2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 6 号・確定版  2006年12月05日

 

なくそう!格差と貧困

 国民春闘討論集会に 全国から250人

単産・地方の運動、熱く語る

 「まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を」−国民春闘共闘委員会は11月30日〜12月1日、静岡県熱海市で07国民春闘討論集会を開きました。26単産36地方から250人が参加し、春闘要求をはじめ教育基本法・憲法・平和闘争、地域春闘や統一行動をめぐって討論しました。国民春闘方針は補強意見などをふまえ、1月18日の第1回単産・地方代表者会議で確定します。



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 主催者あいさつで坂内代表幹事(全労連議長)は、「ワーキングプアの急増、企業のモラルハザードがすすんでいるが、トヨタ、キヤノン、光洋シーリング、松下プラズマなどの偽装請負とのたたかいは、私たちのたたかいで社会的問題化させ前進させてきた。また、教育基本法改悪阻止のたたかいでは組織の違いを超え大きく共同が広がり、全国各地で大集会を成功させている。07春闘は、格差と貧困の是正、憲法改悪阻止、最賃引き上げ、均等待遇の実現、労働法制の改悪阻止などと一斉地方選・参議院選とを結合してたたかう春闘。積極的な討論をお願いしたい」と呼びかけました。

 春闘方針案を小田川事務局長(全労連事務局長)が提案。情勢の特徴について解明しながら、憲法改悪阻止、格差と貧困の是正、働くルールの確立、賃金改善、安心・安全な地域社会の実現、国民負担の軽減を求める共同などについて具体的に提起しました。
 討論の前に、この間の運動前進を受けて、教育基本法改悪阻止にむけて(全教)、派遣・請負労働者組織化の現状について(JMIU)、産別最賃の取り組み(出版労連)、自治体キャラバンから見た公契約運動の到達と地域春闘の課題(埼労連)について各々報告、注目されました。

 討論では32人が発言。春闘全体の「構え」に対する意見、「格差是正・貧困解消」にむけた最賃の引上げ、労働法制改悪反対闘争の強化などをめぐっての補強意見や要望が出されました。統一行動をめぐっては2月の「地域総行動」についての意見、決意が表明されました。


 07年国民春闘討論集会の発言要旨 


 第1日目 


全農協労連/宮浜克好(書記長) 農家も中小企業も賃上げで格差是正・貧困の克服へ

 賃金と格差是正の問題、農業と食の問題でお話ししたい。元気の出る話をしたいが、職場でも口を開けば「厳しい」とか「しょうがない」とか、そういう話がいつでも出る。今たたかわれている秋季年末闘争は、その特徴として相談の電話がかかってくる。「これ以上我慢できない、どう闘えばいいか」と言う相談があった。電話の主は「幹部をやってきたけれど、これまでまともな団体交渉をした事がない」。中身を聞くと「年収ダウン、ベアなし、一時金なしで本当に苦しい」そういう内容だ。今ままではストをするような組合でもないし、団交もまともにやっていない組合が決意をしている。その意味では07春闘に向けて機運は高まっていると思う。貧困や格差の問題が中心だが、「賃金あげろ」と言う声、もっと大きくやらないと格差の是正も貧困の克服もできない。春闘共闘や全労連が、「労働組合だけでなくて農家や中小業者に賃上げが必要だ」と言うことを訴えないといけない。

 同時に、内側から崩壊させるような権利放棄やサービス残業や有給の未消化…。こっちから労働組合を壊すような事態も広がっている。外からの攻撃も広がっている。そういう中での仲間同士の競争が広がっていることも見逃せないが、労働組合の歴史は悪法を乗り越えてきた歴史だということ、学習会ではそういうことを強調している。

 安全・安心というのは「食の安心」もある。この問題にとかく労働組合は無関心だ。憲法や労働法制もあるが、私たちの健康にかかわる問題である。これが政府の「農業の解体政策」で厳しい状況になっている。これにどう立ち向かうか、私たちは中心的な課題で掲げている。



北海道労連/小室正範(事務局長) 「教基法廃案」の1点で1万人が集結。次は労働法制

 北海道で先週の土曜日、教基法改悪反対1万人集会を開催した。提起したのは11月。連合北海道の平和フォーラム、私(道労連)、北教組、全教、市民団体で構成された。集会の規模は、開催2週間前は3000人で考えていたが、「5000人を北教組だけでも集めるべきだ」となり、当日の1万人に達した。

 法案反対の1点でつながる市民とすべての教組が話し合い、集会当日は全道からの参加で高校生も参加した。教基法廃案の1点で、「1万人の仲間が集結した」と宣言されたとき、感動の拍手で会場が包まれた。何故、こういう共同が可能になったのか。教基法の根本にある「教育は人格の完成」という思いが、「全教、日教組だと言っている場合ではない」という思いがあったのだろう。

 すべての労組が「どう団結して結集し、すべての労働者に通じる運動ができるのか」問われていると思う。労働時間の問題も、「36条の会」を作るべきだ。1/2以上が結集する組合を作って、「残業をしなくてもいい」というアピールをすることが必要なのではないか。広範な組合との共同を作るのが、今季の春闘だと思う。

 夕張の問題は放置しておくわけにはいかない。学校の縮小、職員の賃金カットなど当たり前のように言われている。30市町村が赤字で非常事態宣言をしている。夕張を悪者にし、「総務省の思うままにしよう」という攻撃だと思う。集会を予定している。夕張の問題は明日のすべての田舎の問題だ。すべての地域の問題で、日本の問題だ。市民の皆さんに心を寄せていただき、たたかいたいと思う。



通信労組/山田 忍(委員長) 来春の判決が最大の課題。賃上げは生計費原則で

 昨日、東京地裁でリストラ配転訴訟が結審した、判決は3月29日。大阪は28日である。いまNTT東西が何を画策しているかと言えば、料金部門は71拠点を9に集約して孫請けに。電話設備の保証処理を県庁所在地と政令指定都市以外は孫請け委託。サービスの二極化が明確です。人員整理では、2010年の団塊世代の卒業を控えて、いわゆる幹部候補生は毎年東西で300名。孫会社による有資格者の囲い込みで人材供給部署にする。パートや派遣の活用。その3つで体制を確立することが画策されている。11万人リストラで一気にここまで来た。そのことを考えると、われわれの闘争は財界の戦力とたたかってきたもの。来春の判決を07年春闘の最大の課題としていきたい。公正判決を求めるビラと各地裁への公正判決を求める要請を資料に入れたので、是非絶大な支援をお願いしたい。

 どうやってNTTの中で賃上げを組むか悩ましいが、生計費原則を元に打ち出したい。2000年の成果主義導入以前の高卒者の賃金を参考に、基本給部分に成果主義を入れさせない試算を広めている。
 組織拡大では、職場の中心であり幹部とも親しい立場の人が、N労組ともきちんと袂をわかって通信労組に加入している。6ヶ月連続で257名を拡大したことを報告したい。非正規労働者の組織化の問題では10名の派遣労働者を組織化している。JMIUにも学んで組織化を進めたい。



愛労連/榑松佐一(事務局長) 偽装請負に下請いじめ。許せないトヨタの犯罪

 トヨタ総行動も4回目になる。協力をお願いしたい。トヨタは今年の春闘でベースアップを要求したが、利益が1兆から2兆に跳ね上ったにもかかわらず、トヨタ労組は賃上げ要求する条件はないといい、また総行動をしなくてはならなくなった。

 北海道から沖縄まで求人を出し、84%が偽装請負で違法行為を行っている。明後日、愛知の春闘討論集会でも派遣問題を取り上げる。トヨタは下請け単価を引き下げることで利益を上げた。そのために下請け会社は赤字に転落し、派遣労働者の社保の加入を迫られ倒産、労働者に支払う賃金は時給1000円を下回っている。ベトナム人研修生のパスポートを取り上げ、最賃以下で働かせている実態や個人請負も広まっており、下請け単価の切り下げで追い詰められている。大企業の犯罪だ。「法律違反なら法律を変えればいい」という経団連の発言は許せない。

 県政・市政の問題で、元気ある人は税金を沢山納めてくれる。トヨタは昨年、連結減税で豊田市だけで65億円減ったが、今年は更に利益が増え65億円の減税措置がありながら、なんと130億円の増税になった。豊田市の予算250億円に対し、補正予算がプラス130億円。今からでは使い切れないと来年トヨタが造るテストコースに50億円。130億円あれば30年、保育園全てをタダにしてもおつりが来る。にも拘らず、もらったお金はすべてトヨタのために使うことをしている。すでに、豊田市内には8つの高速道路のインターチェンジがあり、トヨタ支援高速道路網を三重県の桑名、岐阜県のトヨタの工場に、全てトヨタの工場にと高速道路で繋がっている。さらに名古屋港を埋め立て、トヨタ系の会社が入り、名古屋市もその横に100億円かけて産業美術館を建てるなどトヨタにお金をつぎ込んでいる。

