2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第23号・回答第2号  2007年3月26日

 

単純平均5,827円、1.93%に

産業別統一行動で11単産が前年比プラス

 3月第1次回答などの特徴について 

2007年3月26日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表   個別回答一覧  

 1.春闘回答集計センターは3月23日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より3月中〜下旬に引き出した各単産の第1次回答を中心とする第2回目の報告(先行組合の2次〜3次回答を含む)を受けた。これには、18単産部会から231組合の報告が寄せられた。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 822組合 29単産・部会中 18単産が引き出す  
(2) 回答組合数 231組合 引出し率 28.1%  
  うち2次回答以上 45組合 上積み率 19.5%  
  うち前年実績額以上 127組合 回答数の 55.0%  
(3) 単純平均額 231組合 5,827円 同率 1.93%
  前年同期 196組合 5,614円 同率 1.93%
  前年同期比   +  213円   +− 0P
  加重平均額 5.1万人 5,755円 同率 1.86%
  前年同期 4.3万人 5,774円 同率 1.87%
  前年同期比   −   19円   −0.01P


45組合が回答上積み、127組合が前年実績プラス

 4) 全体の傾向について
 1) 第1回集計(3月15日)以降に回答指定日を迎えた単産もあり、1週間の取りくみで回答引き出し数が78組合増えた。この間、新たに回答を引き出した単産は、化学一般労連・紙パ、合同繊維、建交労・鉄道、通信労組、全労連全国一般などの7単産部会で、引出し数が増えてきたのはJMIU、建交労・運輸、生協労連、全印総連、出版労連、民放労連、地方マスコミ(新聞)などである。

 2) 今回は、新規の超低額回答と先行した組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5827円(1.93%)、一人当たりの加重平均は5755円(1.86%)になった。前年同期(3/23)との比較では単純平均が213円増加しているのに対して、加重平均は19円の減額となった。単純平均の増額は、前年同期比で比較可能な18単産・部会中プラスが11組織であることに連動し、加重平均の減額は比較的大手の組合が押さえ込まれていることによる。前年同期比でプラスになっているのは、製造業、マスコミ関係の単産と建交労・運輸、通信労組などである。

 3) 07春闘は、大企業が好調な企業業績を更新しているもとで、労働者の期待を裏切る「500円〜1000円のベア」を押し付け、業績向上分は一時金に上乗せして決着している。こうした回答傾向が中堅中小にも浸透しつつあるなか、春闘共闘各組合は統一行動を背景に、回答引き出し、上積みをめざして奮闘してきた。その結果、第1次回答の水準は、前年同期を若干上回っているものの、定昇相当分が多く、一部にプラスアルファが見られる程度で4000〜8000円台に集中している。定昇制度のない企業では1000〜5000円台が多数を占めている。とくに、中小では引き続き原油高、素材・鋼材価格の高騰を価格に転嫁できず、取引先からのコスト削減圧力もあって、多忙にも拘わらず業績回復に至らないことが低額回答として表面化している。商業・サービス分野では相変わらず消費不況下の業績不振などを理由とした不当回答が見られ、これらの単産を中心に「ベアゼロ」「定昇のみ」「回答延期」など金額提示のない回答が53組合を数える。こうしたことから、賃上げ額を前年同期比で見ると、産業別にも産業内でもプラスとマイナスの二極化の様相を呈しているのが特徴である。

 4) 3・15全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、前週の22〜23日を中心に集中団交や統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、化学一般労連、建交労・運輸、地方マスコミなどの45組合が第2次〜第4次の上積みをかちとり、全体水準の低減に歯止めをかけることに貢献している。

 5) この間、「1万円以上」の回答が22組合報告されている(登録外を含めると31組合)。これまでの最高はJMIUと出版労連の組合で各1万5000円である。前年実績額との比較では127組合がプラス(同額18組合を含む)をかちとり、最高は日本医労連の組合で前年比プラス8607円の1万3230円。回答次数ではJMIUの組合が第4次回答を引き出している。


 3.パート等の賃上げ、企業内最賃の回答状況について
 パート・アルバイト等の賃上げ、企業内最賃の回答・協定も昨年以上にすすんでいる。詳しくは本速報第22号(3月22日付)を参照してください。

 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月23日現在、連合は回答+妥結集計を発表していません。

2) 3月22日現在、日本経団連調べの第1回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 49 - 6,208 1.85 6,104 1.82 5,222 1.70 5,135 1.66



「生活改善へ」粘り強く回答引き出し・上積みを

 5.国民春闘共闘に結集する各単産は、深刻な格差の是正と貧困の解消をめざし、積極的な賃金引き上げと最低賃金の底上げを求めて、春闘前段の統一行動、「3・15」と3月下旬の産業別統一行動などで奮闘してきた。3月末決着をめざすたたかいも計画されている。しかしながら、引き続ききびしい経営環境におかれている中小企業では賃上げに対するガードが固く、個別労使では解決できない実態もある。

 この間、国民春闘共闘委員会は第4回常任幹事会(3/16)をひらき、集中回答日の状況を交流するとともに、春闘後半戦にむけて「大企業はぼろ儲けの社会的還元を」の要求と運動を強めつつ、中小での闘争強化を意思統一してきた。また、4・12全国統一行動・中央行動を集中してたたかうことに加え、決着をはかる4・24〜26統一行動を再確認した。加えて、5月には最賃闘争をスタートさせ、11日に決起集会と行動配置、25日には労働法制など諸課題とも結合した全国統一行動を設定した。

 これを受けて、各単産でも戦術委員会や執行委員会を開催し、改めて日本経団連や業界団体の「(横並びの)低額押さえ込み」攻撃を乗り越えて、社会保険料負担や定率減税の廃止による負担増も迫っていることから、生活改善できる賃上げをめざし、執念をもって回答上積みと諸要求実現にむけ、粘り強くたたかう決意を固めあおうとしている。

(以 上)



 
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