国民春闘共闘2006年春闘方針

 

2006国民春闘方針

2006年1月17日

国民春闘共闘委員会 単産・地方代表者会議


みんなでつくろう もうひとつの日本

― はたらく仲間が元気の出る社会 ―


 T.06国民春闘の構えと情勢 


 (1)昨年秋の総選挙で自民党が圧勝し、同時に民主党も憲法改悪や公務員削減など「構造改革」推進で自民党と競い合い、「二大政党」によるオール与党・翼賛政治が急速に進行してきていることに対し多くの労働者・国民のなかに不安と危惧がひろがっている。そして小泉「構造改革」による労働者・国民犠牲の攻撃が新たな段階をむかえ憲法改悪をも政治日程にのせようとする緊迫した情勢のもとで06国民春闘は闘われる。
 自公与党が先の総選挙で三分の二を占め「改革」に対する国民の支持が得られたとして、より一層居丈高に小泉「改革」を推進する構えをみせているが国民は小泉政権にすべての政治課題を白紙委任したわけでは決してない。政府与党は所得税各種控除の廃止によるサラリーマン大増税と消費税増税、高齢者に一層の負担を押付ける医療制度など社会保障制度の更なる改悪を具体化しようと狙っている。さらに経済財政諮問会議の決定をうけて「小さな政府」論の立場から昨年末に「行政改革推進法」を閣議決定し、国・地方の公務員の定数・人件費削減、政府系金融機関の統廃合、特殊法人の統合などを計画して通常国会での法案成立を予定している。また公務労働の民営化・商品化をねらう「市場化テスト法」(公共サービス効率化法)の制定、「三位一体」改革の名による地方財政へのしわ寄せ等々「構造改革」プログラムが目白押しである。さらに自民党結党50周年記念大会での「新憲法草案」発表をふまえ、07年の憲法改悪を目標にして民主党をもまきこんでの準備がすすめられており、06年にはこれを可能にする「国民投票法」の制定の動きが加速しており、また改憲と一体となった教育基本法改悪を狙っている。1月20日から始まる第164通常国会では、こうした日本の進路と国民生活に重大な影響をあたえる悪法の上程・成立阻止、重要法案の徹底審議を求め、06春闘での経済要求実現の闘いと結合し政府・国会闘争を強化することが必要である。

 (2)新自由主義的グローバル化のもとで、多国籍大企業が地球的規模で巨大な利益をあげる一方、「底辺にむかう競争」は激化し、世界中で飢餓・貧困が進行し格差がさらに拡大し、労働組合の組織率も低下してきている。日本も例外ではなく「アジア水準」をめざす財界の攻撃のもと、勤労者の実収入は年々減少し、年収100万円以下が16.4%を占め生活保護は100万世帯を超えて増えつづける一方で、総人口の1%余りの人が100万ドル以上の純資産をもつ格差社会になっている。所得や雇用をはじめ、あらゆる格差の拡大について、世論調査でも「問題がある」とする声は全体の86%にのぼり(NHK 1月11日発表)、「格差が拡大すれば生活に困る」は、全体の24%、高齢者層の38%の一方で「高い収入を得られる」とする人は3%(毎日新聞調査 1月6日)となっている。また06春闘要求アンケート集約でも「生活が苦しい」と訴える仲間は7割をこえ、とりわけ未来を担う青年の雇用・労働と生活の悪化は深刻であり、これを抜本的に改善することが緊急の国民的課題になっている。
 一方、主要企業300社の「6期連続の経常増益」は第1次オイルショック後の1976年−80年度の5期連続を上回る見通しで(05年12月大和総研)まさに大企業の「1人勝ち状態」にある。
 全労連・労働総研発行の「06国民春闘白書」でも、大企業143社(銀行、証券のぞく)のため込み利益(連結内部留保)がこの1年間で21兆円を積み増し、204兆円の巨額にのぼっている。連結内部留保が1兆円を超える大企業は自動車、電機、電力、通信、商社、鉄道など29社あり、トヨタ自動車が10兆3613億円と断然トップである。また「白書」は、主要企業で従業員1人当たり1千万円以上の内部留保がある企業は96社にのぼっており、その従業員に月1万円の賃上げ(一時金6万円増)を実施するには、これをわずか1.8%取り崩すだけで可能だとしている。

