1.96%)引上げを、自交総連は東京で嘱託職員の時給50円増を獲得するなど生協労連(77)、全労連・全国一般(21)、日本医労連(15)など12単産部会2地方100組織が148件の賃金改善協定を獲得しています。

 その他の非正規にかかわる要求では、民放労連では九州で「派遣社員、警備員、清掃業務の方々も含め嘱託、社員外スタッフに1万円の支給」させ、三重では「臨時職員の忌引や災害などの休暇が有給休暇」などの要求を勝ち取っています。

●最低賃金・年齢保障・初任給関係

  建交労では17組合で産別最賃を確立し、多くの職場で30歳・45歳といった年齢別での最低保障賃金を協定化させています。「時給1,550円」(出版労連)、「時給1,020円」(民放労連)などで時給1,000円以上の最賃協定を締結さ、福祉保育労では「年収300万円以上」の最低保障賃金を確保している職場もあります。

 また初任給増額などによる格差是正を獲得したのは日本医労連(8)、JMIU(5)、全農協労連(4)、出版労連(2)、民放労連(2)、全倉運(1)、生協労連(1)、福祉保育労(1)となっています。

●育児・介護関係

 育児休業関係では、出版労連で6件、民放労連で3件など14組織から、介護・看護休業では9組織から、母性保護関係では6組織から報告がありました。「妊娠中の従業員に対する通勤緩和措置の拡大」(全倉運)、「介護休暇・看護休暇について1人なら5日間、2人以上なら10日間まで所定内賃金保障」(建交労)、「介護休暇の条件に、病院の付き添い、手続きの代行を追加」(民放労連)、「育児休暇明けの子供の1歳の誕生日は有給休暇を取る」(日本医労連)など多くの職場で育児・介護・看護・母性保護に関する要求も前進しています。

●労災補償・安全衛生

 労災補償では、「自家用車使用就労時の交通事故について、保険の補償範囲を超える場合は会社保障」(岐阜)を認めさせています。安全衛生では、自交総連の6職場で安全・安心運行に繋がる「車内カメラの設置」「カーナビの更新」「車両入替」などの実施されることとなり、「メンタルヘルスケアに関する取り組みの充実」(全倉運)、「健康診断の実施」(全労連・全国一般)などディーセント・ワークに不可欠な心と体のケアに関する要求も実現させています。

●夜勤・雇用継続・退職金・制度政策課題

 2001年に利益極大化のために「構造改革」と称して導入された「50歳退職・賃下げ再雇用制度」廃止を求め、裁判闘争も含めたたかってきた通信労組の職場では、「来年度からの制度廃止」を勝ち取りました。また、「雇用継続」(建交労・2組合、自交総連・2組合)、「定年延長(65歳)」(自交総連・2組合)など税と社会保障の一体改悪に伴う、年金と雇用の隙間を作らないたたかいも始まっています。

 5月25日(金)の中央行動では、「ディーセント・ワークの実現」「年金と雇用の接合と引退の自由を保障させる」ために「消費税増税反対」「TPP参加反対」「原発ゼロ」などの国民要求と併せて国会議員要請などを行い、国への要求を強めていきます。

 職場から、地域から「安心社会の実現を求めて」声を上げて行きましょう。

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