2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第46号 2010年7月8日

7・7最賃デー・霞ヶ関行動を実施

最大の成長戦略は―

最低賃金の引上げだ

 “午前中は大雨”という大方の予想が外れた7日、全労連・国民春闘共闘は、東京春闘共闘との共同で「7・7最賃デー・霞ヶ関行動(第4次最賃デー)」にとりくみ、単産・首都圏から約300人が参加しました。都内3カ所での早朝宣伝に続き、各省庁前で要求行動を連続展開。「最低賃金の引上げこそ最大の成長戦略だ」「公務員賃金を改善しろ」「公契約法の制定、公共サービス基本法の具体化を」などの要求を掲げ、元気な声を響かせました。

 

 政府は6月3日に雇用戦略対話第4回会合を開催し、「2020年までのできるだけ早期に全国最賃(時給)800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」と政労使で合意しています。これに続き、7月2日には2010年度の最賃引上げ額を討議する中央最低賃金審議会が開かれ、長妻厚労大臣から諮問がおりました。
 こうした情勢のもと、今回の最賃デー行動は「公約10年先延ばし=ワーキングプア10年放置は許さない」と、早期の公約実現とともに、最賃引上げとセットで行う中小企業支援、公務員賃金の改善、公契約法の制定などを求めて実施したものです。

総務省前行動

『労働者みずからが運動の先頭に』

 早朝宣伝に続き、午前10時から行われた総務省前要求行動には、約250人が結集しました。
写真  主催者あいさつで東京春闘の伊藤潤一代表委員は、国や自治体が発注する公共工事の多くが非正規労働者によって担われていることを指摘。東京では自治体キャラバンなど公契約条例制定を求める運動を展開し、国分寺市、日野市、世田谷区などで検討が進んでいるとのべ、「1日も早い公契約法の制定と、公共サービス基本法の具体化のため全力をあげよう」と呼びかけました。
 各団体を代表して4人が決意を表明。全印総連の代表は、この間約500社を訪問し、懇談を重ねてきた経験を紹介。「(発注元が)平気で単価を切り下げてくる」「廃業も考えている」など、中小の印刷・出版会社が深刻な経営実態にあるとのべ、人件費を含む適正単価を保障し、企業も人も成り立つ社会にしようと訴えました。
 「東京都の非正規職員は時給800〜900円台。そこから交通費を除けば最賃(東京都=791円)を下回る。都は脱法行為をやめるべきだ」(東京公務公共一般)、「シルバー人材センターから派遣されていた学校用務員がペンキ塗装中に事故で死亡したが、責任があいまい。民間委託、偽装請負を食い止めるため、自治体や地域住民との協力共同が大事だ」(埼労連)、「川崎市では一人親方も対象にした公契約条例が検討されている。トップダウンでなく、自治体職員自らが公契約運動の先頭に立とうと、独自のチラシをつくって県下の自治体門前で宣伝している」(神奈川自治労連)などの発言が続きました。

経産省・中企庁前行動

最賃引上げとセットで 中小企業への支援をおこなえ

 続いて、経済産業省・中小企業庁前で集会を行いました。
 全労連の大木寿副議長は主催者あいさつで、日本の最賃が全国平均時給713円であるのに対し、EU諸国はいずれも1000円以上(月額15〜20万円)であることを紹介。「ヨーロッパでは、最賃を引き上げたことで倒産や解雇が増えたという話は聞かない。最賃引上げとセットで中小企業対策を行っているからだ」とのべ、アメリカ向けの“思いやり予算”より低い中小企業対策予算の抜本的増額を求めました。また、私たちの運動が、政府の姿勢をともかくも最賃引上げの方向に変えてきたことに確信をもち、「中小企業憲章を『絵に描いた餅』にせず、人間らしく働ける暮らしを求めて、目前の参院選をはじめ全力でとりくもう」と呼びかけました。
 決意表明でマイクを握ったJMIUの代表は、「一昨年秋のリーマンショック以降、中小企業は2〜3割の受注減は当たり前、5〜6割、なかには9割減というのもある」とのべ、創業100年以上の老舗企業さえ会社をたたまざるをえない実態を告発。「大企業の経営はV字回復しても、政府の減税支援策の恩恵は中小企業には回ってこない。下請二法の改正・実質的運用を求める」とのべました。
 建交労は「2020年までに最賃平均時給1000円をめざすという政府案は、実質経済成長率2%以上(年平均)を前提にしているが、労働総研の試算によると、時給1000円以上への引上げで日本経済は2%以上成長する。順序が逆だ」と発言。千葉労連は最賃引上げや公契約の課題で保守も含め理解が広がっていることを紹介。国公労連は、公共サービス改革で、これまで一発勝負だった業務委託の競争入札が、他の入札価格をみながら何度でも入札できるようになり、物品調達にも拡大している問題を指摘しました。

厚労省・人事院前行動

最賃引上げこそ最大の“成長戦略”だ

 正午からの厚生労働省前行動には300人が参加しました。
 主催者あいさつに立った国民春闘共闘の小田川義和事務局長(全労連事務局長)は「法人税率引下げのための消費税増税を許さず、大企業優先の政治から労働者の生活重視の政治に切り替え、最賃を引き上げさせよう」と訴え。公務員賃金について、人事院が56歳以上の賃金カットを検討していることをあげ、「年齢差別以外の何物でもなく、均等待遇にも逆行する」「断じて許されない」と強調しました。
写真  各労組の代表4人が決意表明。「アンケートでは『仕事がなく自殺を考えている』という書き込みがあった。(公共工事)設計労務単価は13年連続で下落している。適正賃金確保のために、最賃引上げ、公契約法・条例が必要だ」(東京土建)、「要求していないのに時給が上がった職場がある。最賃が引き上げられたからだ。法による引上げが重要だ」(生協労連)、「中小経営でも時給1000円以上の協定を結んでいるところは多くある。大企業、政府・自治体こそがワーキングプアを生み出している。自ら襟を正すべきだ」(全労連全国一般)、「人事院は非正規に対する給与指針を発表しているが、一般行政職の高卒初任給が基準とされ、時給換算で700円余りと最賃ギリギリ。公務の青年、非正規の低賃金を解決するためにも、最賃1000円以上は大きな課題だ」(全教)と発言しました。
 集会の最後に、厚労省・人事院の建物に向き直り、参加者全員でシュプレヒコール。「最賃1000円以上に引き上げろ」「公務員賃金を改善しろ」「非正規の均等待遇をはかれ」と、大きな声を響かせました。
(おわり)

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