 (3)06春闘をめぐって、日本経団連は12月13日に「06年版経営労働政策委員会報告」を発表した。報告では賃金決定方式について、例年どおり「総額人件費の徹底」「支払能力論」を打ち出し、「春闘は終焉した。春闘から春討へ」と、春闘の変質・解体を狙っている。その一方で、7年連続の賃金ダウンやリストラ「合理化」などに労働者犠牲のもとでつくられた「大企業の一人勝ち状態」に対する労働者・国民の不満や社会の批判を考慮してか、日本経団連の奥田会長や銀行協会の前田会長が「賃上げ容認」発言をせざるを得ない状況に追い込まれてきている。
 また今回のもうひとつの特徴は、後を絶たない企業の不祥事や多発する労働災害などモラルハザート、雇用差別による賃金引下げや成績・業績型賃金導入による現場力の低下やノルマ強要・過重労働による健康・精神障害の増加など「利益至上主義」の矛盾が表面化し、「『日本的経営』の再構築・再評価」をせざるを得ないほど深刻な事態を表わしている。
 他方、連合は、06春闘について月例賃金の改善を重視、「1%以上の成果配分」(連合中小は前年比+800円の6,500円)をめざすことを決めた。またトヨタをふくむ自動車総連やJC傘下の基幹労連や電機連合も4〜6年ぶりの賃上げ要求を決めるなど、06春闘は労働界が一致して「賃上げ春闘」をめざすという新たな局面を迎えた。
 こうした新たな情勢の変化は、国民春闘が一貫して切実な要求をかかげ春闘を粘り強く取組んできた反映であり、国民春闘共闘の存在と役割が高まっている。あらためて「賃上げの絶好のチャンス」とし「闘ってこそ賃上げは実現できる」という立場から攻勢的に賃金・労働条件改善の闘いに取組む。
 小泉政権が多数議席を足場に、財界と一体となって「構造改革」や憲法改悪の策動を強めている時だからこそ、労働組合がその役割を発揮して、共同の戦線をひろげ国民的な大闘争に発展させることが求められている。
 07年を焦点にして憲法から国民生活にわたるあらゆる分野で戦後史の大転換を狙う政府・財界の攻撃が強まろうとしているなかにあって、あらたな反動攻勢を許さず一致する課題での共同をひろげるために「総対話と共同」を職場・地域からより大規模に発展なければならない。さらに06春闘を通じて組合員を増やし、組織を大きくするために特別の体制をとって集中して取組もう。



 U 06国民春闘での重点課題 


(T).すべての労働者の賃金引上げを実現する春闘を

1.すべての職場から要求を組織し、ベースアップにこだわる賃金闘争を

 すべての組合が「誰でも月額10,000円、時間給100円」の賃金引上げ、「月額15万円、日給7400円、時間額1,000円」の最低賃金実現、非正規労働者の均等待遇実現などで具体的な前進をはかる。
 春闘共闘に結集する全ての組合が、(1)全ての労働者のベア(定期昇給額相当を上回る)実現(2)企業内最賃の締結・改善(3)均等待遇実現、格差是正の3点で統一闘争に取組む。
 この間の賃下げ攻撃に歯止めをかけ、さらに生活改善につながる賃上げを勝ちとる反転攻勢に転ずる賃金闘争をすすめる。同時に、定昇廃止や賃金体系改悪などの賃下げ攻撃に対しては、単産・地方組織の支援を強め断固として跳ね返す。

2.最低賃金闘争、均等待遇、公契約運動の強化

 すべての職場・組合で全労働者を対象にした「時間額」「日額」「月額」による企業内最賃協定の締結・改善を追求する。同時に最低賃金制度の改善と地域最賃の大幅引上げをめざし、2月に全国で最賃体験運動に取組むとともに、地方議会での意見書採択運動など世論をひろげる取組みを展開する。また産別最賃廃止に反対し、医療、運輸などで新たな産別最賃確立の取組みをすすめる。地域最賃については、厚労省の「最賃在り方部会」で公益側「試案」として、「生計費については生活保護との関係を考慮するべき」「地域の労働者の賃金水準との整合性」を打出すなど、我々の主張が大きく反映した内容を示しており、経営側によるまきかえしを許さず法改正によって改善を図るチャンスをむかえている。したがって組織の力を集中して、最賃審議会委員への働きかけ、国会議員要請行動などに取組む。

