2011国民春闘共闘情報
全労連HP

2011年春闘・闘争宣言

 政治、経済、社会の全体に閉そく感が漂う中、いよいよ春闘が本格化する。
 5%台で高止まりする失業率。10年以上にわたる異常な賃下げ。雇用の非正規化の進行。今、日本では、世界に例をみない「労働の劣化」が進んでいる。労働者の4人に1人が年収200万円以下という状況で、誰が、家や車や家電を買えるというのか。家計は厳しく、モノは売れず、生産は縮小し、それが雇用破壊と中小企業の経営危機を招いている。青年は結婚もできず、子どもを産み育てられないと将来を悲観している。私たちの暮らしは、崩壊の危機に直面している。

 一方で、輸出産業を中心とする大企業は、大規模な公費の投入で救済を受け、業績を「V字回復」させている。内部留保は99年の245兆円から、この10年で441兆円へと1.8倍にふくれ上がっている。利益ため込みの背景には、賃下げ、解雇、非正規化、下請中小企業への買い叩きなど、労働者・国民への負担の押し付けがある。

 一昨年、この状況を変えるため、国民は政権交代を選択した。大企業優先の「構造改革」路線から、「生活第一の政治」への転換を願った。ところが、民主党政権は国民の期待を裏切り、大企業だけが「成長」する戦略に後戻りしている。法人税減税と消費税増税、TPP参加、インフラ輸出を打ち出す一方、後期高齢者医療制度の廃止を医療保険改悪にすり替え、「地域主権改革」と銘打ったナショナル・ミニマムの切り下げを進めている。こうした財界主導の成長戦略は、内需をさらに弱め、日本経済をさらなる不況に突き落としかねない。

 諸外国をみれば、世界的不況と言われた時期にも、賃金は着実に上昇している。先進諸国でもできている賃上げに、なぜ日本の企業はこたえられないのか。所得保障、公正取引の確立、税制・社会保障制度の改正によって、富の配分を、労働者・中小企業本位に切り替えることが、なぜできないのか。いずれも、日本経済建て直しのカギなのである。

 2011年春闘は、大企業優先の政治・経済に終止符を打ち、労働者・国民の懐を温め、地域から内需を拡大させる道に舵を切る、節目のたたかいとなる。国民春闘共闘委員会は、「すべての労働者の賃上げ・雇用確保を。実現しよう、内需主導の景気回復」をスローガンに、要求実現にこだわった春闘をたたかう。
 「誰でも時給100円以上、月額1万円以上」の賃上げ要求目標を高く掲げ、大企業の内部留保を国民に還元させて、賃上げと安定雇用の実現をめざそう。
 労働者派遣法の抜本改正、有期労働契約規制強化など「働くルール」の拡充、全国一律最賃「1000円以上」の実現、社会保障制度の抜本改革をめざそう。
 中小企業支援の拡充と地域経済の活性化を求め、中小企業家、商工業者、農林漁業者などとの共同に大きくふみだそう。
 労働者の暮らしの改善と地域経済の活性化を実現する2011年春闘を、ともに全力でたたかうことを、すべての労働者・国民に呼びかける。

2011年1月12日

国民春闘共闘委員会/第1回単産・地方代表者会議

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