2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第 28 号  2009年04月21日

 

「経済危機対策」に逆行、景気に冷水だ!

  民間単産から怒りの声  

公務員一時金カット反対で人事院に緊急要請

 人事院の夏季一時金の一時金引き下げの動きにかかわって、国民春闘共闘は「4・22中央総行動」を前にした21日、民間労組の代表による人事院への申し入れをおこないました。公務員のボーナスカットは、いまも交渉を重ねる民間中小組合の春闘妥結額にストレートに反映し、交渉をさらに困難にさせることは必至です。民間組合の参加者からは、切実な実態が出されるとともに、ルールを破る人事院に対して怒りの声が集中しました。



「淡々と調査をやっているだけ」とくり返す人事院

 人事院への要請には、国民春闘共闘から中島全労連賃金部長を先頭に、JMIU(金属情報機器)三木書記長、日本医労連の小池中央執行委員、自交総連の菊池書記次長、生協労連の桑田委員長、民放労連の井戸書記長が参加し、民間単産の委員長・書記長クラスが顔をならべました。また、公務労組連絡会は松井書記が同席しました。
 はじめに中島全労連賃金部長が、別添の要請書を提出し、「今回どうしてこういうことになったのか説明してほしい」とせまり、「新聞報道では与党から直接的な指示があったかのような情報があるがどうなのか」と追及しました。
 対応した人事院の事務総局総務課の森谷課長補佐は、「現在4月7日から24日まで民間企業を対象として調査をしているが、民間の夏のボーナスは、連合の集計では率で10%以上落ち込んでいる。今までにない激変をふまえて実施したものだ。淡々と調査をしている」と説明し、「与党などの圧力はない。人事院は独立した機関であり、自分たちの判断で調査をやっている」と強調しました。
 参加者からは次のような発言がありました。

生協労連・桑田委員長
 一時金のダウンは生協の職場を直撃する。調査はにわかに決まったようだが、社会的影響力とともに、今後どうするのかを明らかにせよ。消費購買力は下がるし、政府の景気対策とも逆行する。直ちにやめてもらいたい。
自交総連・菊池書記次長
 タクシー業界は一時金のないところがほとんどで、年収300万円を切るのがほとんどだ。目標としている社会的水準が下がれば全体が下がるし、消費も落ち込んでしまう。公務員のボーナス引き下げは認められない。
日本医労連・小池中執
 人勧準拠が7割の職場だが、2008年人勧では医師の初任給が上がっただけだ。今年一時金が下がったら、08人勧は何だったのか?厳しい医療現場の賃下げは絶対にやめるよう強く求める。
民放労連・井戸書記長
 140組合中、夏季には大手の25組合に回答がでるが、中小やローカルでは人勧を参考にして公務員給与をベースに決定しているところが多い。民放労連が結成されて以来の下降圧力が強い。補正予算で15兆円のバラマキの一方で、現場の公務員の一時金カットは間尺に合わない。
JMIU・三木書記長
 率直に言って人事院の仕組みはよくわからないが、民間の製造業者にとって一時金は大事だ。春闘ゼロ回答や一時帰休、残業代ゼロで、数万円から10万円の賃下げが多いなか、一時金を生活費に補填している。すでに決まった一時金を引き下げることは契約違反、約束破りだ。

 人事院は「一時金引き下げありきに聞こえるが、調査をやっている段階だ。調査結果をどうするのかを決めているわけではない。誤解のないようにしていただきたい」と回答しました。
 最後に中島部長は、「国民春闘共闘としては中小をふくめた一時金回答は、マイナス5%以内に落ち着くのではないかとみている。不況の波をもろに受けた製造業大手が中心の連合の調査にまどわされるな。引き下げ勧告は断じて認められない」と重ねて申し入れ、要請を終えました。



2009年4月21日

人事院総裁 谷 公士 殿

国民春闘共闘委員会

公務員の一時金引き下げに反対する要請書

 人事院は、民間企業における夏季一時金に関する「特別調査」の実施を4月7日から開始しました。一方、自民・公明の与党は、今夏の国家公務員の一時金を引き下げるために、議員立法で改正法案を提出するための準備をすすめています。国民春闘共闘は、大幅な一時金削減をねらうこうした動きに反対するとともに、人事院の特別調査をただちに中止するよう求めるものです。
 世界的な経済危機を背景に、09春闘での大手組合の賃金回答は、製造業を中心としてベアゼロや定期昇給の凍結など厳しい結果となっています。夏のボーナスも大幅減が伝えられています。しかし、議員立法での給与法改定や、人事院による異例の特別調査は、次のような問題点を持っており、とうてい認められません。

 第一に、現在もたたかいを継続している春闘共闘に加盟する民間中小組合の労使交渉の行方に影響し、賃下げの圧力が強まることです。賃下げは、景気の悪化にもつながります。いま、麻生内閣が、「定額給付金」という方法をとってまで消費拡大をはかろうとしていますが、個人消費を伸ばすためには労働者の賃上げこそ必要です。公務員の一時金引き下げは、麻生内閣の「景気対策」とも逆行します。
 第二に、「公務員バッシング」で国民からの支持獲得という、明らかに選挙目当ての与党の思惑に沿って、ルールを無視したやり方をゴリ押ししようとしていることです。当然ながら、与党による議員立法は、公務員の労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度とはあいいれません。それに迎合した人事院の「特別調査」も前代未聞です。ルールを破って、公務員賃金を政治の道具に利用することは認められません。

 深刻な不況を打開するためには、GDPの6割をしめる個人消費を暖めることが必要であり、労働者の賃上げこそ求められています。私たちは、以上の立場から、貴職に対して以下の要求の実現を求めます。

1、民間企業を対象とした夏季一時金に関する調査をただちに中止すること。
2、一時金引き下げの「臨時勧告」などは、断じておこなわないこと。



以上




 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会




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