 全国一律最賃制の確立に向けた「最賃要求大綱」にもとづく学習と討議、署名運動などを展開する。下請単価保障、農産物の最低価格保障、最低保障年金制度の確立など全国民の最低生活保障を求める運動との結合を重視する。パートなど非正規労働者は、賃金、一時金、退職金、昇給・昇格、福利厚生などにおいて著しい差別的取り扱いを受けている。
均等待遇にむけ、
  (1)職場のパート時給の引き上げ、
  (2)未組織事業所への要請訪問、
  (3)自治体決議・意見書採択、
  (4)差別禁止・均等待遇実現の「パート労働法」の制定を求める署名の推進、ILO条約の批准、
  (5)大規模なパート労働者中央行動
などに取組む。
 自治体に対して、契約業者や下請け業者に適正賃金確保の義務づける「公契約」の運動を全国各地から取組む。
  (1)議会・自治体における意見書採択と行政指導強化を求める自治体と議員要請、自治体交渉、
  (2)労務単価の透明化をめざす調査活動、
  (3)官公需や業務委託で適正賃金を確保させる「条例化」運動、
  (4)運動推進にむけた「懇談会」づくり、学習会・シンポジウムなどの運動
を推進する。

 成果・業績主義賃金が導入されている職場では、集団的な人間関係や業務の連携が弱まり、企業の健全な発展を阻害する問題点が明らかになっている。職場の全構成員とともに、「労働者の生活や業務・経営にどんな影響を及ぼすのか」を徹底して討議し、単産・職場の闘いを相互交流し、成果・業績主義賃金の導入・拡大をはねかえす。すでに導入されている職場では恣意的・一方的査定を許さず、公開、労使協議制度を求める。


(U).守れ、いのちと安全、まともな雇用確保、CSR確立を

1.命と健康を大切に、青年の雇用確保、労働時間短縮、中小企業を守る取組み

 サービス残業をなくす取組みが前進したとはいえ長時間・過重労働は深刻化しており、労働時間時間短縮、職場の人員確保やメンタルヘルスを求める要求が一層切実になっている。医師の面接指導の要件を「月間残業100時間、本人の申出」へと労働安全衛生法が改悪され「年間1800労働時間実現」を明記した時間時短促進法廃止のもとで、職場からの取組み強化が求められている。
 したがって06春闘では、労働時間短縮、サービス残業、過労死の根絶、健康・メンタルヘルス対策の強化を重点課題として取組む。「ノー残業デー」の実施、職場の健康実態調査と労災職業病の告発・認定闘争、年次有給休暇の完全取得と時間外労働の割増賃金の改善、政府・企業に対するメンタルへルス対策の要請行動などを重視する。
 またアスベスト問題では、職場における摘発運動と調査・相談活動などを具体化するとともに、国と関連大企業の責任を明らかにし、すべての被災者を補償し防止措置をふくむ総合的な「石綿法」の通常国会での制定にむけ、署名運動や国会要請行動などに取組む。
 正規雇用による欠員補充を基本に職場の増員闘争を闘い、とくに青年の雇用を強く要求する。依然として深刻な青年の雇用、高校・大学新卒者の就労問題を、社会全体の雇用不安や労働条件切り下げ、社会保障システムの機能崩壊、後継者不足・技術力の低下などの視点から社会問題としてとらえ共同行動を展開する。また「高齢者雇用安定法」改正の4月実施にともなう雇用延長問題は、経営者の一方的な基準設定で労働者を選別するなど多くの違法、脱法行為が横行していることから政府交渉も配置して改善を求める相互交流をはかる。
 中小企業の経営環境と労働条件改善をめざす春闘を、中小企業への訪問活動、中小企業アンケートと実態調査などで具体化する。


