2011国民春闘共闘情報
全労連HP

第30号 2011年6月24日

最賃1000円の実現を

公務員賃金切下げゆるすな

6・22最賃統一行動 500人が座り込み


 全労連・国民春闘共闘委員会は22日、中央最低賃金審議会の論議開始を前に、最賃時給1000円の実現と全国一律最賃制の確立、公務員賃金の切下げ阻止などをめざし、終日行動を展開しました。朝から気温30度を超える猛暑のなか、単産・首都圏からのべ500人が参加。歌や寸劇も織り交ぜた楽しい行動でアピールしました。

10:00 座り込み開始  “がんばれば報われる”358分

 この日は早朝から、都内5カ所(池袋、新橋、虎ノ門、霞ヶ関・厚労省前、九段下・東京労働局前)で宣伝行動を実施した後、厚生労働省前に集結し、座り込み行動に突入しました。

 午前10時。真夏を思わせるような日差しの下、日陰の少ない厚労省前の歩道には、のぼりや横断幕をもった労働者が次々と集まってきました。

 昨年までは最賃の全国平均(時給)を分に読み替え、早朝から夕刻まで十数時間のハンガーストライキをおこなってきましたが、今年は当面の目標である最賃時給1000円と、全国でいちばん低い642円(沖縄、鳥取など8県)との差額である358円=358分の座り込み行動としました。行動提起した全労連の伊藤圭一調査局長(国民春闘共闘事務局次長)は、「みなさんの奮闘で最賃が上がり、翌年はその分苦しくなる行動ではなく、がんばれば報われる方式にした」とのべ、参加者からは笑いとともに歓迎の拍手が起こりました。全労連の国吉事務局員が「最賃引上げ・座り込み突入宣言」を読み上げ、拍手で確認。毎年恒例となっている要求プラカード・デザインコンテストに加え、初の試みとなる「最賃川柳」コンテストへの応募を呼びかけました。

12:15 昼の要求行動  震災復興のためにも 最賃引上げはゼッタイ必要

プラカードコンテスト 受賞者のみなさん

 正午近くにはいちだんと参加者が増え、300人超に。あらかじめ用意した折りたたみ椅子がなくなるほどの盛況となりました。

 正午過ぎから始まった要求行動では、主催者を代表して全労連の小田川事務局長(国民春闘共闘事務局長)があいさつ。(1)最賃時給1000円の実現、(2)国家公務員の賃下げ法案の撤回、(3)震災からの早期復興とナショナルミニマムの拡充、(4)原発事故を起こした東電はもとより、規制緩和政策で国民を苦しめてきた大企業の責任追及、の4点にわたる要求をあげ、「震災復興のためにも最賃の引上げがどうしても必要。全力でたたかおう」と力を込めました。7月2日には明治公園で原発ゼロをめざす緊急行動を予定しており、自然エネルギー社会への転換を求めて共同を広げようと訴えました。

 単産・地域を代表して、5人が決意表明しました。

 自治労連の大場副委員長は、被災地では最賃ギリギリの低賃金で自治体が労働者を雇い、ガレキ撤去作業などにあたっている実態などを示しながら、「最賃の引上げは、人勧制度がなくなったもとでも大きな力になる。公契約条例制定のとりくみとあわせ、全力をあげる」とのべました。全労連全国一般の青池書記次長は、自身の地元・浜松市ではたらく友人が、昨年の最賃引上げで時給が上がって喜んでいたと報告。自分が最賃審議委員に立候補していることを告げると「ぜひ当選して」と激励されたこと、民間労働者にも波及する公務員の賃下げは絶対に許すわけにはいかないと語りました。

 自交総連の菊池書記次長は、徳島県のタクシー労働者の賃金が時給換算で平均458円であることを指摘。「多すぎるタクシー台数を減らし、最賃を引上げ、労働者にきちんと払える業界にしていくためにがんばりたい」と決意をのべました。6月30日、国などを相手に最賃1000円の実現を求めて提訴を予定している神奈川労連の福田副議長は、裁判闘争を支えるサポーターへの登録とともに「全国でいろんな運動を起こし、大きなうねりをつくっていこう」と呼びかけました。福岡・エフコープ労組の石橋副委員長は、最近は生協の職場でも子育て世代の労働者が増えていることを紹介。「700円にも届かないような時給で、本当に子どもを育てることができるのか」と問いかけ、「はたらく形態が何であろうと、普通に仕事をすれば普通に生活できる賃金が保障されなければならない」と力強く訴えました。