 トヨタ総行動では、朝7時から宣伝を始め、「下請け単価、期間工、派遣労働者に大幅賃上げ要求を」と宣伝したい。名古屋駅前でも10時から宣伝行動、1時に山下公園に集結しデモをする予定だ。



国公労連/鈴木 淳(全労働) 条件を満たせば休日・深夜業や時間外手当の支払除外に

 厚生労働省で労働行政を担当しているが、「労働は商品ではない」というポスターなどでこの2年間宣伝を行ってきた。ホワイトカラー・イグゼンプションについて少し話をしたい。

 厚生労働省が審議会に素案を提示した。4つの条件を満たせば休日・深夜業や時間外手当の支払などが適用除外になる。このまま4つの条件が公文化されると適用される労働者はかなり広範囲になることが予想され、大変危険な状態にあると思っている。改善命令を出すことが行政機関にはできることになっているが、労働基準監督署で適正に守られているかチェックするわけだが、即罰すると言うことにはならない。いったん改善命令を出してから、罰則ということになり、指導されるまではいいというような風潮を広げることになる。行政機関の目が届かず、労使委員会の弊害化につながる。あげればきりがないが、全労働で見解を準備している。

 さらに全労働としては、第3弾のポスターを作製した。各単組で希望があればお分けするので声をかけてください。ホワイトカラー・イグゼンプションについては、どうなるかわからないが全労働としてもがんばりたい。



自治労連/川西玲子(副委員長) 非正規の賃金要求――スローガンは、わかりやすく

 非正規労働者の実態について申し上げたい。1週間ほど前、総務省が初めて自治体の非常勤について調査した。非正規は約3割になっている。こうした実態の中でアルバイトに来た学生と同じ賃金で働かされ、「怒りを通り越して情けなくなった」といった意見も寄せられている。

 自治体の非正規は無権利・低賃金で抑圧され、自治体はワーキングプアを創り出している。キャラバンでも重要な争点になると思う。大いに参加していきたい。
 初めて非正規の組合加入を呼びかけるチラシを作り、今季400名を拡大することができた。自治労連の100万署名とあわせて、総務省に要求を提出し要請を行いたい。3・6の集会にも大いに参加したい。

 要求スローガンの「正規の8割以下をなくす」という表現について、次期国会でパート法の改正が出されているが、今までの均等待遇と最賃と公契約のセットで、1000円以下をなくす、という運動をしてきた。スローガンとして8割を掲げるのはどうかと思う。非正規とはどういう労働者なのか、社会的運動のスローガンとしてはもっとわかりやすいものであってほしい。「同じように働けば、同じように扱え、今こそ均等待遇を」という運動にふさわしいアピールを書いていただきたいと要望する。



JMIU/三木陵一(書記長) 7割超の仲間が非正規。最賃と均等待遇に力を注ぐ

 07年春闘に今追い風が吹いている。労働者の要求で国民的な総結集ができる、そういう攻めの春闘になると思う。問題はどうたたかうか。職場からの団結を強めて全員参加の春闘をたたかい、組織を拡大することに尽きる。

 ある職場では、ストのときにみんなで食堂に集まって、交渉の経過を読み合わせ、執行部のレジュメに基づく学習、一言カードの記入を行って要求を経営に読ませる。こうした全員のたたかいが教訓だ。コラボレートでも「派遣労働者が必要だ」と言う世論を職場に広げ、直接雇用を勝ち取っている。まさに職場に労働組合があるかないかで解雇になるか直接雇用になるか、天国と地獄ほどの違いがある。職場からのたたかいの大事さが現れている。

 成果主義でも同様だ。職場に足を踏み入れれば一変する。矛盾が吹き上がってくる。いま職場で、労働者の不満と矛盾を要求に練り上げることができるのか、そこがポイントだと思う。成果主義は団体交渉を形骸化させて、労働組合を分断する攻撃だが、一方で団結の条件を生み出している。組織拡大が最大の要求闘争であり、職場からの総団結で展望を切り開く春闘にしたい。



神奈川/水谷正人(事務局長) 4つの柱で、企業・組合の枠を超えた地域春闘を

 根底から国の姿を変えてしまう攻撃の中で、春闘共闘が何を発信してたたかうのかが大事だと思う。

 (1) 生計費に基づくポイント賃金の到達闘争を打ち出すべきではないか。いわゆるワーキングプアの間ではいつまでも20万円前後の賃金に置かれることがあるので、到達闘争を行う必要がある。

 (2) 不安定な間接雇用を直接雇用に切り替えることを強く打ち出すべきだと思う。神奈川でも、いすゞ自動車が期間工を直接に切り替えて3万円賃上げ。3ヵ月後、期間を終えると一時金17万円も出るということになった。神奈川労働局との交渉では「基本的には直接雇用に改める。期限の定めの無い雇用にと指導している」とはっきり認めた。

 (3) 労働時間については「年間2800時間。月45時間、年360時間以上の時間外は認めない」という指針を出しているから、残業規制を含めた時間短縮を求めていくのが必要ではないか。

 (4) そして、最低保障年金。現役労働者もしっかり位置づけてたたかう。

この4つの柱が大事なのではないか。労働法制の拡充を求める請願署名、大いに広げて街頭で訴えていきたい。来年の春闘では、企業や組合の枠を超えた徹底した地域春闘を目指す。地域で見える、大企業を包囲する、自治体を本来の姿に戻すために自治体に影響を与える春闘にしたい。

 もうひとつのテーマは横須賀だ。原子力空母配備を許さないたたかいが進んでいる。このままで良いのかと言う条例制定運動を行っており、受任者最低7200筆をすでに越えて1万筆以上集まっているが、3万、5万と集めて岩国や沖縄のたたかいにも学んで成功させたい。



山 口/高根孝昭(事務局長) 労働者・家族を締め付ける法改正は、経営者のノー

 どういう春闘をたたかったら良いのか判りにくい。春闘だから、すべての労働者が賃金・労働条件に期待を持つ時期だ。大きなスポットを当ててたたかうことが大事だと思う。

 労働法制改悪の問題では、県内4つの経営者団体と労働局に申し入れを行った。大企業の経営者協会では事務局長が対応したが、「法改正がいい」とは言い切れず、「やりすぎではないか」と言ってくれた。中小・零細企業の経営者団体専務理事は「法改正されてもやれない。中小零細企業では労働者の顔も性格も、背後に居る家族の顔も性格もみんなわかるから、それを締め付ける法改正は受け入れられない」と言った。経営者協会の事務局長は、「法案は通らない」と言っていた。

 2月に地域総行動を行い、安全・安心な地域社会の実現を求める運動となっているが、2月24日に憲法と労働法制改悪反対で国民世論を喚起する大量宣伝行動をやろうと計画になりかけている。労働法制の署名が100万となっているが、この数字で法制度を押し返すことができるのか。目標が小さい。この運動を広げるためには、貧困と格差を解消していく土台を作る世論づくりが必要なのではないか。

 スローガン問題では、覚えにくく長すぎると思う。「守ろう憲法」では弱い。「守り・活かそう憲法、なくそう格差と貧困を」だけでいいと思う。



全国一般/谷 俊男(書記長) 32年ぶりの最賃制度改定。未組織の賃金改定が仲間を増やす

 私たちは単産結成以来、全国一律最賃制確立を軸にして闘ってきた。生活保護や最低賃金との比較をしながら、職場の要求を論議できるように手引きを作成し、職場の賃金要求と最低賃金のたたかいを結び付けて春闘をたたかっている。その最低賃金制度の改定が、来年の国会に提出される。32年ぶりのチャンスだ。07春闘は、このチャンスを確実にもぎ取るたたかいに労働運動の総力をあげるつもりだ。最賃の大幅引き上げを実現できれば、未組織労働者の注目が集まる。労組のたたかいの成果が、直接未組織の仲間の賃金改定につながることは劇的だ。労働運動に対する国民の信頼、仲間を増やすチャンスだ。労働組合は組織率が20%を切り、国民への波及効果も持っていない。これを変えるのは最賃のたたかいだと思っている。

 全労連が提起する「働くルール確立100万署名」をやりきりたい。全国一般として「組合員1人10筆やろう」となっている。そこでお願いです。資料の中にある署名だが、最賃がどこに書いてあるのか。最賃を訴えるもの、「ワーキング・プワの根絶」がそうであろうと思うが、それが最賃に結びつく者は少ないと思う。現場で働いているパート労働者にも見てもらい、誰にでもわかる内容への改善を要望する。

