2011国民春闘共闘情報
全労連HP

第22号 2011年5月10日

2011年春闘・第3回進ちょく状況調査

回答引出しが前進

スト実施は前年比減、妥結率は上昇


 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は9日、各単産に加盟する全単組を対象とした第3回進ちょく状況調査を実施し、20単産から報告が寄せられました。4月中決着をはかる各組織の追い上げにより、回答引出しは前年を上回るペースで前進しています。

要求提出、スト権確立状況

 第3回調査には、20単産3275組合から報告が寄せられました。

 5月9日現在の要求提出状況は、全体で57%と、前年同期(62%)をやや下回っています。

 単産別では、単一組合の郵産労、通信労組に加え、検数労連が100%提出。全倉運(98%)、出版労連(94%)が9割を超え、日本医労連、映演労連が8割以上の高率で続いています。第2回調査時(4/4)からの1カ月間で、要求提出数が顕著に伸びているのは、民放労連、全農協労連、福祉保育労などです。

 これまでにスト権を確立した組合は573組合と、前回調査時からあまり増えておらず、全体の17%にとどまっています(前年同期は51%)。今回報告のあった映演労連は、19組合中14組合(74%)でスト権を確立しています。

 公務単産では、特殊法人労連から報告があり、8組合中7組合が要求を提出し、スト権も確立しています。

回答引出し状況

 これまでに何らかの回答を引き出したのは1082組合で、要求提出組合の58%に達し、前年同期(48%)を上回っています。

 4月14日に設定した第2次集中回答日、翌15日の全国統一行動日を節目に、4月中決着をめざして各単産・単組がとりくみを強化したことが数値にも表れています。

 単産別で前年同期を上回っているのは、全印総連、JMIU、福祉保育労、全農協労連、日本医労連の5単産です。前回調査時から引出し数を大きく伸ばしているのは、全印総連(61→92%)、民放労連(55→86%)、出版労連(73→86%)、全倉運(3→83%)などです。生協労連も85%の組合が回答を引き出しています。

 回答内容は、現在も集約中の単産が多く、必ずしも詳細は明らかではありませんが、全印総連がベア獲得の組合数を伸ばしているほか、定昇制度のない経営で出版労連傘下の組合の多くが有額回答を獲得しています。

平均賃上げ額

 全単組を対象とした平均賃上げ額(単純平均=組合ごとの平均)は、5302円(1.86%)で、前年同期(4877円・1.82%)を上回っています。

 前年と比較可能な単産のうち、額で前年同期を上回っているのは、全農協労連、民放労連、JMIUの3単産です。賃上げ率を2%台に乗せているのは、全農協労連、民放労連、医労連となっています。

 全体の単純平均額は前年同期比425円増となっていますが、全農協労連の大幅な額の上昇と、全有額回答数の6分の1を占めるJMIUの健闘が平均を引き上げた感が強く、全産業的にはほぼ前年並み、もしくは若干の増という状況です。

スト実施、妥結状況等

 これまでに何らかの形でストライキを打った組合は170組合で、前年同期(430組合)を下回っています。今回報告のあった映演労連は、19組合中6組合がストを敢行しています。
 現在までに妥結したのは285組合(要求提出組合の15%)で、前年同期(338組合・13%)を率で上回っています。

 スト実施数が減少する一方、回答引出しが前年を上回るペースで進んでいることは、震災発生で先行きに不透明感が広がるなか、経営側に積極回答を迫る姿勢を堅持しつつ、より柔軟な戦術での対応を迫られた今春闘の複雑な状況を反映したものとみることができます。

 国民春闘共闘に結集する各単産は、5月25日に予定する中央行動(第1次最賃デー)を節目に、大震災からの早期復旧・復興と、賃上げ・雇用確保による内需主導での景気回復を一体のものとして、春闘のさらなる追い上げ・夏季闘争の準備に奮闘しています。

国民春闘共闘情報