13:00 路上パフォーマンス  最賃ソング、寸劇、“最賃クン”も登場

 13時からは、パート臨時労組連絡会を中心に、路上パフォーマンスを展開しました。

 かながわ生協労組をはじめ、全国各地の仲間がさまざまな「最賃ソング」にのせて歌声を披露。大阪労連パート・非常勤部会の仲間は、最低賃金審議委員の不公正任命の実態を寸劇で告発。人選のための会議も開かず、「諸要素を総合的に判断して決めました」などと、わけのわからない理由で落選を告げる「当局」の態度は、迫真の演技と相まって、参加者の怒りを呼んでいました。

 つづいて、生協労連のマスコットキャラクター“最賃クン”が登場。「最賃が1000円になったら、あなたは何をしたいですか?」と、座り込み参加者にマイクを向け、「夕張メロンを買い、半分は家族に、半分は自分一人で食べたい」「安い居酒屋ばかりでなく、たまには普通の値段の店で飲んでみたい」「百円均一の老眼鏡でなく、自分に合うメガネをつくりたい」など、思い思いの答えに、笑いや拍手がたえませんでした。

14:00 路上アピール続開  生活保護改悪反対、生存権裁判に勝利しよう

 14時からは、生活と健康を守る会など「生存権裁判」をたたかう仲間も加わり、アピール行動を続行しました。

 都生連の秦事務局長の情勢報告につづき、東京自治労連の田川副委員長が生活保護にかかわって問題提起。政府がねらう生活保護基準の改悪は、最賃ばかりか就学援助、年金など、国民生活にかかわる多くの制度の切り下げにつながり、「これまで貧困とされてきた人びとが『貧困ではない』とされ、貧困が見えなくなってしまう」危険があると指摘。生活保護の老齢加算廃止は「法律違反」と断罪した福岡高裁の画期的判決も力に、生存権裁判勝利のため、ともにがんばろうと呼びかけました。

15:00 行動終結集会  コンテストの受賞に輝くのは?

 このころには、太陽が西に傾き、日陰が伸びてさわやかな風も感じられるようになりました。15時からいよいよ行動終結集会を開催。全労連女性部の大西事務局長(国民春闘共闘常任幹事)が均等待遇にかかわる情勢について報告しました。

 決意表明では3人が発言。全労連全国一般・民法労の衛藤委員長は、市場化テストの導入で、長年法務局の登記事務を担ってきた民事法務協会が業務を落札できず、多くの労働者が生活の糧を断たれていること、窓口では「言葉が通じない」など大きな混乱が起きている実態について怒りを込めて告発。「あきらめないでたたかうことが、すべての労働者を守ることにつながる」とのべ、大きな激励の拍手を受けました。

 最後に、プラカード・デザインコンテストと、「最賃川柳」コンテストの優秀作品を発表。豪華賞品として特注の“最賃Tシャツ”がプレゼントされました。

 全労連の小松副議長が閉会あいさつ。朝から都合5度目となるシュプレヒコールを厚労省に向かってぶつけ、開始から358分目の15時58分、無事に全日程を終了しました。この日は最賃や公契約の課題で、総務省、厚労省、日本商工会議所などと交渉をおこないました。

『最賃川柳』受賞作品

★最優秀賞… 全教・米田さんの作品(2つ)

『最賃で 暮らせりゃ生まれぬ ワーキングプア』 『家さえも 借りれぬ最賃 意味不明』

★佳作(1)…  いばらきコープ労組・市原さんの作品

『初日から 最賃生活 耐えられず』

★佳作(2)…  自治労連・藤倉さんの作品

『1000円は 生き抜くうえの 出発点』

★佳作(3)…  「神奈川自治労連一同」さんの作品

『最賃は せめて1000円 攻めて1000円』

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