 全労連の最賃デーを軸とし、生活保護水準の切り下げとのたたかい、民間・公務一体の賃金闘争、国民の大きな共同の運動を進めていきたい。憲法、社会保障、最賃で要求を取りにいくたたかいにしようではないか。選挙でも全力をあげる決意だ。もう一つの日本を切り開くため政治の流れを変えたい。



国公労連/飯塚 勇(全厚生副委員長) 社保庁「改革」は全ての公務労働者へのリストラ攻撃

 医療改悪法案の成立で、健康保険の運用が改悪され、今後は格差と競争の原理が導入される。また、今まで国庫負担であった人件費も医療保険に付加されることになった。年金部門についても自ら提出した法案を自民党は廃案にし、社会保険庁を解体し、従業員も解雇することを主眼にした新たな法案になっている。私たちは、社会保険庁の一連の不祥事には自省すると共に、当該組合を組織する労働組合として、安心して暮らせる医療・年金制度の確立を表明している。

 同時に、社会保険庁改革は政府・財界などの要求による社会保障制度の解体と一体になっている。医療制度の改悪では、損保業界のチャンスとなり、個人年金の新規契約数は4年間で倍増し、社会制度が年金制度を直撃し、構造的な矛盾が益々拡大している。公的年金制度の土台である国民年金制度では、未納・未加入の合計が数百万人を越え、制度の4割の加入者が保険料を払っていない。まさに破たんの状態にある。また、3分の1が20代の加入者で、納付率は50%を切っている。若年層の雇用破壊・非正規労働者増大など所得格差の実体が制度を直撃している。度重なる改悪で国民の不信と不安が高まっていることもある。04年の改悪と一連の不祥事が国民の不信を増大させた。この改善は急務だ。

 「社会保険庁改革は政争の具にするな」ということが社説にも出るようになった。制度の信頼回復を目指すべきであるとしている。しかし、自民党は年内には分割民営化の方向を打ち出そうとしている。公的年金の実務主体を分割民営化して、本当に安心した制度になるのか。国の責任で国の機関が運営することが基本になる。職員の雇用は、これまでの国鉄や郵政の民営化の際に比べてもひどいもの。官民を問わない攻撃がすべての公務労働者に波及することも考えられる。こうした攻撃を許すなら、公務員分限・総額人件費削減攻撃で国家公務員のみならず、教員・地方自治体など全ての公務労働者に波及する。社保庁問題は、地方公務員や教員を含む全ての公務労働者に対するリストラ攻撃だと位置づけ、国民に訴え、理解と支持を広げていく。政府・財界・マスコミが一体となったバッシンクで厳しい状況だが、みなさまの支援・協力をお願いしたい。



京都・辻 昌秀(事務局次長) 「ワーキングプアをなくそう」。突破口は最賃引上げ

 すべての組織が、全国的・統一的に2つの課題に取り組むべきだ。1つは労働法制の課題で、みなさん異論は無いと思う。もう1つは、格差是正と貧困解消の課題で何をしていくのか。やはり最賃の引き上げだと思う。「ワーキングプアをなくそう」という社会の要請、突破口は最賃の引き上げだと思う。各国でも最賃法は行われているわけで、最賃闘争は関心ある層だけがやるのではなく、すべての職場や組合が取り組む課題として鮮明にしていく必要がある。

 厚労省の労政審最低賃金部会で、経営側の「最低賃金を生活保護以上にする事はだめだ」という強い流れの中、生活保護の引下げで最賃は引き上げられないまま、国民生活がいっそう疲弊する事態になる。年内から春闘にかけて、すべての組織が取り組む課題として抑えてほしい。

 私たちは、7月に最低生活生計費の報告書を発表した。京都市内の最低生計費は、若年単身者で年額237万円ちょっとで貧困ラインを示した。OECDの貧困ラインが238万円だから、ほぼ一致する金額が出た。私たちは、この最低生計費に基づき、全ての要求を出し始めている。社会的にも理解と納得してもらえるナショナルミニマムの確立を頑張りたい。

 非正規の賃金について、「均等待遇、8割云々」ということだが、現実の職場・労働者の実態から出発するしかない。そこに依拠したたたかいをするしかないと思う。



特殊法人・杉浦真由美(民法労) 民間委託反対。安全・安心は公共サービスの質の確保で

 私の職場では、市場化テスト法に基づく競争入札と随意契約に基づく競争入札が導入される。入札の結果、他の民間企業が参入してくれば、現在のサービスは維持できないことは明らかで、私たちの雇用も危うくなってきている。

 60年代、登記業務の増加に伴い、法務省は増員を繰り返してきたが、総定員法の制約を受け1971年、法務省人事局に創設された特殊法人です。全国570庁の法務局のうち300庁、780名の職員のうち男性4名以外はすべて女性と言う構成で、法務局職員と仕事をしている。毎年、都道府県単位で法務省と民亊法務協会との間で随意契約をしており、現在証明書は1通42円が協会に入ってくる。

 契約上は、端末操作が主業務であるゆえに、単なるオペレーター業務と認識されがちだが、窓口で受け取る証明書の約3割から4割は不備なため、パソコンの検索機能を駆使し、お客様の希望するものを作成している。2〜3年ごとに転勤がある法務局職員と違い、その法務局固有の物件に精通しているのが私たち協会職員です。

 登記事務についての民間委託を求め、市場化テスト法の対象とすることが閣議決定され、試行結果を踏まえ20年度以降順次全国展開する。法務省は19年度から一般競争入札に移行すると発表した。入札の結果、実績が無いのに経済効率のみを追究する民間企業が参入した場合、現在と同様な窓口サービスを受けられるのか?全国一律の窓口サービスが受けられるのか?1通42円10銭という単価設定は、申請書通り出来るものを基準とし、作成時間10分、20分係る物件は考慮されていない。

 1つの組織が従事し、研修等も行っているからこそ全国一律のサービスが可能なのです。民間企業が参入すれば、現場の混乱を引き起こし、窓口サービスの低下を引き起こす。全国一律の安定した国民・業者へのサービスは、そこで働く労働者の安定した雇用と複合的ではない1つの組織での運営が不可欠。入札を目前にして、協会トップでは「入札に勝つため」と給与も大幅引き下げを示唆している。現在は、勤続20年で年収400万、それを300万円以下に引き下げようとしている。「落札できなかった場合、職員の雇用に責任を持ち雇用を確保すること」という要求に、協会当局は「他地域への受け入れは財政的に困難。受け入れてくれる企業は皆無であろう」と無責任極まりない回答をしている。全国の法務局で事務が円滑に機能しているのは、法務局職員とともに協会職員が知識と経験を活かし長年従事しているためと自負している。国民・利用者への行政サービスを低下させるわけには行きません。公務・公共サービスは質が確保されて国民の安全・安心が守られると言うことを訴えていきたい。



全教/加門憲文(日高教書記長) 教育費の無償化は世界の流れ、教育基本法の心

 日高教は運動方針の柱として、高校生・青年の就学と進路を保障する運動を展開している。格差の拡大、弱者の再生産という悪魔のサイクル、社会的な排除を断ち切ることを目指し、社会的に自立できる条件を作る、広範な個人や団体との共同を追及している。 日本の教育は、金がかかりすぎるという提起をし、子育てをされている方、高校生・大学生の子供を抱えている方がいると思うが、資料を集めて検討してびっくりした。高校の授業料が払えない。統廃合で行く学校が遠くて通学費がかかる。大学など行ったら、金がかかりすぎる。310万円もかかる。私の頃は1万、2万、3万円単位でしたが、国立でも81万円もかかる。

 国内総生産に対する教育費の支出3.5%を、世界平均の5.1%にするだけで何兆円もの教育費が出る。教育の無償化はもちろん、大学まですべて無償化できる。世界の流れは、教育基本法の示す方向は無償化である。ベルギー、アイルランドは学費が要らない。日本の高負担が少子化にも拍車をかけていることがわかる。教基法の問題、働くもの全員にとっての重大な問題である認識が必要だと分かると思う。

 深刻な就職問題でも、地域格差のひどさがわかる。地方においては低いところは0.3倍、北海道が0.24倍、こういう深刻な課題がある中で、国民の願いを集約できる運動だと思う。この観点の補強を方針でもしていただきたい。