2.企業の社会的責任(CSR)を明確にする運動の発展

 大企業のモラルハザードや企業犯罪が国内外で批判を浴び、労働者・国民の大企業の社会的責任を求める運動とあいまって、05春闘で取組んだ新たな「企業通信簿」運動、労働者自らが企業を採点する「働くチェックリスト」運動は大きな社会的反響をよんだ。
これを06春闘でさらに発展させるため
(1)職場レベルから「働くルール」をチェック・告発する取組みの重視、
(2)大企業が最高益を謳歌しているもとでビクトリーマップ運動との結合、
(3)評価にもとづく大企業との交渉・懇談の実現、
などで社会的アピールをはかる。
 法令違反を一掃し「労働におけるCSR」を国際基準に合致させるために、CSRの評価が企業の格付けに反映させるべく努力する。
「トヨタ包囲総行動」をはじめとした大企業の社会的責任追及運動を全国的に展開する。


3.リストラ推進の「労働契約法制」阻止、働くルール確立の闘い

 政府が07年通常国会を視野に準備をすすめている「労働契約法制」は、研究会の「とりまとめ」で、その名前とは全く異なり、労働時間管理を全面的に緩和する「ホワイトカラーエグゼンプション」や「解雇の金銭解決制度」、労働条件きり下げか解雇かをせまる「雇用継続型変更制度」、使用者側に労働条件切下げ・リストラのお墨付きを与える「労使委員会の法制化」などが盛込まれている最悪の「働くルール破壊法・リストラ促進法」ともいうべきものである。この労働契約法制には労働界が一致して反対しており、こうした内容の法案づくりを許さないことを基本にして、職場からの働くルールの点検・告発活動とあわせて全組合員学習をすすめる。審議会傍聴と委員への要請、政府交渉、署名、集会などを組織するとともに、法律家や女性団体などと一緒に労働者保護法制の強化を求める広範な世論形成をめざす。
 06年4月からスタートする「個別労使紛争を迅速に解決する」ことを目的に創設された「労働審判制度」については、この制度の有効な運用のために、労働者に広く啓発・宣伝を行って積極的活用をすすめるとともに、あわせて労働組合運動への理解を広げる好機とする。
 06年通常国会に「男女雇用機会均等法」が提出されようとしているが、政府の素案は間接差別の禁止の対象基準を3つに限定するなど重大な問題を残しており、あらためて妊娠・出産にともなう差別・不利益扱いの禁止、母性保護の拡充、男女ともに仕事と家庭を両立できる施策、間接差別をふくむ男女賃金格差や昇進・昇格差別の是正など実効ある法改正を求めて闘う。


(V).大増税と公共サービス切捨てを許さない闘いを職場・地域から

1.増税と社会保障削減に反対し、安全・平等な社会を

 政府与党の「06年度税制改正大綱」(12月15日発表)では、大企業の減税は続行しながら定率減税の全廃などで2兆円以上の国民負担増を計画している。さらに自公両党は、07年度をめどに「消費税含む税制の抜本改革」や所得税の税率構造・各種控除の見直しなどを計画しており、所得税増税だけでも年収300万円で41万円、600万円で73万円の負担増となり労働者にとっては二重の大増税負担が強いられようとしている。また引続く医療制度の大改悪については日本医師会をはじめ全国各地で反対運動がひろがっている。増税と社会保障切り捨てを許さない闘争を、国民生活擁護の重要な闘争であり、生存権保障の闘いと位置づけ、06春闘の重要課題として国民諸階層との共同を重視し中央・地方から国民的な運動をすすめる。


