2010国民春闘共闘情報
全労連HP

第 32 号  2010年04月26日

個別回答状況一覧  産業別・単産別総括表  パート等の賃上げ状況

 

 10春闘・賃上げ第4回集計 

単純平均、前年同期上回る

―過半数が前年妥結額以上を獲得―


 国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇などで構成)は4月22日、今春闘における第4回目の賃上げ集計を行い、新規報告の2組織を含む23単産部会(287組合)から報告が寄せられました。今春闘で初めて単純平均(組合ごとの平均)額で前年同期を上回り、前年妥結額以上を引き出した組合も回答組合の過半数に達するなど、各組合における追い上げが数字上にも表れています。


 1.回答状況について
   第4回の回答集計には、別表の23単産部会から報告が寄せられました。
   おもな数値は以下のとおりです。

 
(1) 登録組合数 790組合    
(2) 回答組合数 342組合 全体の 43.3%
  うち金額・率回答 287組合 全体の 36.3%
  うち上積み獲得 80組合 金額・率回答数の 27.9%
  うち前年妥結額以上 146組合 回答組合数の 50.9%
  うち妥結組合 110組合 全体の 13.9%
  単純平均 287組合 5,401円 1.74%
  前年同期 285組合 5,310円 1.70%
  前年同期比   +  91円 + 0.04P
  加重平均 7.8万人 5,788円 1.87%
  前年同期 7.1万人 5,835円 1.90%
  前年同期比   −  47円 −0.03P

 注) 額または率のみの報告があるため、双方は必ずしも連動しません。


『30人未満』の小規模組合が健闘

  前年妥結額以上の組合が過半数に

 2.回答状況の特徴について

@,今回、単産部会で新たに回答を寄せたのは、映演労連、建交労・建設の2組織です。このほか日本医労連、出版労連など14単産部会から新規または上積み回答の報告がありました。金額または率による回答を引き出した組合は287組合(790登録組合の36%)であり、前年同期(285組合)とほぼ同水準になっています。

A,有額回答以外の「回答」は、その大半を「定昇のみ」が占めており、すべての産業にわたっています。生協労連や地方マスコミからは「回答延期」や「定昇凍結」、「状況によっては賃金カット」などの不誠実回答も報告され、押し返すたたかいが続いています。

B,今回は単純平均(組合ごとの平均)で5401円(1.74%)と、今春闘のとりくみで初めて前年同期(5310円)を上回りました。組合員一人あたりの加重平均は5788円(1.87%)と、前年同期(5835円)とほぼ同額まで押し上げてきました。第1回集計時(3/18)との比較でも、単純平均で401円増、加重平均でも477円増とそれぞれ上昇しています。

C,単産別では、プラスとマイナスの組織がほぼ同数となっています。産業別でみると、建設・製造、運輸業関係は小幅ながらも増額傾向を示しているのに対し、小売、金融・証券、印刷出版・マスコミ関係は、減額の傾向がやや強くなっています。
 規模別では、「30人未満」の小規模組合が前回までのマイナスから初めてプラスに転じ、「100〜299人」も前回のプラスからさらに上積みしています。「300〜999人」「1000人以上」の中堅・大規模組合でも、マイナス幅をそれぞれ縮小して前進しています。

D,初回回答からの上積みを獲得したのは80組合(有額回答数の28%)と、前年同期の65組合(23%)を上回っています。前年妥結額以上(同額含む)を引き出しているのは146組合(有額回答数の51%)と過半数に達し、前年同期の82組合(29%)から大幅に増加しています。

E,回答次数では、化学一般労連の組合の第5次を筆頭に、JMIU、地方マスコミ、日本医労連などが3〜4次の回答を引き出しています。妥結組合数は、4月中下旬の追い上げのとりくみのなかで増加しつつありますが、なお全体の14%にとどまっています。
 なお、「1万円以上」の賃上げ回答は、12組合報告されています(前年同期は17組合)。最高額は前回集計時(4/8)から順位が入れ替わり、出版労連の組合が1万4382円を引き出してトップとなっています。



時給引上げは16円台で前回と変わらず

  日給・月給はともに前年同期を上回る

 3.パート等の賃上げ回答状況

 パート・アルバイト等の賃上げは、今回新たにJMIUから報告が寄せられ、回答引出し数は10単産1地方の218組合となりました。

 このうち時間給で回答があったのは150組合であり、組合ごとの単純平均で引上げ額は16.2円(前年同期比2.8円減)となっています。「一ケタ〜20円」という回答が多数を占めるなか、日本医労連が看護師・介護職などで時給80円〜200円アップを引き出すなど、全体平均を押し上げています。

 日給では15組合の単純平均で、引上げ額は146.5円(前年同期比72円増)。月給は53組合の平均で、引上げ額は3467円(前年同期比1394円増)となっています。

 単産別では、日給で自治労連(非正規)が400〜600円増、月給でも自治労連(非正規)、医労連(パート)が1万〜5万円台を引き出すなど、全体を押し上げる役割を果たしています。



 4.企業内最賃の改定状況

 企業内最賃の改定については、新たに化学一般労連、全労連全国一般から報告があり、全体で7単産・117組合が回答を引き出しました。全体の単純平均は17万0510円で、前年同期(17万4178円)をやや下回っています。単産では、化学一般労連や出版労連を中心に引上げをかちとっています。

 全体として、4月中旬から下旬にかけて設定した「回答引出し・行動強化ゾーン」、「4・21国会集中行動」などを節目とした各単産の統一したとりくみで、当初の減額傾向を押し返し、単純平均では前年同期を上回るところまで前進させてきたことは貴重な成果です。これは、低額回答に怒りを燃やし、18年ぶりに半日ストをうって上積みをかちとったJMIUの組合など、多くの中小組合が実力行使を背景に切実な生活実態を経営側に突きつけ、ねばり強く交渉してきた結果が全体に波及したものです。

 一方、パートなど非正規の賃金改善が、いぜんとして前年同期を下回っていることは重大です。これらの労働者は正規よりさらに深刻な生活実態におかれていることからも、しわ寄せの犠牲にしようとする経営側の姿勢を許さず、均等待遇実現など諸要求の獲得とあわせ、春闘後半戦でとりくみをいっそう強化することが求められています。



 <参考> 他団体の賃上げ集計結果
連合の第3回賃金改定集計(平均賃上げ方式・4月12日現在)は以下のとおりです。

集計方式 回答+妥結 単純平均 加重平均
組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 1,823 156.0 4,222 1.61 4,368 1.65 5,102 1.74 5,236 1.77




日本経団連の第2回賃金改定集計(4月23日現在)は以下のとおりです。

注) 大手企業の調査対象は東証一部上場、従業員500人以上。金額には定昇等を含む。
    中小企業の調査対象は従業員500人未満。金額には定昇等を含む。

集計方式 回答+妥結 単純平均 加重平均
社数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 76 - 5,237 1.73 5,283 1.69 5,838 1.81 5,798 1.76
中小企業 132 - 3,716 1.46 3,447 1.31 4,028 1.54 3,694 1.40





 
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