2010年春闘・闘争宣言

2010年春闘・闘争宣言



 国民春闘共闘委員会結成から、20年目の春闘が本格化する。
一昨年秋からの経済危機は、世界中に影響を及ぼした。とりわけ、外需依存を強め、労働者保護規制が緩和されていた日本では、首都東京に「派遣村」が出現するという極めて深刻な状況となった。その実態は改善されず、昨年末に設置された「公設派遣村」には、前年をはるかに上回る800人以上が殺到した。

 11月の完全失業率は5.2%と、いぜんとして過去最悪の水準にあり、失業者数は、前年同月より75万人も増え、331万人に達している。「非正規切り」に加えて「正規切り」が横行し、ワーキングプアといわれる年収200万円以下の労働者は、3年連続で1000万人を超えている。
 一方、大企業は、経済危機のもとでも、「順調に」内部留保を積み増してきた。97年に207兆円だった内部留保は、この10年で倍加し、428兆円にまでふくれ上がった。不況下でのこうした利益のため込みは、この間の相次ぐ賃下げ、解雇・雇止め、下請企業の単価たたき、仕事切りなどと表裏の関係にある。そしてこのことこそ、国民の消費を弱め、内需を縮小させ、日本経済を異常なまでの不況に落とし込んだ最大の元凶である。

 新自由主義の名のもとに「構造改革」路線を突き進み、強きを助け、弱きをくじいてきた自公政治は、ついに昨年、国民から「退場」の審判を下され、新たに民主党を中心とする連立内閣が発足した。鳩山新政権は、生活保護の母子加算や子ども手当の創設、公立高校授業料無償化など国民向けの施策を具体化する一方、後期高齢者医療制度廃止を先送りし、労働者派遣法の改正や、全国一律最賃制度の具体化については消極的な姿勢にとどまっている。米軍普天間基地「移設」問題などで迷走し、内閣支持率は急速に下落している。

 2010年春闘は、従来の大企業中心社会を継続するのか、それとも国民の懐を温め、内需の拡大で経済を回復する道に本格的に踏み出すのかの選択の時期のたたかいとなる。
 国民春闘共闘委員会は、「変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需の拡大を」をスローガンに、「目に見え、音が聞こえる」2010年春闘をたたかう。
 「誰でも月額1万円、時給100円以上」の賃上げ統一要求を高く掲げ、大企業に対し、内部留保を取り崩し、雇用確保・賃上げにまわすことを強く要求する。政府に対し、労働者派遣法の抜本改正など「働くルール」の拡充、全国最賃「時給1000円以上」の実現、社会保障制度の充実などを求めてたたかっていく。「雇用守れ、仕事よこせ」の運動前進のために、中小企業など経営者との共同を強め、たたかいを職場・地域から展開する。
 新政権下で初めてたたかわれる2010年春闘を、21世紀に日本社会が大きく転換する画期とするために、ともに全力でたたかおう。



2010年1月12日

国民春闘共闘委員会 第1回単産・地方代表者会議