JMIU/生熊茂実(副議長) 私たちの運動で世論や職場が変化。がんばれば前進できる

 夕刊フジで「残業代がなくなる」という記事を呼んで、電車の中で若い男女が「残業代が出なくなったらどうしよう」という話をしていた。もう1つは、ある職場の「偽装請負の直接雇用化」の団体交渉で、経営側は「うちには偽装請負はいないのか」の問いに「7〜8人居ます。年内に直雇用します」と回答してきた。今情勢は動いている。私たちが取り組んできた運動が、世論や職場の経営者にいろんな影響を与え、がんばれば前進する事が出来る。

 ワーキングプア、格差社会、少子化、偽装請負もそうかもしれない。日本社会の矛盾を暴く事は、労働者の状態がこれほど酷くなっているという表れである。原因は大企業の横暴さだが、これを後押ししているのが労働法制改悪だ。今年の税制改悪で、お年寄りが市役所に押しかけている。国民の状態悪化も激しい。本当の意味での国民春闘ができる情勢になっていると思う。

 労働法制の問題で、三つの素案が厚生労働省から出た。一つは労働条件の不利益変更問題。最高裁判例では、不利益の程度、不利益に対する賠償に関して書いてある。これまで、労働契約法の問題については、判例をそのまま法律にしていた。しかし、「判例を後退させる」ことが明確に現れた厚労省の方向だ。経済同友会が資格業務型裁量労働の導入は時期尚早という意見書を出しているが、大きな矛盾も生まれている。整理解雇四要件の緩和も出ている。

 社会的運動と同時に職場のたたかいも大事だ。派遣労働者や請負労働者との対話でたたかいをつくることが重要だ。青年労働者を職場に入れ、すべての仲間の賃上げを勝ち取ることを共にたたかう。「100万署名」は少ないと言う意見があるが、この間の行動への参加も少ない。これが少なかったと言うことにならない運動にしたい。



 第2日目 



沖縄/宮里 武(県医労連書記長) 知事選の教訓。情勢に応えられる強い県労連づくり

 沖縄県知事選は非常に残念だった。全国から大きな支援を頂き、カンパも目標達成、オルグも80人を超える方が応援に来ていただき、こんなに楽しい選挙は初めてと言ってもらえた。「負けたのに、なぜ大健闘なのか」は他の機会にしたい。投票率60%で、票差3万7千。期日前投票は11%増となった。

 政府丸抱えの相手候補に対して大健闘であり、ますます元気に頑張っていかなければならないと思った。相手陣営の権力と金力を駆使した陰に陽の攻撃はすごかった。革新陣営には、野党が押した元自民党で無所属の衆議院議員を入り込ませ、最後まで内部かく乱を図った。相手候補は、マスコミにも大きく取り上げられ、マスコミも論点そらしに一役買った。「経済・雇用の相手候補か、平和・基地問題の糸数候補か」という構造を作った。これは、犯罪的なほど県民の判断を誤らせた。沖縄は、本土復帰から34年、失業率は全国の2倍、県民所得7割台、中小企業の倒産も全国最悪。そんな中、安定した収入があって、「経済と平和のどちらか」と言われた時、どちらも手にしたいのが県民で、マスコミのゆがんだ描き方により、糸数さんの主張を浸透させることができなかった。

 読売新聞の出口調査では、糸数さんに入れた31万と相手34万の半数が新基地建設反対ではあった。「ますます頑張らなければならない」と思ったのは、この県民の意思が明確だから。10年前に出発した新基地策動は、こんにち破たんした。10年のうち8年は、基地建設推進の自公県政だったが、杭1本打たせず断念させた。次の4年間も杭1本打たせずがんばりぬいて、次の知事選には県政を奪還したい。県労連は、糸数選対に役員派遣したが、全労連の中ではもっとも弱い県の一つだ。情勢の求めに応えられるような強い県労連を作るために皆さんと奮闘していきたい。



年金者組合/久昌以明(副委員長) 深刻な無年金・低年金者のくらし。最低保障年金を争点に

 年金制度で一番の問題は、年金空洞化だと思う。これは基礎年金といわれる1階部分の問題で、被用者年金の問題は2階の部分だ。これを若干手直ししたからと言って、公的年金制度が抱えている問題の解決には何の役にも立たない。緊急の問題でもない。

 低年金・無年金の問題は、たいへん深刻な問題だ。無年金者の数は政府統計で、2001年の60万2000人が最新だが、そのほかの統計を考えあわせると100万人に達するだろう。老齢年金の受給金額150万円未満が60%、1ヵ月12万円という低い年金が半数を超える。女性で言えば150万円ではなく100万円未満が67.4%という低年金・無年金の実態である。一人暮らしが多く、男性で10人に1人、女性は5人に1人が一人暮らしである。

 いま保険料が払えない人は、将来は無年金・低年金になるのは当然の成り行き。無納者・未加入は1000万人前後であり、納付率が延びない。07年には80%を目指しているが、今70%にも達していない。免除者を増やして数字を伸ばしても、60%にも達していない。低年金・無年金が大変深刻な問題になってくる。最低賃金制度の抜本的改正は必要だが、若者に安定した仕事を与え、最低保障年金を創ることが差し迫った課題である。

 10月18日には、日比谷に2500人集め、全国7000人を動員した年金者一揆を行った。来年3月には全国的な闘争に取り組み、地方選・参院選の二つの選挙の争点に年金問題、とくに最低保障年金問題を争点にさせる取り組みをし、運動を盛り上げていく。

 被用者年金の一元化を口実に政府は、受給中の年金削減を閣議決定した。これは、退職者の生活を脅かすものだ。国公の退職者連絡会、自治体退職者連絡会、退職職員連絡協議会の3団体と共に反対運動に取り組み、12月には財務省交渉を計画している。



全労連女性部・大西玲子(幹事、事務局長) 要求に改正均等法を反映し、元気の出る春闘に

 改正均等法が成立し、4月施行となる。審議は短く十分ではなかったが、均等法の中身は妊娠・出産の不利益取り扱い禁止、セクハラ対策を企業義務化され、間接差別の概念が盛り込まれるなど一定の改善がされた。検討委員会では、パート差別など7項目が示されてきたが、禁止されたのは3つで身長・体重を募集条件とする事、昇格に当たり転勤を要件とする事、総合職の募集・採用に当たり全国転勤を要件とする事と限定されている。

 全労連は、間接差別については限定せず、様々な差別に対応できるようにと要求してきた。十分な改正にはならなかったが、「均等室においては、省令で規定されているもの以外も間接差別として対応する」という付帯決議が採択された。この付帯決議を活用して、改正均等法を職場に浸透させ、不十分さを改善していきたい。正規で働く女性は、長時間労働で苦しめられ、「定年まで働き続けられない」と言いながらも毎日奮闘している。しかし、正規雇用労働者が高齢化している現実もあり、入ってくる女性はみんな不安定雇用ばかりで、若年定年制の復活ではないかと考えている。

 女性の職域拡大が行われてきて、従来女性が働かない職場にも進出している。タクシー・トラック運転手、深夜労働の職場に女性がたくさん進出している。そんな中、妊娠しても働き続ける事が困難になって、妊娠を機に辞める女性が大勢いる。

 均等法を改正させる取り組みは、女性部として母性保護調査を行う。5年ごとに行っていた調査を行い、今の働き方を見直し、改正均等法を徹底させ、差別の実態を均等室に突きつけ、改善運動を進め、長時間労働・働き方を見直し、労働法制改悪反対の署名運動を推進したい。均等法のパンフレットを作成し、12月中にはみなさんの組織に届けるので、これらを活用していただきたい。均等法とか、育児支援とか、女性が牽引車として、運動をやっていかなければならない現状があるが、少子化問題が社会問題化しており、改正均等法の実施を要求にも反映していただき、元気が出る春闘を取り組んでいきたい。



自交総連/小林 隆(書記次長) 職場内格差は「同一労働・同一賃金」の原則追求で

 格差是正、働くルール確立にかかわって要望したい。 方針での「格差」では、ぴんと来ない。雇用条件の問題は書かれているが、職場内格差、企業間格差などが広くなっていると感じている。職場内での「同一労働・同一賃金」を補強してほしい。そういった意味でも原則をきっちりと追求していく必要がある。高齢化社会になって、定年後様々な形で雇用されると条件が低下する。そこに企業の利点が出てくる。内部留保とは言わないが利益に貢献している。

 働くルールにかかわってCSRの記載があるが、職場内のコンプライアンス(法令順守)を追及する必要がある。職場内の無法地帯は少なくない。有給の問題、残業の問題など、職場の中で諸法令・労基法を含む法律を守らせ、行政にはチェックをきちんとしてほしい。

