2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 16 号  2007年03月01日

 

「企業通信簿」、100人が評価しました。

キヤノン48点、デンソー52点、大林組25点

 大企業は労働分野のCSR(社会的責任)を果たせ!

 全労連・春闘共闘の各地方組織などが全国で2月上旬から取り組んでいる「企業通信簿付きティッシュ」の配布活動は、月末までに過半数が配布されたようです。2月28日現在、全国104人の方からチェックリストが返送されてきました。うち、採点してくれた人は101人、自由記載欄に「職場の実態」や「会社についての見方・意見」などを寄せてくれた方が71人もおり、偽装請負や不払残業など深刻な内部告発が目立ちました。これまでの特徴を紹介します。


平均点は47.2点。三菱重工が最高点、キヤノン矢向0点

 07年版の「企業通信簿」は、採点・チェック事項が22項目あります。労働分野のCSR(企業の社会的責任)が中心で、仕事のやりがい、賃金の水準・格差の有無、雇用の置き換え、労働時間の割増未払い、有給休暇の自由取得、均等待遇、安全衛生、情報開示、就業規則の周知など、さらに環境配慮、公正取引に関する質問項目で、良いほうに該当すると5点、悪いほうに該当すると0点、全体では110点満点です。

[配布・回収状況] 全国47都道府県に依頼した企業通信簿は18万5500枚で、専用ティッシュに折り込み、大企業門前や最寄駅で配布しています。2月28日現在、東京都の44通、愛知県の11通をはじめ26都道府県から計104通が返送されてきました。うち、企業通信簿の質問内容をチェックしてくれた方は101人でした。最終的には主要大企業143社(「ビクトリーマップ」対象企業)と上場企業を含め500社以上をめざしています。

[最高・最低と平均点] これまでの最高は、三菱重工業(長崎県)の105点で、「仕事が原因で精神疾患になった人がいる」こと以外はすべて良好でした。2位は久留米運送名古屋南(愛知県)で100点、3位は東光サービス(東京都)で95点、第4位はデンソー(愛知県)90点、同・ダイジェット工業(茨城県)90点、同・富士電機デバイステクノロジー(長野県)90点、同・富士通(千葉県)90点、8位はブリヂストン(東京都)85点、同・濱本J.C(兵庫県)85点などが高得点を獲得しています。  一方、最低は、すべての項目が悪いほうに該当して0点(得点なし)となった企業が3社もありました。代表的なのはキヤノン矢向工場(神奈川県)で、あとは岡山県と福岡県の中小企業です。1項目だけ良くて5点のみがNTT西日本(山口県)と山形国際ホテル(山形県)の2社。

 このほか、有名大企業では、大林組25点、デンソー(3人平均)52点、アイシン精機25点、日立製作所70点、キヤノン(8人平均)48点、ソニー60点、富士通(3人平均)82点、横河電機(3人平均)40点、凸版印刷25点、大日本印刷55点、NTTコミュニケーションズ15点、NTT西日本(2人平均)35点、共栄火災海上保険20点、国際自動車30点、ビックカメラ30点、明治乳業35点、JA香川80点などが見られます。

 こうして、101人の平均点は47.2点になりました。なお、キヤノン、デンソー、富士通、NTTなどは同一企業から複数の方のチェックが寄せられています。この場合、事業所や職場によって労働条件に差異があるため得点が違うので、集計時に平均点を出すようにしています。


将来展望、賃金決定方法、苦情処理など低得点

[項目・質問別の得点人数] 質問内容22項目のうち、良いほうに該当する人が多かったのは、「公害物質の排出をなくし、ゴミや騒音を抑える努力をしている」で66人、次いで「パートやアルバイトを含む全員に有給休暇がある」で65人、同「就業規則があり、いつでも見ることができる」で65人、同「買いたたき、値引き、短納期、返品などで取引先を困らせている」に該当しないのが65人でした。

 一方、良いほうに該当する人が少なかった(悪いほうが多い)のは、「社内での自分の将来を展望でき、生活設計がたてられる」で13人、次いで「賃金の決め方が明確で納得できる」が17人、「職場や仕事の苦情を言える制度があり、公正に対応してくれる」が20人、「雇用形態による賃金(時給)・労働条件の格差がある」に該当しないのが23人、「賃金は同業他社と比べて高いほうである」が27人でした。

 「仕事」、「賃金」、「雇用」など項目別得点の特徴は、次のようになりました。(カッコ内は回答者総数。未記入を除く)
「仕事」2項目(199人中)53人、26.6%。    「賃金」4項目(384人中)139人、36.2%。
「雇用」3項目(299人中)150人、50.2%。    「労働時間」2項目(198人中)91人、46.0%。
「有給休暇」2項目(199人中)120人、60.3%。 「均等待遇」2項目(198人中)87人、43.9%。
「安全衛生」2項目(196人中)63人、32.1%。  「参加と情報開示」2項目(197人中)63人32.0%。
「就業規則」1項目(98人中)65人66.3%。    「環境配慮」1項目(100人中)66人、66.0%。
「公正取引」1項目(98人中)65人66.3%。
 こうした得点状況から、労働分野のCSR(企業の社会的責任)を見ると、@仕事のやりがいや将来展望がない、A情報開示や苦情処理が不十分、B安全衛生、健康配慮に欠けている、C賃金が低く、決め方も不明確という実態が浮かび上がってきます。


無力の労組、偽装請負、サービス残業…切々と内部告発

[自由記載欄の特徴] 自由記載欄に71人が職場の実態や会社への意見を書いてくれました。主なものはつぎのような記述です。

◇キヤノン(東京) 日々の仕事に追われ、また経営陣の絶対的立場には無力である。最近の労組には皆関心が薄いのが現状。キヤノンでは労組は「第二人事部」と呼ばれる有様。

◇国際自動車(東京) 委託派遣という名目で、偽装請負が常態化している。乗務員の多くが派遣先・派遣元の指示・命令の二元化により、正当な休日・有休を取れずにがんじがらめとなり、厳しい状況に追い込まれている。正当な有休・休日の申請を行っても、あからさまな嫌がらせを受ける始末。強く言い張ると仕事を取り上げる、担当を取り上げるなど脅しが横行している。

◇富士通(東京) 長時間労働が当たり前。うつ病になる社員多数。

◇日総工産(長野) 入社して○年になりますが、1回もボーナスを貰っていません。いまだに派遣扱いで正社員にさせてもらえません。真面目にガンバって働いているのに、賃金を増やして貰えないことがとても悔しいです。不安です。何とか賃金を上げて欲しいです。

◇デンソー(愛知) 派遣も正社員になれるような制度を作ってほしい(やりがいをより持てる)。現在のままでは、生活設計を立てることが難しい。子どもを持って安心して働ける環境を作ってほしい(保育所など)。

◇大林組(東京) 表面上の制度は作りますが、すべて会社の都合の良い内容です。組合は会社の言いなりです。組合の役員になった人は。大体が将来高いポストに上がります。現場の仕事の残業時間はたくさんする人ほど記入しません。ウツや体調を壊した社員は山ほどいます。しかし、自己責任とされます。100時間以上の人はもっといます。


  



 
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