2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 34 号  2010年05月07日

 

女性の春闘懇談会を開催

―寸劇まじえ、派遣法改定案の問題点を学習―

 4月27日、東京・全労連会館に、さまざまな労働組合の女性組織から65人が集い、国会審議中の労働者派遣法「改正」案の学習と職場の実態交流を行いました。弁護士による講演と、法案の問題点をわかりやすく解き明かした寸劇≠ェともに好評を博し、楽しく元気の出る集会となりました。




 『女性の春闘懇談会』は、国民春闘共闘委員会に参加する組織をはじめ、広く労働組合女性組織に呼びかけを行い、毎年交流を重ねてきたものです。
 今年は、女性の半数以上が非正規雇用に置き換えられるなか、「育休切り」や男女賃金格差が是正されない実態や、派遣労働者の多くが女性であることから、国会での派遣法抜本改正を求める運動を女性たちが担っていこうと、学習交流のテーマを設定してとりくみました。

 写真  懇談会の主催者を代表して、全労連の柴田女性部長があいさつ。今春闘での育児介護休業法の改正施行を前にした諸制度の獲得状況を報告しながら、「派遣法改正は女性労働者の課題。国会での抜本改正を求め、全労連としては座り込みも配置してたたかう。ぜひ広範な共同を」と提起。また、「私たちは今回の改正で専門26業務の専門性の厳格化と見直しを要求しているが、厚生労働省の審議会では専門業務を拡大する議論もされている」と指摘。「世論と国会議員に派遣労働の実態を訴え、抜本改正をかちとろう」と呼びかけました。



派遣労働はそもそも労働者供給事業≠ニして禁止されていた

 東京法律事務所の弁護士・岸松江さんが、「労働者派遣法改正法案で どうなるハケン労働」と題して講演。「派遣労働は、雇用主と使用者が別々であることにより、雇用主である派遣元と使用者である派遣先は民法上の労働者供給契約が根本にあり、ここに競争原理が働くため、事実上、派遣労働者の権利は超不安定で奴隷的な労働になる。このため1985年までは労働者供給事業として禁止されていた。本来あってはならない労働で、ゆくゆくはなくさなければならない」と指摘。85年の派遣法成立時に「男性並みに働けない女性のために」派遣労働が導入された審議会の議論を紹介しました。

 また、当初13の専門業務に限定されていた派遣労働が原則自由化となり、一昨年の「派遣村」に見られるように、多くの労働者が使い捨てにされ、物扱い≠受けるようになったのは、派遣労働者が「商品」として扱われているからだと強調。現在審議中の「改正」案について「労働契約申込み義務の撤廃や、グループ派遣≠大幅に認めるなどの改悪が盛り込まれている。製造業や登録型派遣は原則禁止とされているが、現行の8割の派遣労働が禁止されない抜け穴をつくっている。均等待遇原則や、違反があった場合の直接雇用とみなす制度も実効性が乏しい」と問題点を指摘しました。

 写真  講演後、全労連女性部役員がみずから配役となって寸劇を上演。派遣募集に応じた女性が「ずっと働けるから」という約束で派遣先会社に入ったものの(いわゆる「常用型」)、数カ月後に「見込み違い」を理由に簡単に解雇され、抗議するも、双方の会社からまったく相手にされないというシナリオで、法案の問題点をわかりやすくあぶり出し、会場から大きな拍手を受けました。この寸劇の台本オリジナルは、兒玉修一弁護士(日弁連「貧困と人権に関する委員会」)のご協力をいただいたものです。

 つづくフロア発言では、全労連全国一般・アンフィ二分会の池田さんが派遣切りの実態を告発。出版ネッツの北さんは、「フリーで働く仲間の権利の獲得は労働組合があってこそ」と発言しました。
 通信労組の菅原さんは、NTTで行われている正社員のリストラと非正規化、派遣法「改正」法案を先取りして契約労働者を派遣に置き換える会社側の攻撃に対するたたかいについて報告。国公労連(全厚生)の清水さんは、労働者を守るべき厚生労働大臣が社会保険庁職員の分限免職を行ったことを告発。正規労働者を解雇しながら非正規を雇い入れ、年金実務が滞っている実態を報告しました。

 特殊法人労連の篠原さんは、「事業仕分け」のなかで「雇用・能力開発機構」の廃止が議論されていることについて、「職員の雇用問題とあわせ、職業訓練の責任を放棄するもの」と指摘。日本航空キャビンクルーユニオンの木谷さんは、女性を狙い撃ちにした日本航空の人員削減の実態を報告し、支援を訴えました。







 
 変化をチャンスに、貧困・格差の解消、内需の拡大を 




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