2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第49号 2010年8月6日

2010夏季一時金・第4回最終集計

一組合平均60.3万円 1.87カ月

ほぼ前年並み 中小など44%が前年上回る

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は5日、夏季一時金の第4回最終集計を行い、27単産部会から報告が寄せられました。ほぼ前年並みながら、一組合あたりの平均で前年を上回り、中小組合を中心に44%が前年実績額以上をかちとっています。

 

<回答状況について>

 第4回(最終)の集計結果は、別表のとおりです。

 (1)登録組合数…      687組合
 (2)回答組合数…      549組合(登録組合の79.9%)
     うち上積み獲得…   133組合(回答組合数の24.2%)
     うち前年実績以上…  156組合(金額回答359組合の43.5%)
     うち妥結組合…    405組合(登録組合の59.0%)

単純平均 687組合 1.87カ月 602,892円
前年同期 同一組合
(同期比)
1.88カ月
▲0.01カ月
601,317円
+1,575円
564組合
(同期比)
1.85カ月
+0.02カ月
601,594円
+1,298円
加重平均 13.9万人 621,975円
前年同期 14.6万人
(同期比)
636,513円
▲14,538円
※月数のみ、または額のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。

<回答状況の特徴について>

  1. 第4回集計には、前回と同じく27単産部会から報告が寄せられました。前回集計時(7/8)から新規の回答数を伸ばしているのは、金融労連、建交労(運輸)、特殊法人労連、全証労協などです。これまでに大部分の組合が支給日を迎え、回答を引き出したのは549組合と、登録組合全体の80%に達しました(前年同期は564組合・80%)。一方、妥結組合は405組合と、登録組合の6割に達せず、前年同期(465組合・66%)を下回っています。回答引出しの進ちょくに比べ、妥結が遅れる傾向は、春闘期における賃上げ闘争と同じであり、一時金の増額で減収分を取り返すたたかいが、中小段階でなお続いていることを表しています。
  2. 一組合あたりの平均支給額(単純平均)は60万2892円で、前年同期(同一組合=60万1317円)から1575円増。組合員一人あたりの平均(加重平均)は62万1975円で、前年同期(63万6513円。ただし同一組合でない)から1万4538円減となりました。規模別で「1000人以上」の組合が2万円以上のマイナスとなっていることが、全体加重平均のマイナスに影響しています。その他は「30〜99人」を除けば、各段階とも前年比プラスとなっています。
  3. 前年実績と比較可能な24単産部会のうち、金額(単純平均)で前年を上回っているのは13、減が11となっています。産業別でプラスになっているのは、金融・証券、建設、医療などです。単産別では、製造関係で化学一般労連が7万円余りの増をかちとりましたが、前年マイナス分(約19万円減)の約4割を取り返したという状況です。合同繊維も約7万円の増額となり、2年前の水準を確保しました。流通関係では、おおむねマイナス傾向となるなか、検数労連が7万円以上のプラス(前年比37%増)となっています。しかし、前年5割以上の減額を強いられたことから、2年前の水準からはまだ大きな開きがあります。マスコミ関係では、民放労連が7万円近い増額をかちとる一方、地方紙が多数を占める地方マスコミは、前年比約9万円減、2年前からは20万円を超える大幅なマイナスを強いられています。映演労連は1万円を超える増をかちとりました。
  4. 前年実績額以上を引き出したのは156組合(金額回答数の44%)と、前年同期の81組合(22%)を大きく上回りました。前年比で10万円以上の増をかちとっているのは30組合で、このうち7つがJMIUの組合です。回答次数では、化学一般労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、生協労連、民放労連など133組合(回答組合の24%)が2次〜4次の回答を引き出しています(前年は144組合・26%)。150万円以上の回答を得ているのは出版労連など6組合(前年は8組合)で、100万円以上は出版労連、民放労連、地方マスコミなど29組合(前年同数)となっています。

2010年 夏季一時金 回答+妥結 産業別・単産別 総括表(PDF147KB)

パート一時金  0.73カ月 4.8万円

 パート一時金については、7単産131組合から報告が寄せられました。一組合あたりの単純平均は4万7889円(前年比5824円減)、0.727カ月(同0.032カ月増)となりました。前年と比較可能な単産のうち、金額で前年を上回っているのは、建交労と全労連全国一般です。
 臨時・非常勤・嘱託等(勤務日数が正規より少)は、7単産1地方の84組合から報告がありました。単純平均額は30組合の平均で8万8350円(前年比1万1967円減)、月数は56組合の平均で0.912カ月(同0.013カ月増)となりました。日本医労連のみ、金額・月数ともに前年実績を上回っています。

 今季の夏季一時金闘争は、輸出関連の製造業を中心に大企業がV字回復≠とげる一方、肝心の国内消費が冷え込んだままであることから、圧倒的多数の中小零細企業は回復≠ゥら大きく取り残されるという状況のもとでたたかわれました。これは、今回の最終集計において、同一産業のなかでも単産・単組ごとにプラスマイナスが分かれ、全体として、前年に続きマイナス傾向を克服しきれないという結果にも表れています。
 しかし、こうした困難な状況のなか、登録組合の44%が前年実績額以上を獲得したことは貴重な成果です。第1回集計時点(6/3)では、前年実績額以上の組合は24%であり、ここから盛り返してきたことは、例年に比べ妥結が遅れている状況とあわせ、各組合がねばり強いたたかいを展開してきたことを示しています。

 本日6日、中央最低賃金審議会は、今年度の地域別最低賃金の改定目安として、10円から30円の引上げを厚労大臣に答申しました。これは、全国平均で時給728円(15円増)にすぎず、国民春闘共闘などが要求する「時給1000円以上」にはほど遠い水準ですが、前年は35県で「現行水準を維持」として目安額が示されなかったことからすれば前進です。全労連・国民春闘共闘はこの間、最賃の引上げを求めて、街頭宣伝や署名活動、議員要請、座り込み行動など、単産・地方の創意を凝らしたさまざまな運動を展開してきました。これらのとりくみが一定の成果をもたらしたことに確信をもち、引き続き、地方最賃審議会への要請、人事院の「マイナス勧告」を許さないとりくみをはじめ、貧困と格差をなくす運動を展開していきます。

(おわり)

2010年 パートの一時金獲得状況(PDF82KB)


<参考> 他団体の集計結果

●連合の夏季一時金第5回回答集計(7月1日現在)は以下のとおりです。

集計組合 加重平均
組合数 人数(万) 金額 昨年
2124 133.0 622,452 2.12 625,701 2.12
単純平均
455,781 1.84 448,698 1.83

●日本経団連の夏季一時金妥結集計(大手企業。7月20日現在)は以下のとおりです。

集計対象 集計
企業
加重平均 単純平均
金額 昨年 金額 昨年
大手企業 163社 757,638 753,500 689,222 683,845

※集計対象は東証一部上場、従業員500人以上の企業

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