 「ワーキングプア」でタクシー運賃の値上げ問題が浮上してきた。タクシー労働者の条件が劣悪であると認められたため、そうした流れがあるのだろう。国土交通省の各地方局、大分や長野、東京、秋田の4地域で審査に入っている。申請理由に、「燃料の高騰」も若干あるが、「労働条件改善」が一番大きい。労働条件改善を理由で運賃を上げたら、労働者に還元してもらうことを春闘の目玉としていく。タクシー労働者の、労働条件改善のためだと理解していただき、約束させたら一人ひとりの組合員に還元させるたたかいを展開していきたい。



福島/小川英雄(議長) 看護師最賃を申請。組織を区別せず最賃問題は運動になる

 県知事選でのご支援に感謝したい。現役で逮捕された知事は、革新派と言われていたが二面性があった。30人学級の実現、乳児医療費問題、原発ストップ、まちづくり条例など我々が要求して実現してきた。この間明らかになった贈収賄、官製談合、前回の知事選挙での買収。買収資金は最終的に2億円、寝ても勝つ選挙でどうしてそこまでお金をかけたかと言うと、対立候補の私を危惧したらしい。選挙には負けたが、公約した乳児医療費問題、不完全な30人学級の完全実施など頑張っていく。

 春闘につながる問題として、医労連の看護師最賃問題で労基局へ目標を上回る4950人分の署名を提出したことで、組織内の銀行管理の病院では、10年間初任給が上がらず新しい看護婦が組合に入ってこなかったが、20人のうち10人が組合に入った。未組織の病院に協力を要請したら、過半数が署名に協力してくれるなど、組織を区別せず最賃問題は運動になりうると実感してきた。

 合併がらみの自治体で、「議員の報酬を上げない」と言っていたが15万円アップ、一方で給食調理での日々雇用形態で22年続けてきた労働者の賃下げを強行。有給休暇・一時金なしで、夏休み中の「社会保険事業者負担を払え」と要求してきた。11人中9人が組合を作り、一昨日、市当局と団交を行った。当局は「何が悪いのですか。なんら問題ない」と、「社会保険の事業者負担は、社会保険庁に問い合わせれば分かる」と言っても問い合わせしない。「有給も継続して雇用してきたのに『新たな雇用だ』と言うのは違法だ」と言っても前進回答なし。12月27日もう一度団交し、前進回答がなければマスコミ・世論を使い前進を勝ち取っていきたい。地方交付税22億円が17億円に削減され、職員給与も7億2000万が5億5000万に削減された。「職員数100人を5年間で10人減らす」と言っていたのが、1年間で6人減らされ、このままでは80人ほどになってしまう。「交付税の削減を職員の給料にしわ寄せして、サービスを低下させるのはやめろ」と言ったが、「国の政策を変えてほしい」と言われた。このことを含め来春闘に更につなげ、がんばっていきたい。



埼玉/原富 悟(議長) 企業内最賃で地域の低賃金をなくす、相場形成できる

 スローガンは長い。「いかそう憲法、なくそう格差、つくろう安心社会」これ位でよいと思う。「なくそう格差」=地域から賃金水準を上げていく運動、「つくろう安心社会」=自治体をくらしの安心・安全にしていく。地域で議論するとき実践的な運動をイメージしながらスローガンを議論できればいい。

 方針に企業内最賃のことが触れられているが、企業内最賃と地域別最賃を並べて、地域で水準化することが大切だ。秋の自治体キャラバンのなか、三芳町の求人資料で時給700円台が3つあり、消費生協、医療生協、三次町が790円だった。消費生協は生協労連が頑張って800円、医療生協は医労連が頑張ればなくなるし、三芳町が790円に決めたのは隣と隣が790円だからだ。その隣と隣には自治労連加盟組合があるので、がんばれば資料の中の700円台は全て消える。それで地域の賃金相場を作れる。地域で情報をあわせれば前進できる。具体的イメージで議論すればいいと思う。

 公務労組連の資料を見て思ったのは、公務の組合も賃金闘争の当事者として頑張ってほしい。民間が地域でがんばっているから共闘するよというスタンスではなく、人勧と時期はずれるが今や公務の仕事場は3分の1がパートであり、底上げ闘争にみんなが参加できる。私どもの春闘討論もこれからなので、イメージが湧くような提起をお願いしたい。

 07春闘は選挙の年でもあり、地域総行動にむけて地域どんな共闘を組むのか、地域でどんな要求があるのかなどキチンとやって、地域総行動の準備をする中で役員・組合員の政治意識を高め、政党選択の力が高まると思う。それが大事ではないか。



東京・永瀬 登(常任幹事) 統一行動に単産・産業の実情を超えた「社会的力」の発揮を

 07春闘は、私たち労働組合の果すべき役割が、鋭く問われる春闘になるであろう。今日の討論集会は、教基法改悪に反対する国会闘争や、労働法制の改悪・法制化を許さない年末ぎりぎりまでのたたかいが広げられている事を考えると、07春闘は厳しい状況の中でたたかい、労働組合の戦線をどう統一し、たたかいを進めていくことが問われていると思う。

 安倍政権が教育と憲法を改悪するという攻撃に、対抗するだけの力量と組織の拡大、戦線統一の構えを確立するための春闘である。賃金闘争を、労組が社会的にアピールを発し、組合員にもわかる成果を挙げることに尽きる。偽装請負のたたかいでも、「請負だから」という絶望の中、労働者が希望を持って労組を語れるようになったのは、JMIUが成果を挙げたことにある。賃金闘争めぐって、毎日新聞は社説で「賃上げが必要」、日経新聞も「賃上げだけでなく最賃を含め労働者の懐を豊にすることが社会を豊かにする」など、労働組合に対してマスコミからの期待の表明だと思う。

 統一行動のあり方について方針では、日程の設定は示されたが、統一行動をどのように成功させるのか、統一行動のためにそれぞれの単産や産業の実情を超えて力を発揮できるのか、実情を超えて労働組合の力を社会的な力として示していくのか、その方向性を示すことが必要だ。

 来年の春闘は、知事選・県議選、統一地方選がある。私たちは、日本最悪の石原都政をどう転換できるのか。吉田万三氏が、沈黙を打ち破り立候補した時、意地の悪い一部マスコミは「玉砕覚悟ですね」と。しかし今、マスコミの多くは石原都政への批判を日々強め、市民の中から吉田氏への期待が広がっている。全国の皆様に都知事選へのご支援をお願いしたい。



自治労連・大黒作治(幹事、書記長) 蓄積したエネルギーを、最賃・底上げ・公契約運動に

 今年の教育基本法をめぐるたたかいや憲法闘争の発展の中、来春闘が今までの蓄積を大きく開かせる展望が持てる条件がそろっていると思う。そのエネルギーを、来春闘の重要課題である最賃闘争、賃金底上げ、公契約運動にどう取り組むのかが課題だ。

 地域総行動にあわせ、2月14日から2週間程度、公務3単産の力を合わせて全国キャラバンに取り組んでいく。12月7〜8日の自治労連春闘討論集会では、方針を正面から受け止め、2月から3月にかけての地域総行動を大きく成功させながら,3月6日の中央行動をさらに発展させていくことが重要だと思う。その勢いで、一斉地方選挙や参議院選挙に向け、政治を変えるたたかいにする事が重要だ。

 北海道労連から夕張に来ないかといわれ、率直にいって組織内で相談していない。全国で30、40の夕張予備軍がある。仮に自治労連組織があって、「みなさんここの市は自治労連組織がありますので支援をよろしく」と言っても何の説得力もない。やはり、全国的に「本当に市民の力で再生するのか」と焦点が当たっているとすれば、自治労連の組合員がいないからといって、そっぽ向いたままでいて、それではやっぱり何の大義も名文もない。本当に地方自治を守り、発展させる分岐点にいるならば、労組として地域住民の皆さんの生活を守るため、組合員がいないからといって無視することはできない。自治労連の組合員にも、本当に大きな力を発揮しようと、夕張に行って労組らしいたたかいを互いに頑張ろうという決意をし呼びかけたい。



公務労組連・若井雅明(事務局長) 構造改革NO。地域から総対話と共同の徹底が重要

 安倍政権が誕生して2ヵ月、危険な役割が一層明らかになってきている。マスコミは、来年参議院選挙の顔というが、長期政権を構想しているというのが正確な見方ではないか。海外マスコミ・インタビューでは、5年以内での憲法改悪発言や総裁任期2期6年を視野においているとの見方が正しいのではないか。構造改革の一つの柱である新自由主義的改革は、小泉・竹中コンビによって一定の方向性と基盤をつくった。もう一つの柱、ネオナショナルニズムによって憲法と教育基本法を改悪し、海外で戦争できる国、その人づくりにまい進する内閣と見る必要があると思う。二つの柱の完成で、はじめて構造改革が成就する。来春闘から、出足早いたたかいが求められている。来年は、いっせい地方選挙と参院選があり、夏まで選挙一色となる。