2.公務サービスと定数・給与の削減反対、規制緩和反対

 政府は国民に負担増を押付けるだけでなく、「官から民へ」「小さな政府」論の立場にたって、規制緩和とともに公務労働の営利化と公共サービスの切捨てを大規模にすすめているが、「耐震強度偽造問題」が象徴的に示すように、規制緩和・構造改革路線による「小さな政府」「官から民へ」の流れが国民の安全・安心をおびやかしていることが明らかになり、ほころびと破綻が表面化しつつある。またこの攻撃が多数の低賃金・不安定な非正規公務労働者をつくりだすとともに、国民の基本的人権を保障する公共サービスが営利中心となり不平等と格差を拡大させることを批判し、国民生活に不可欠な公務労働の拡充・改善を求めなければならない。全労連は「小さな政府=大きな国民負担に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす全労連闘争本部」(略称・もうひとつの日本闘争本部)を発足させ、改憲策動とも一体となった「小さな政府」の本質を暴露し国民世論を喚起するために全力をあげている。全労連の「もうひとつの日本をめざす全国キャラバン行動」をはじめ地域・職場での学習運動や決起集会・シンポジウムなどの取組み積極的に連帯し共に闘う。
 大規模な公務員の定数・賃金削減が、民間労働者や地域経済、国民生活に打撃をあたえ、労働条件切下げの悪循環をつくりだすことから、こうした改悪攻撃に官民・地方組織一体で闘う。
 市町村合併の強要や「道州制」導入などの反動的な自治体再編成と地方リストラに反対する住民ぐるみの運動を広げる。地方交付税の総額抑制、構造改革特区、地方独立行政法人、指定管理者制度を使った公共施設の民営化・企業参入に反対する運動にとりくむ。
 農産物の輸入自由化、BSEや国内の鳥インフルエンザ、遺伝子組み換え食品の増加など食の安全に対するとりくみを強化し、農業の再生と食の安全を求める共同を広げる。大気汚染被害者の救済、自動車メーカーの社会的責任を追及する。



(W).国民投票法案反対、憲法改悪阻止をめざす大運動に取組む

 春闘課題と結合し、憲法改悪阻止、憲法を守るたたかいに総力をあげる。与党と民主党が通常国会で改憲にむけた手続きとしての「国民投票法案」制定の動きが加速しているが、国民多数が憲法9条の改悪に反対している中にあって、国民投票法案は「9条改悪と一体となった悪法」の制定であることを労働者・国民に訴え、法案提出反対の総行動を展開する。また06年12月までに憲法改悪に反対する国民過半数署名を達成するため、06春闘では春闘共闘の全ての組合が職場過半数署名を達成する。憲法改悪に反対するすべての労働者・労働組合との共同の戦線を更にひろげる。焦点である憲法9条の改悪とともに、国民の生存権を保障した25条の改悪を重視し、職場・地域からの学習・討論と行動を強める。  憲法改悪のねらいは、アメリカと一体となって「海外で戦争する国」に日本をつくり変えることにあり、そのための憲法改悪の先導として教育基本法改悪法案の国会提出がねらわれている。子どもに「愛国心」をおしつけ、軍事大国づくりに協力させるための教育の反動化をすすめるものであり、教育労働者だけでなくすべての労働者・国民の重大課題として共同を広げて法案提出を許さない運動を展開する。  米軍主導の無法な軍事占領支配を一刻も早く終わらせ、主権を名実とともにイラク国民に返すためにも自衛隊のイラクからの即時撤退を求める。沖縄、神奈川をはじめとした米軍基地再編強化の動きは、アメリカに従属して日米の軍事一体化をすすめる極めて危険な動きであり、首長を含めた自治体ぐるみの基地強化反対運動がひろがっている。日本に存在する巨大な米軍基地の撤去闘争、日米安保条約廃棄をめざす運動のよびかけにも積極的に対応する。


(X).地域春闘の役割を重視し、06春闘を企業の枠をこえて

 「構造改革」路線の推進は、格差社会と二極化をひろげ、その矛盾があらゆる形で地域に集中し噴出している。同時に地域では、職場の垣根をこえて多様な課題での共同が発展し、公契約運動や最賃闘争など賃金闘争でも具体的な前進をかちとってきている。職場を基礎にした企業内だけの闘いにせず地域にうってでて地域にすむ人々の多様な要求実現のために闘うことが、職場の春闘を活性化させるとともに、社会的役割を大きくアピールする機会にもつながる。すべての単産・単組が地域春闘を具体化し、公契約・地域最賃・公務非正規労働者の賃金改善など「地域からの賃金闘争」に取組み、同時に未組織労働者の組織化や地域住民の要求実現、地域経済の振興、地方政治の革新など自治体闘争をふくむ地域での「総対話と共同」をひろげ共同闘争を発展させる。


