2011国民春闘共闘情報
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2011年人事院勧告にあたっての幹事会声明

2011年9月30日
公務労組連絡会幹事会

1、人事院は9月30日、「マイナス0.23%、899円」の官民逆較差による月例給の引き下げ、一時金の据え置き、給与構造見直しにともなう現給保障の廃止などを内容とする勧告・報告をおこなった。

 連年にわたる公務員賃金引き下げのもと、賃金改善は公務労働者にとって切実な要求になっていた。しかし、人事院は、要求に応えることなく、3年連続で月例給を引き下げ、民調すら実施しなかった東北3県の状況を類推までして意図的に一時金の改善を見送った。公務・民間の「賃下げの悪循環」をいっそうすすめる賃下げ勧告の強行に、怒りを持って抗議するものである。

2、東日本大震災では、住民の救援、被災地の早期復旧にむけて、各地の公務労働者がまさに不眠不休で業務にあたった。その状況は今も変わっておらず、こうした労苦に報いるため、賃金・労働条件改善にむけた真剣な検討こそが求められていた。

 ところが、人事院は従来からの「民間準拠」の姿勢に固執し、そのうえ、高齢層の官民の給与差を理由に、50歳代を重点にした月例給の引き下げと現給保障廃止によって、第一線のベテラン職員を狙い撃ちにしたことは重大である。そもそも、官民の給与差は、公務特有の給与体系維持のため人事院の長年の給与配分政策がもたらしたもので、それを口実にした賃下げは断じて認められない。

 同様の理由で、定年延長の「意見の申出」では、職務・職責がまったく変わらなくとも、60歳を境に年収を7割程度にまで減額するとしている。

 これらはすべて、政府・財界がねらう「熟練した労働力を安く使う」政策に、人事院が追随・迎合したものにほかならず、きわめて政治的な勧告である。

3、震災の影響をうけ、今年の勧告作業は例年よりも約2か月遅れで推移したが、公務労組連絡会は、中央行動を反復して配置しつつ、職場からは「ジャンボハガキ(寄せ書き)」や「職場要求決議」を通して仲間たちの怒りの声を人事院に集中させた。

 こうした職場の切実な要求に目をむけようとしない本年人事院勧告は、労働基本権制約の「代償措置」たりえない不当な勧告である。それだけに、政府に対しては、勧告の取り扱いをめぐって労働組合と真摯な交渉・協議を徹底的に尽くすよう要求する。

 一方で、政府は、公務労働者にこの先3年間、大幅な賃下げをせまる「給与臨時特例法案(賃下げ法案)」を提出している。法案の審議・成立を優先させ、勧告を店ざらしにすることはあってはならず、そもそも、労働組合との合意もなく提出を強行した憲法違反の「給与臨時特例法案」こそ、速やかな撤回・廃案を強く求めるものである。

4、震災復興の財源確保のため、政府は、所得税などの臨時増税をはじめ、子ども手当の廃止などを通した歳出削減による財源確保をねらっている。公務員賃金削減も財源の対象にあげられてきた。

 復興財源は、膨大な内部留保の活用など大企業からの応分の負担をはじめ、5兆円に迫る軍事費など不要不急の予算削減、政府の資産活用などを第一に検討すべきである。

 野田首相が「構造改革」推進の姿勢をあらわにするもと、今後、ねらわれる消費税増税を組み込んだ「社会保障・税の一体改革」やTPP参加など労働者・国民いじめの悪政に断固反対する。共同の輪を大きく広げ、国民の暮らしといのちを守る公務・公共サービスの拡充、公務労働者の労働基本権の全面回復、すべての労働者の賃金改善をめざして全力でたたかう決意である。

以 上

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