 07春闘は、2つの政治戦を有機的かつ有効に組み立て、職場・地域から「構造改革NO」の世論をいっそう大きく作り上げることが、春闘要求の前進とあわせ政治戦の前進を勝ち取ることにつながる。そのために、徹底して地域から総対話と共同をつくりあげることが重要だ。公務労組連絡会は、先頭に立って汗をかいて地方労連・地域労連のみなさんと一緒に300万枚を超える大量宣伝、キャラバン行動をつうじて、地方自治体や地方議会要請、様々な団体・個人との対話をして勝ち取りたい。



日本医労連・桂木誠志(書記次長) 崩壊寸前。医師・看護師が働き続けられる職場づくりを

 今の医療情勢について、『週刊東洋経済』が医療の特集をしていた。「解明 ニッポンの医者と病院」と題し、「『もう辞めたい』休みも取れない医者や看護師が、病院を去り始めた。医師不足で診療科目の休診が相次ぎ、救急医療も崩壊寸前。診療報酬の大幅引下げで病院が経営難に陥り、身売りや廃業も続出。病院を追い出されたお年寄りも少なくない。日本の医者と病院と医療を襲った危機の真相とは……」という事で100ページにわたる特集をしている。これだけで分かるように、日本の医療制度は崩壊の危機にある。経済誌で特集されているように、医療分野・医療スタッフがビジネスチャンスになって、営利企業のターゲットになり、市場原理にさらされているのが来年の春闘課題だ。

 春闘の基本的な構えとして、「要求実現のために役割を発揮しよう」「地域や職場に根ざした組合運動」「広範な労働組合・団体との共闘」「国や自治体に向けた大きなたたかい」などの運動をするため、加盟組合・単組・支部の力量をアップすることを提起したい。医労連が直面している最大の課題は、医師・看護師の大幅増大や、安全・安心の医療確立だ。今、全国における医師不足や看護師不足問題では、国会請願署名に取り組み、国民春闘共闘が提案している2月末の地域総行動に結集しながら、中央では緊急シンポ『医師・看護師不足をどう解決するか』を行い、4月−5月に総行動を銘打ち、全国で共同の運動をやりたい。医師や看護師が、働き続けられる職場づくりを目指したい。

 賃金闘争では、目に見える条件改善、パート労働者の賃上げについて言及し、病院の看護師等の最賃についても新設を必ずやりたい。そして企業内最低賃金協定に結合して進みたい。

 10月に日比谷野音で全大教、自治労連などと医師、看護師の中央集会をやり5300人を集めた。若い組合員の参加が目立った。若手看護師を中心に企画を準備し、「何回でも来たい」という感想があった。この運動では、「分かり易いスローガンで呼びかける」「思いを一つにまとめ、力を集中する」「垣根を取り払い共闘・共同を広げる」、そして企画を若い組合員に任せれば、必ず運動は前進する。労働組合を組織する目的は、要求の実現にある。最大の保障は、組合員の力・結集、数の団結、闘争力だ。職場・地域で広範な労働者を組織したたかいたい。



東京・梶 哲弘(全国一般) 全国一律の法制化へ。各本省庁へのたたかいが東京の役割だ

 スローガンで「貧困と格差をなくそう」ということが明確にされ、全国一律最賃の法制化を含む労働法制改悪などの個人署名が出されていることに対し心強く思っている。格差と貧困で安倍首相は「再チャレンジ」という馬鹿なことを言って、政府自らが新たなワーキングプアを作ろうとしている。すでに格差が、契約社員だというだけで正社員の半分、同一労働であるにも拘らず、同一賃金が何年たっても保証されない。

 東京は、政府の本省庁があり、具体的なたたかいを支える意味で、全国の仲間と連帯して個別に勝利を収めていくことが、この春闘での役割だと思っている。その梃子として全国一律最賃の確立を目指し、全国一律最賃の法制化と労働法制改悪反対と結合して、宣伝・学習だけではなく、厚労省への要請、東京労働局への要請、労働基準監督署に地域春闘と共に要請をする。地域ぐるみで、12月半ばに相手が提起した攻撃での統一点で、要求を統一して統一行動で立ち上がる。

 全国一律最賃の問題で、格差で言えば最低生計費については今や都市部において17、18万は当たり前だ。こういう要求を全国一律に掲げ、「現に有る地方との大きな較差を何年以内にそのレベルに到達する」という法案の検討を含め、格差を縮小する梃子となりうる全国一律最賃制の確立を検討してほしい。

 全国一律最賃で農民連は、食料主権宣言で「米価の設定に当たって、自家労賃を労働者の最賃に準じて設定していく」と冊子を出している。共同の条件が広がる中、春闘の統一行動を成功させていきたい。



映演労連・高橋邦夫(委員長) 国民投票法案。無料放映の95%が「改憲」コマーシャル

 国民投票法案は、改憲のためだけの手続き法案で、国民投票の過半数の要件を有効投票数の過半数にして、ハードルを下げるなど重大な問題を数多く内包している。一番問題なのは、改憲のための広報活動とマスメディアの無料だ。法案が成立して国会が憲法改正を発議すると、国費による無料広報活動は議席数によって決まるとなる。改憲賛成の政党が国会の95%を占める状況では、改憲賛成のコマーシャルが大量に流される。現在、9条については国論を二分しているのに平等には扱わず、議員数で割り当てるとはまともな広報活動とはいえない。『朝日』の政治部に伺ったが、自民党が民主党案を丸呑みする方向で話が進んでいる。

 法案から漏れているのは、有料のテレビコマーシャルをどうするかという問題だ。これについては、何のルールも定めていない。国民への影響でいえば、テレビは圧倒的な力を持っている。資金力を持つ者が圧倒的に有利であり、国民のあり方・進路を決める憲法改正の国民投票が、一方的な宣伝でさらされるもとで行われるのは非常に危険だ。今の世論調査では、9条護憲は6割だが、大量の改憲キャンペーンが行われたら簡単に世論は変わる。自主的な報道を規制することはいいと思わないが、金持ちが圧倒的に有利になる意見支援は禁止すべきだと思う。民放労連は、いち早く反対の声明を出したが、MIC全体の動きは鈍く、MICに頼っていられない状況がある。国民投票法案の危険性を明らかにし、全力をあげる必要があり、もっと注目をし、対策をしっかりと持つべきだと思う。



兵庫・山本邦夫(事務局長) 春闘〜選挙で、政府の「国民いじめ」を社会的問題とすべき

 6月から民主団体と一緒に、格差を是正する共同闘争実行委員会を作ってやっている。格差を是正するためには何をすればいいか。安心できる雇用と賃金をもとめる大運動は、労働組合の社会的責任としてがんばるが、ワーキングプアが700万世帯23%に増えている状況とたたかわねばならない。

 税金の取り方・使い方、所得再配分のあり方を変えていく大運動が必要だ。サラリーマンの大増税、大儲けをしている大企業の法人税は引き下げなど、国民感情からすれば「冗談じゃない」と誰もが思っている。教育の現場では、いじめが社会的な問題になっているが、政府の国民いじめについても社会的な問題にするべきだ。二つの選挙では、税金問題で追い込めるのではないか。

 住民税の納付では、今年の6月には兵庫労連組合員数の3倍、8万人が神戸市の窓口に行ったが、来年はさらに輪をかけた引き上げだから大混乱だろう。3月の重税反対闘争で、兵商連1万人が動く。そこに労働者も大交流しようと思う。重税闘争を、地域総行動の柱に取り入れていただけたらと思う。

 映画「まあちゃんのコスモス」のチラシを入れているが、震災で亡くなった友達を思い、ふさぎこんだ女の子が周りの人の援助で立ち上がっていく映画である。リアルに描く超感動的な映画なので、製作募金に協力してほしい。来年は震災13回忌に当たり、早朝集会・メモリアル集会など全国から参加して激励を頂けたらと思う。



国公労連・河村直樹(書記次長) 改憲の『読売』に、「9条が未来を拓く」と意見広告

 昨日の経済財政諮問会議の課題は、労働ビッバン・労働法制の全面改悪です。対象は、ホワイトカラー・イグゼンプションなどの労働時間法制や労働契約法制だけにとどまらず、更なる労働者派遣法改悪、雇用保険法改悪なども想定される。こうした財界の激しい攻撃を前にして、われわれ労働組合が組織の違いを問題にしている場合ではない。教基法のたたかいに学んで、労働法制改悪の1点で組織の違いを超えた大運動・大集会の提起をお願いしたい。