(Y).要求実現に執着し、全組合員参加の06春闘へ

 06春闘にあたっては、あらためて職場から生活と労働の実態について深く討議し、全ての組合が春闘要求をまとめあげ、要求を提出するよう全力をあげる。要求確立から交渉配置、そしてストライキ行動、妥結に至る諸行動を全組合員参加でやりぬくために行動と参加形態などに工夫する。職場を基礎に、産業別を軸に、地域的・全国的に共同をひろげ、力を集中し粘り強く闘い要求の前進を勝取る。06春闘にあたっては学習と相互交流を重視するとともに、春闘に取組むすべての組合とのさまざまな交流を具体化し、春闘共闘として一致点での幅広い連帯と共同をめざす。労働組合の存在とその社会的役割を鮮明にし、国民的支持と共感のもとに要求の実現をめざす。



 V 06春闘における力の集中と統一行動 


 06春闘では、単産、地方・地域が力を集中する共通の重点課題と統一行動を明確にし、大企業包囲行動、地域総行動、社会保障闘争、改憲反対闘争、組織拡大などの取組みには、全ての組合員に有給休暇を取得しての行動参加などを訴える。
 (1)1月19日に、「丸の内昼デモ、日本経団連包囲行動」を例年以上の規模で配置する。この行動では、公務員人件費削減に抗議する総務省前行動、定率減税全廃、増税に抗議する財務省前行動、NTT持ち株会社、トヨタ東京本社前行動をあわせて展開する。
 (2)トヨタ本社を包囲する「愛知総行動」を2月11日に実施する。同時に、企業通信簿、ビクトリーマップなどにもとづく企業提言を作成して、新日鉄、住友金属、日立、日産自動車、石川島播磨重工、東京・関西電力などに対する要請、抗議・包囲行動を2月中に全国で計画する。
 (3)サラリーマン大増税をふくむ政府予算の早期審議・成立や医療改悪法案の国会提出に反対し「許すな医療改悪・大増税!2・9国民集会」(さいたまスーパーアリーナ)に積極的に参加する。
 (4)06春闘の地域総行動は、特定の行動日を設定せず、2月中旬〜下旬のゾーンで設定し、自治体・労組訪問、最賃生活体験運動、宣伝・署名行動、集会・デモなど多様な行動を計画する。あわせて、06通常国会で法案成立が狙われている「市場化テスト法」による公務・公共サービスの商品化、「三位一体改革」による地方・住民生活切捨てを許さないため、自治体・地方議会への請願・要請・懇談、地元国会議員への要請、労組・団体との対話などをひろげる。
 (5)「青年、女性、非正規労働者に光をあて、均等待遇を求める統一行動」として、3月10日に「青年、女性、パート中央行動」(5千人規模を目標)を配置する。行動・集会の運営を青年、女性、非正規の仲間が協力して企画するとともに、単産・地方組織の力を結集して成功をめざす。
 (6)06春闘の集中回答日は3月15日(水)とする。賃金闘争をめぐる新たな状況を意思統一し、全組合が第一次回答から積極的回答の引き出しをめざす。翌16日に、「ストライキをふくむ全国統一行動」を配置し、不当な回答の場合は断固としてストライキを決行する。
 (7)「重税反対3・13全国統一行動」に全国で結集する。また、憲法、増税、医療などの国民的課題と、06春闘の早期決着、「全国縦断キャラバン行動」の集結を結合した統一行動を4月14日に配置する。
 (8)第77回中央メーデー(5月1日、代々木公園)は暮らしと平和を守る国民的総決起の場と位置づけ、すべての組合が最大規模の参加で成功させる。
 (9)5月27日に、憲法・教育基本法の改悪、大増税、医療改悪などに反対する国民大集会(10万人目標)が呼びかけられ、地方や幅広い団体からの参加が求められている。この国民集会に、すべての職場から複数以上の参加をめざし、春闘のなかで参加者を組織していく。



以上