2009国民春闘共闘情報
全労連HP

第24号・回答第2号  2009年03月27日

産業別・単産別総括表  個別回答状況一覧  パート等の賃上げ状況

 

製造業など12単産が前年比マイナス

加重平均は5,891円、1.92%に上昇

 3月中〜下旬、第1次回答の特徴について 

2009年3月27日 国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは3月26日、国民春闘共闘(全労連、純中立労組懇など)の各単産より11日の集中回答日以降25日までに引き出した第1次回答を中心とする第2回目の報告(先行組合の2次〜3次回答を含む)を受けた。これには、17単産部会から265組合の報告が寄せられた。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 808組合 29単産部会より登録    
(2) 回答組合数 265組合 引出し率 32.8%  
  うち金額・率回答 189組合 ほか76組合は 「定昇のみ」などで未計算  
  うち2次回答以上 21組合 上積み率 11.1%  
  うち前年実績以上 52組合 回答数の 27.5%  
(3) 単純平均 189組合 5,480円 同率 1.69%
  前年同期 195組合 5,967円 同率 1.94%
  前年同期比   − 487円   − 0.25P
  加重平均 5.2万人 5,891円 同率 1.92%
  前年同期 4.2万人 6,195円 同率 1.93%
  前年同期比   −  304円   −0.01P


21組合が回答上積み、52組合が前年実績プラス

 4) 全体の傾向について
 1) 第1回集計(3月12日)以降に回答指定日を迎えた単産もあり、2週間の取りくみで有額回答の引き出し数が101組合増えた。この間、新たに回答を引き出した単産は、建設関連労連、化学一般労連、同・紙パ、建交労・鉄道、全倉運、全労連全国一般、全証労協、日本医労連などの9単産部会で、引出し数が増えてきたのはJMIU、建交労・運輸、生協労連、全印総連、出版労連、民放労連、地方マスコミ(新聞)などである。

 2) 今回は、新規の超低額回答とともに先行した組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5480円(1.69%)、一人当たりの加重平均は5891円(1.92%)になった。前年同期(3/21)との比較では単純平均が487円減、加重平均も304円の減額となった。単純平均の減額は、前年同期比で比較可能な17単産・部会中マイナスが12組織もあることに連動し、加重平均の減額は中堅・大手の組合が低額に抑えられていることによる。前年同期比でプラスになっているのは、介護分野の賃金・労働条件改善が行政・業界の課題になっている日本医労連をはじめ、現時点では建交労・製造、全労連全国一般と地方登録組合である。

 3) 09春闘は世界同時不況のもとで、内需主導型の経済に転換するために、この間、大企業が貯め込んだ内部留保を労働者と中小企業に還元することが求められていたが、多くの大企業が「ベアゼロ」や「定昇凍結」(電機大手)、一時金の大幅減額を押し付けて決着している。こうした回答傾向が中堅中小にも浸透しつつあるなか、春闘共闘各組合は統一行動を背景に、回答引き出し、上積みをめざして奮闘してきた。しかしながら、「ベアゼロ」相場の壁は厚く、第1次回答は前年同期を若干下回わる水準になった。多くの組合がベアゼロや定昇相当分、一部に「ベア獲得」が見られる程度で、定昇込み3000〜7000円台に集中している。定昇制度のない企業では1000〜5000円台が多数を占めている。とくに、中小では受注減、売上げ減がつづき、取引先からのコスト削減圧力もあって、業績悪化や赤字決算を余儀なくされたことなどが低額回答として表面化している。これらの単産を中心に「ベアゼロ」「定昇のみ」「回答延期」など金額提示のない回答が76組合を数える。

 4) 3・12全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、今週の23〜26日を中心に集中団交や統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、建交労・運輸、地方マスコミの21組合が第2次〜第3次の上積みをかちとり、全体水準を押し上げている。

 5) この間、「1万円以上」の回答が14組合報告されている(前年同期は16組合)。これまでの最高は出版労連の組合で1万2940円である。前年実績額との比較では52組合がプラス(同額16組合を含む)をかちとり、最高は出版労連の組合で前年比プラス1万0199円の1万2327円。回答次数ではJMIU3組合と地方マスコミ1組合の計4組合が第3次回答を引き出している。


時給210円アップも。91組合が引き出す

 パート等の賃上げ回答状況 A 


 3.パート・アルバイト等の賃上げは3月26日現在、生協労連をはじめ、日本医労連、建交労、郵産労、全労連全国一般、全印総連の91組合が時間額・月額アップの回答を引き出した(パート等の賃上げ状況)。
 うち、パートの時間額アップは76組合が引き出し、5円、10円、20円の報告が多く、日本医労連の専門職では30円、40円、210円も見られる。一方、生協労連のなかには「ベアゼロ」「定昇のみ」というのもある。これまでの平均引き上げ額は13.0円(前年同期は27.2円)で、前年の半額以下の低水準になっている。
 企業内最賃の回答・協定は、建交労、生協労連、全印総連、日本医労連の52組合で、月額32組合の平均は17万3926円となり、581円の引き上げになった。なお、時間額の回答・協定は39組合で平均922円(8円引き上げ)に、日額の回答・協定は14組合で平均7253円(38円引き上げ)の水準になっている。

 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月19日現在、連合調べの第1回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 311 63.1 5,830 1.94 6,371 2.08 5,092 1.86 5,952 2.13

2) 3月26日現在、日本経団連は回答+妥結状況を発表しておりません。


生活防衛へ、ベア獲得・上積みに執念を

 5.国民春闘共闘に結集する各単産は、「貧困・生活危機突破」をスローガンに、格差是正を含む積極的な賃金要求を掲げ、「誰でも月額1万円以上、時間額100円以上」の底上げを求めて、春闘前段の統一行動、「3・12」と今週の産業別統一行動などで奮闘してきた。しかしながら、いっそう厳しい経営環境におかれている中小企業では賃上げに対するガードが極めて固いという実態が明らかになった。
 この間、国民春闘共闘委員会は第4回拡大常任幹事会(3/13)をひらき、集中回答日の状況を交流するとともに、春闘後半戦にむけて「たたかいはこれから、粘り強く09春闘をたたかい抜こう」のアピールを発表し、態勢と行動、交渉を強化するよう呼びかけた。
 これを受けて、各単産でも戦術委員会や執行委員会を開催し、改めて大企業や業界団体の「ベアゼロ」攻撃を乗り越えて、残業代の減少に見合う賃上げや、生活防衛に対応できる賃上げをめざし、執念をもって回答上積みと諸要求実現にむけ、4月段階の統一行動など粘り強くたたかう決意を固めあおうとしている。

(以 上)



 
 貧困・生活危機突破の大運動で、変えるぞ大企業中心社会




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