 公共サービス改革法が成立した事で、4月からハローワークの一部関連施設で市場化テストが本格実施される。行政・利用者から求められたのではなく、人材派遣会社から提案されたものだ。さらに、市場化テストは競争入札で、入札価格の安いところが落札、当然人件費は抑制される。1年なり3年に契約期間を区切った入札では、常用労働者が雇われず、非正規・低賃金労働者を国や自治体が大量に発生させる仕組みとなるだろう。市場化テストの行き着く先は、国の行う教育や社会保障・医療を徹底的に縮減して、必要なサービスまでも金で買わないと買えない社会を作り出すものだ。

 憲法を守る取り組みを様々行ってきたが、11月26日の読売新聞に「憲法9条が未来を拓く」という全面意見広告を全国に掲載した。国公労連を前面に出すのではなく、いわさきちひろさんの水彩画を載せ、「9条の会」のかた5人のコメントを掲載し、「9条の会」のアピールを広く訴えた。掲載当日からさまざまな反響があった。もちろん「軍事力は必要だ」「広告は朝日新聞だけにして置け」という意見もあった。でも、圧倒的多数は「よくやってくれた」と共感の意見である。中には、「読売新聞を読んでいると、改憲は当たり前だと思っていた。9条の会の主張を見ると、こちらのほうがよっぽど正論だと気が付いた。良くぞ勇気を持ってやってくれた。これからも訴え続けてください」という意見が沢山寄せられた。独自の改憲草案まで発表し、読者を洗脳している読売新聞に意見広告を出す事で議論の一石を投じたいと思った。この意見広告は高く2500万円ほどかかったが、すべて組合員のカンパで賄うつもりだ。この後、意見広告をカラーポスターにし、皆さんにも配っていきたい。「国公労連よくやった」とご賛同いただけたら、カンパ支援もお願いしたい。



京都・河合秀明(事務局長) 労働法制改悪阻止は、労働組合の社会的責任

 労働者にとって、格差社会なぜ生まれたのか、賃金破壊と雇用破壊の側面から作られたのではないか。社会全体としては、最低生活保障制度をどのように確立するかが問われている。最低賃金闘争を、全国的に国民にどの様に提起するのか求められている。32年ぶりの最賃法の改正というチャンスをどう活かしていくのか問われている。

 京都では、労働条件分科会宛にすべての組合役員が自らの言葉で「労働法制の改悪あってはならない」という意見書をファックスやメールで送っている。また毎週火曜日の夕方、繁華街で宣伝行動を進めている。「あんたの職場から、残業しても残業代がもらえなくなる」という呼びかけに、多くの労働者が驚きをもってチラシを受け取りに戻ってくる。でも、国民全体に知られている状況にはなっていない。法案内容を、国民全体に知らせていく取り組みに全力を挙げて、改悪阻止を許さない活動は組織された労働者・労働組合の社会的責任・最大の課題だとの大きな構えでの提起が必要だ。

 二つの選挙の位置づけで、方針の情勢にたまたま選挙があると触れられているだけで、選挙に対しどう捉え、どう取り組むのかといった記述が一切触れられていない。よく読めば、地域総行動の具体化に向けてという付属文書の中に少し触れられているだけで、政治の流れを変える春闘として、構えと考え方を示すべきだと思う。

 スローガンについても、労働法制改悪が触れられていないことに疑問を持っている。ナショナルセンターとしての全労連や春闘をリードする国民春闘共闘委員会は、社会的に問われるのではないか。



生協労連・桑田富夫(委員長) 業務委託で職場崩壊。パートの仲間もあきれている

 パンフレットで、「消費税導入から18年間」の生活を振り返って払ったのは260万円、生協の家計調査を基にした数字です。組合員の皆さんが、消費税に疑問や答えを会話形式で作り、10万枚配布を予定している。参考にしてほしい。

 年末一時金闘争では、元気で激しい闘争になっている。生協・スーパー・商店など流通業界は、大変な人手不足できりきり舞いしている実態で、求人倍率が高いところはベテランが辞めて募集しても人が来ない。仕事をこなすだけでも大変で疲れきり、サービス残業も復活し悪質化している。関西で広がっているアウトソーシング、委託業者に任せる、丸投げするなど安易なコスト引き下げの手法をとる生協経営陣も後を絶たない。そこには当然、偽装請負やワーキングプアの再生産も後を絶たない。経営者が言っていたが、職場崩壊の状況が起きている。生協を愛し一生懸命やってきたパートの仲間もあきれている状況が出てきて、一時金闘争で怒りをぶつけている。

 07春闘にそのまま直結していく問題だ。時間給の大幅アップをしないと要員を確保できない。更に均等待遇への接近、パート職員をどう位置付けるか、正規労働者をどう位置付けるかをきっちりして職場の充実を図らねば、職場崩壊は止まらないと積極的にやっていきたい。

 パート・最賃法改正にふさわしい春闘にしたい。最賃審議委員獲得の取り組み、1月18日を最賃行動に設定していただき、厚労省前に中央・地方の最賃審議委員候補20名を集める。皆さんのところでも候補者が決まったら、この日に集めていただき、厚労省に「この中から選べ」と決起したい。



全労連青年部・小川 薫(部長) 過酷な青年の労働実態を隠し、放置した行政・企業

 青年の労働条件は、非常に過酷になっていて体と心を蝕んでいる。リストラで人員が減り業務量が増え、業務に必要な教育・訓練がまともにされず、即戦力として仕事をさせられ、いっそう長時間労働になる傾向がある。ベテランなら、2〜3時間で出来る仕事でも深夜になってもできない。長時間労働とストレスによって、1年でうつ病になるなどのメンタルヘルスも増加。また、景気が回復するなか、派遣・請負など非正規雇用が急増し、正規雇用の割合が低下している。従来の景気回復との違いは、雇用の増加や賃金改善など労働者に成果の配分が一律ではなく隔たっている。若い人の多い請負労働者の現状は、勤務継続でも賃金が上がらず、社会保険などの未加入者が多いなど問題があり、格差拡大についても若年層での非正規労働者の賃金格差と成果主義賃金が影響している。

 正規雇用者は、正社員だということで不払い残業を含め、非正規労働者以上に厳しい働き方を強いられ、「働いて当然」の過密労働が行われている。若者の悲惨な労働実態は明らかにされず、闇の中にとどめられている。労働組合が無く、基本的権利も知らされないで、多くの若者が働いている。若者を無法状態で働かせ、使い捨てにしている状態を放置してきた労働行政、実体を隠してきた企業の責任は重大だ。全国各地で現状改善の運動が広がり、集会を検討・実施し成功させている。

 首都圏青年ユニオンの分会が神奈川でも結成された。「青年に仕事を」「人間らしく働きたい」という草の根運動が全国に広がり、来年の5月に雇用集会の集大成として全労連青年部、首都圏青年ユニオン、全学連、民青同盟の4団体が明治公園で開催する。いま、派遣の規制緩和など雇用の流動策をやめ、安定した雇用確保、働くルールの確立が求められる。4月と7月の選挙は、青年の要求実現のチャンスと位置づけ、要求を語り、政治を語り、政治変革の世論を広げたい。今こそ、無法状態の若者の不安と悩みを取り上げ、解決のために全力を尽くしたい。






非正規の8割問題、署名の内容・規模などさらに議論

 意見は方針反映に努める。各組織でも具体化論議を

<討論のまとめー> 小田川義和事務局長

 埼労連・尾形さんからの文書発言を含め、33名の発言があった。参加状況は26単産、36地方250人、うち女性23名が参加した。 頂いたご意見は常任幹事会で論議し、春闘方針への反映に努力したい。あわせて、各単産・地方での方針の具体化論議を進めていただき、1月18日に単産・地方代表者会議を予定しておりますので、その場でのお互いの具体化状況を交流し、決起の場にしていく努力をしていきたい。

1 具体的な要望意見に関わって

 まず北海道の小室さん、自治労連の大黒さんから発言。「夕張問題」についての取り組みは、自治体再生・地域総行動の集中点としての取り組みとして受け止めたい。12月17日の現地集会には、全国的なご支援をお願いすると同時に、北海道と相談をし、運動をどう創っていくのか具体化をはかりたい。

 自治労連の川西さんらからの「8割問題」については、ご意見を頂いたうえ常任幹事会で改めて議論したい。全国一般の谷さんの意見など、「署名」の内容については時間が限られているので十分な意見交換ができるかどうかわからないが、限られた時間の中で意見交換をしたいと思う。特殊法人労連の杉浦さんから、「市場化テスト」が公務で進行するもとなか、委託先の職場の現状がこういう場で発言されたのは初めてではないかと思う。置かれている状況の厳しさ、行革と公共サービスのきわめて重要な指摘があったと思う。国公労連というたたかう労働組合の協力を得ながら、春闘共闘全体での取り組みを創っていきたい。

