2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第44号 2010年6月24日

2010年度・第2回単産地方代表者会議を開催

スト増、有額獲得など奮闘

“ベアゼロ”の流れに挑戦した春闘―いざ、夏の闘いへ

 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は6月23日、全労連会館で2010年度・第2回単産地方代表者会議を開催し、加盟単産・首都圏から61人が参加しました。昨年に引き続き厳しい情勢のなかでたたかわれた今春闘における経験と教訓を交流し、参院選挙のとりくみとあわせ、夏季闘争を意気高くたたかう決意を固めあいました。

 代表者会議には、23単産団体・4地方から61人が参加しました。
写真 開会あいさつに立った大黒作治代表幹事(全労連議長)は、今春闘のとりくみについて、連合の大手単産がベア要求を放棄し、賃金カーブ維持しか目標とせず、大企業の業績回復はあっても中小零細企業へは波及しないという厳しい中でのたたかいだったと指摘。「企業の存続さえ見通しがつかない、定昇制度もない民間中小が多く集まる国民春闘共闘としては、全体として健闘してきた」とのべました。大企業の内部留保について「すぐに換金できるものではない」という企業側の言い訳に矛盾が広がっていることを指摘し、「内部留保の社会的還元と、貧困と格差の解消を求める国民的世論をいっそう高めよう」と呼びかけました。また、鳩山前内閣の崩壊を受けて発足した菅新政権について、普天間基地問題の公約違反、「政治とカネ」問題の解明にも背を向けたまま、自民党などと「消費税増税大連立」を構築しようとしていることを厳しく批判。夏季闘争とあわせ、アメリカ言いなり、財界の横暴な支配から脱却する政治への転換を求めてたたかおうと訴えました。(あいさつ全文は別掲

 小田川義和事務局長(全労連事務局長)が「2010年春闘の中間総括(案)」を提案。
 政権交代後初めてたたかわれた春闘で、「三つの重点課題と一つの共同」を掲げ、「目に見え音が聞こえる春闘」状況をつくり出そうと、各職場・地域で奮闘してきたとのべました。賃上げ額は、単純・加重平均とも、大きく落ち込んだ前年並みにとどまったものの、前年妥結額以上の回答を引き出した組合が、登録組合全体の52%に上ったことを評価。11年ぶりに全国規模の統一ストライキを打った自交総連など、スト実施組合が前年の335組合(全体の10%)から今年は435組合(15%)に増加したことや、日本医労連など80組合がベアを獲得し、定昇制度のない組合でも、建交労をはじめ有額獲得組合数が前年を上回っていることなどをあげ、「奮闘の成果」と強調しました。
 一方、全体として要求提出率が前年をやや下回ったこと、単産間でのアンバランスなどを指摘。春闘長期化(分散化)の傾向について、たたかいの組み立て方も含め、議論が必要だとのべました。
 参院選挙公示を翌日に控えた情勢のもと、通常国会で「継続審議」となった派遣法改正問題をはじめ、最賃大幅引き上げ、人勧闘争、後期高齢者医療制度廃止、核兵器廃絶をめざすとりくみなどを有機的に結合し、夏から秋のたたかいへつなげようと呼びかけました。

要求提出し、たたかってこそ労働組合

 討論では、各組織の代表ら15人(民間10、公務3、地方2)が発言しました。
 全農協労連は、宮崎県で発生した口蹄疫問題について、農家だけでなく関連業者も深刻な被害を受け、解雇問題が発生していることを報告。民主団体などとネットワークをつくって支援の輪を広げるなか、訪問先の農協組合長が「労働組合がこんなことまでするのか」と、感激して対応してくれたことを紹介しました。JMIUは、「定昇5000円と、たたかってかちとったベア1000円と、どちらに価値があるか」と問いかけ、厳しい情勢だからこそ、要求を出して将来展望を拓くことの大切さを強調。「春闘とは何か」という根源的な議論を通じ、来春闘に向けて団結と統一行動の強化を呼びかけました。
 映演労連は、ある組合の職場集会での出来事を紹介。女性組合員が泣きながら「こんな給料では結婚できません」と発言したことをきっかけに組合執行部に火がつき、2次、3次と会社側から譲歩を引き出した経験を語り、「上から押し付けるのではなく、職場の怒りをいかに全体の力にするかが大切」と力説しました。
 「東京がタクシー減車を率先して行っている。規制強化の流れを変えない運動を」(自交総連)、「個別の労使関係だけでは解決できない。経済的規制を企業にかけていく社会的反撃が重要」(建交労)、「中央区の図書館では月額2万8000円の賃上げをかちとった。仕事の専門性と要求を織り込みつつ交渉してきた成果だ」(自治労連)、「自治体キャラバンで核廃絶署名を依頼したところ、役場ぐるみで署名にとりくんでくれた」(千葉)など、多彩な教訓や経験が報告されました。

 討論のまとめで、小田川事務局長は、「刺激的で本音の議論ができた」と謝意をのべ、「単産・地方のそれぞれの特徴をふまえつつ、同じ方向を向いた議論を引き続き深め、夏季闘争を全力でたたかっていこう」と呼びかけました。
 伊藤潤一代表幹事(東京春闘共闘代表委員)が閉会あいさつ。全員の団結ガンバロー≠ナ会議を締めくくりました。

(おわり)

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