 埼玉の原富さんから「地域春闘」の取り組みについて、より具体的なイメージ・提案をいただき、より前進的なレベルでのたたかいを具体的に進めていく提案だと思うので、単産・地方代表者会議への常任幹事委提案や各地方段階の具体化を含め、お互いに参考とさせていただきたい。自治労連の大黒さん、公務労組連絡会の若井さんから発言された、公務3単産での地域総行動時期の「キャラバン行動」については、積極的な提案として受け止めたい。地域春闘との調整を春闘共闘全体として図っていく。京都の河合さんから二つの選挙について提案があったが、国民春闘共闘という共闘会議の性格から限界があることを理解頂いての発言とは思うが、全労連段階では別途選挙闘争方針の議論が進んでいる。それとの区分と関連を押さえた上で、補強できるかどうかは常任幹事会で議論したい。

2 スローガンについて

 かつてスローガンを公募で決定していた時期もあった。ここ数年は、常任幹事会で論議し全体の場に提案という形で進めてきている。その点では、よりその時の国民春闘としての重点・特徴を表現するものになっている。スローガンだから、言葉としての正確さと簡潔さという、やや矛盾する要請もある。

 昨日来のご意見で言えば、「安全・安心」と言う部分は治安強化のイメージを含め様々な意見があると思うが、提案している側から申し上げれば、全農協労連のおっしゃるような、地域経済の活性化ともかかわる「食の安全」「農業の再生」の意味も含め、地域社会の持続可能性を求める地域春闘強化が、憲法・平和、格差の是正、貧困の解消とも結びつく来春闘の運動目標という立場から提案している。また、北海道の小室さんから発言があり、わたしの提案の際にも触れましたが、地域社会の崩壊というべき状況が急速に表面せざるを得ない構造改革が強行され、自治体破たんの問題は07春闘での大きな課題となる状況にある。

 憲法をまもる運動にとどめるのではなく、活かす積極的なたたかいが必要と言う主張も、意見が異なるものでもないし、それが教育基本法改悪反対のたたかいでも立証されている点だと承知している。ただ、安倍政権が5年以内の改憲を公言し、来春闘の時期に改憲のための手続き法が具体的な争点となる危険性が小さくない。という点でいえば、簡潔にというスローガンの要請をふまえて、「まもろう」をより強調せざるをえない。
 これらの点を受けとめていただき、提案の原案の内容で進めさせていただきたい。

3 労働法制に関わる問題点とたたかいについて

 署名の目標が組織実勢以下というのは指摘の通り。しかし現実には、署名の洪水の状況や、12月にスタートして4月集約という期間の問題。あるいは、署名項目が非常に多岐にわたり、意義や問題意識を共有する職場段階での論議が必要ということを踏まえれば、組織の全員から集約を図る立場からすれば、現実的かつハードルの高い目標ではないか。団体要請などを通じて対外的な広がりを持つ署名として展開することは当然ですが、まず組織内での集約をやりきり、100万という目標をなんとしても達成をする積極的な立場で議論していただきたいし、ご意見はその立場でのご意見と受け止めている。

 労働法制の論議状況は、昨日のJMIU・生熊さんの発言で確認したい。改めて簡潔に言えば、労働政策審議会で、来年通常国会への法案提出を念頭に進められている論議のポイントは以下の4点だ。

第1は労働時間法制の問題で、11月10日に厚生労働省の素案が示されている。いわゆるホワイトカラー・イグゼンプションで、管理職以外にも労働時間規制緩和の対象を広げること、現にある裁量労働時間制の適用範囲の拡大。その一方で、長時間労働者に対する割増賃金引き上げの条件提示の具体化を避けるなど、6月試案からも後退した部分もあるという大改悪の内容だ。

2つ目は、11月21日に厚生労働省が素案を提示している労働契約法制。就業規則を労働契約の内容とすることを前提に、就業規則改定による労働条件の引き下げ・不利益変更を、みちのく銀行などで確定した最高裁判例で水準を引き下げ、解雇の金銭解決など認めがたい内容だ。

 3つ目に、11月24日に公益委員試案が示されている最低賃金法改定の問題。産別最賃の廃止と職種別設定賃金制度の創設、地域別最賃での地域における生計費への準拠、生活保護基準との整合性などの最賃基準見直しなどが内容。この試案には使用者が反対し、12月にさらに修正試案が求められている。ご意見で、生活保護を下回る最賃という批判にも応えて開始されたにも拘らず、論議が大きく後退してきているのは事実。また、提案でも強調したように、生活保護基準の引き下げは、07年予算編成での政府の重点課題。生活保護が引き下げられて、最低賃金は現状という危険はある。後退を許さず、全国一律最低賃金制の確立要求を強めることが重要な時期にきている。

 4点目は、11月29日に厚生労働省の試案が示されたパート労働法改定だ。パート労働者への労働条件明示の義務づけ、フルタイム正規労働者と職務・就業内容等が同じパート労働者に限定した差別取り扱い禁止、正規労働者への転換促進措置などの内容。要求からも、審議経過からしても後退。それでも使用者側は、パート労働法改正の必要なしとの立場に立ち、取りまとめが出来るか危ぶまれている。均等待遇規制の実現など、要求実現と法改正を求める運動強化が必要だ。

 このように改悪そのものの問題と、十分ではないが前進的な対応も必要なものと、玉石混合の論議となり審議が進行し、全体としては私たちが求めるものから大きく後退している状況である。ホワイトカラー・イグゼンプションの審議内容には、経済同友会が異論をとなえるという状況の変化と、経済財政諮問会議が昨日も紹介した御手洗発言なども念頭に、労働法制のいっそうの規制緩和を厚生労働省に迫るための専門委員会設置を決定するなど、状況は激しく動いている。

 全労連では、労政審議会に対する各団体からの意見書集約や、改悪内容に対する抗議・要請文の集中など、審議会段階での運動も提起。春闘共闘全体での取り組みに広げていただくことも要請したい。

4 方針案の構成ともかかわる春闘の構えについて

 昨日の提案でも述べたように、賃金引き下げ・抑制、非正規労働・間接労働の拡大、正規労働者での成果主義も使った長時間労働の強制の3点セットは、人件費削減を徹底して進める財界・大企業の90年代後半から続く戦略だ。

 その戦略を徹底していく中で、偽装請負や残業代未払いに大企業が率先して手をつけ、その違法行為への批判が高まり、修正を迫ってきたのが、この1年での特筆すべき我々のたたかいの成果だ。しかし、そのような成果に安住できないことは、JMIU・三木さんからもあったように、偽装請負解消を口実にした解雇が起きはじめ、偽装請負合法化のための法改正論議さえ強まっている状況からも明らかだ。

 また、労働法制の相次ぐ規制緩和も背景に、3点セットでの人件費削減が徹底されてきた結果、青年労働者を中心に、ワーキングプアの状態が深刻になっている。しかし今、政府・財界は、その現状の是正方向ではなく、サービス残業を合法化し、解雇の自由を企業に与え、最低賃金規制は緩和しようという労働法制改悪の準備が現に進んでいる。  格差の是正、貧困の解消は、全教からも補強いただいた点も含め、制度・政策要求と、職場・地域からの労働者の生活改善要求の両面からの取り組みを一体的に展開することが必要だ。

 労働組合が力を合わせるため、統一要求を確認し、回答日などの統一行動を設定し、官民が一体となって、要求闘争を展開する時期という春闘の位置づけをいささかも変更するものではない。しかし、同時に、07年春闘では、雇用を中心に壊された労働者保護の修復を求める運動への結集を職場と地域の両方で強め、さらなる労働者保護の引き下げ・改悪、儲けの拡大を狙う大企業・財界への批判を集中し、それを形に示す運動・行動が従来以上に必要。そのことを強調する意味で、働くルール確立の課題と運動を重点課題の最初においた。

 賃金、雇用、労働時間の改善を、職場でも、地域でも、政府にも、一体的にせまることを全体では確認いただき、トヨタに象徴されるように、儲けの自由、我が世の春を謳歌している大企業がある一方で、労働の場、生活の場でも苦しみ続けている労働者の社会的・経済的地位を一歩でも向上させるため、提起している全ての行動の成功を追求しあいたい。
 そのことの意思統一が深まった2日間の討論であったと確認することを申し上げて、集会のまとめにしたい。

(以 上)





 
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