2005年国民春闘共闘情報
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第1号  2004年11月01日

 

春闘50年。要求提出、統一闘争強化を

 国民春闘共闘が05年次総会ひらく 

「05年構想案」を確認。CSRと改憲阻止も

 国民春闘共闘は10月28日、東京・全労連会館で05年度年次総会をひらき、05国民春闘構想、新年度の役員体制、予算などを確立しました。総会には28単産・団体・8地方の代表ら81名が出席、「春闘50年」「国民春闘共闘15年」の節目にあたる05春闘にむけて新たなスタートをきりました。


 
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 主催者あいさつした代表幹事の熊谷金道全労連議長は、冒頭、中越地震の被災者支援を全国の労働組合に呼びかけました。また、来年が企業内主義の弱点を克服して産業別に、全国規模で力を結集して賃金闘争をたたかうという春闘の50周年にあたること、「まともな春闘を」を掲げて立ち上げた国民春闘共闘も15年の節目になると指摘。この間、本工・正社員だけでなくパートや不安定雇用労働者を視野に入れ、国民的共同を追求するなど、積極的役割を果たしてきたことを強調。プロ野球選手会労組のストライキによって、労働組合への関心が高まったこの時期に、方針を練り上げ、05春闘を大きく前進させようと呼びかけました。


 
● 岩田事務局長が春闘構想案を提案

 反転攻勢へ全組合が要求提出

 岩田幸雄事務局長が「05年国民春闘構想案」を提案。大企業が過去最高の利益をあげる一方で国民生活の悪化がつづくなか、05春闘では「賃下げ攻勢に歯止めをかけ、反転攻勢に転ずる」と表明。最近の春闘で要求提出が7割、スト権確立が6割という状況となっていることから、春闘の原点を踏まえ全組合が要求を提出して交渉・ストに臨むことを提起しました。

 賃金闘争では、すべての組合が賃金の底上げ要求と企業内最低賃金要求、パート時間給の引上げ要求を掲げることを提起、「連合は来年もベア要求しないが、私たちはベアを要求して勝ち取ろう」とよびかけました。
 地域最賃の引上げにむけて、1000人の最賃体験と1000自治体での意見書採択に取りくむこと、全国一律最賃制度の確立をめざして大規模な署名運動を新たに始めるとともに、自治体の公契約条例制定をすすめる運動を全国各地で強めるとしています。
 CSR(企業の社会的責任)を追求する取り組みでは、新たに「企業通信簿」運動を提起。大企業での労組の有無、不払残業をはじめ労基法違反の実態、一人当たり内部留保額、環境への配慮、地域への貢献などをチェックし、社会的責任を果たすようアピールするもので、個人でも採点できるよう工夫する予定です。
 憲法改悪の動きに対しては「9条の会」に賛同するネットワークづくりと、国民過半数をめざす署名運動もすすめることにしています。

 統一行動の日程では、1月7日の新春宣伝行動、1月20日の日本経団連包囲行動、2月11日にトヨタ総行動、2月23日に地域総行動などを配置。回答指定日は3月16日とし、翌17日に統一ストライキを構えます。3月上旬には、非正規、失業者、青年、女性に光をあてた統一行動も展開する計画です。
 こうした構想にもとづき、年次総会の名において、すべての労働組合が05春闘に立ち上がるよう訴える「05春闘アピール」を発表することになりました。


 16名が発言。構想を補強

 討論では、16名の単産・地方代表や全労連からの発言がつづきました。
 通信労組の岩崎委員長はNTTが1兆5000億円の経常利益をあげながら、11万人リストラや企業年金削減の事態を紹介、「5万人サポーター」の募集に協力を呼びかけました。賃金闘争をめぐっては、「04春闘では前年マイナスで終わったが、来春闘では反転攻勢のため力を集中する」(医労連)などの決意が表明されました。
 CSR闘争ではトヨタ総行動をめぐり「今年の総行動には多くの反響があった。05春闘ではもっと全面に」などの要望が出されました。大阪労連は「大阪市内での巨大スーパーの進出計画に対して地元商店街の大多数が反対を決議し決起集会も開いている。商店街は自民党の集票基盤だが、商店街幹部とエール交換した」と地域の変化を紹介しました。
 民放労連はTBSで退職者を含む企業年金切り下げが提案されたことを報告。「これに反対する有志が『受給者の会』を立ち上げたところ、受給者の過半数が加入した」と紹介。「派遣労働者を組織している。未組織の仲間にも共感が得られるような春闘を」(出版労連)などの発言が続きました。


● 鹿田勝一氏が学習講演

春闘50年―春闘共闘の役割

 総会では、元連合通信社記者・フリージャーナリストの鹿田勝一氏が「春闘50年――春闘共闘の役割と05春闘に求められるもの」と題して学習講演しました。鹿田氏は50年の歴史を5つに区分し、その特徴を説明するとともに、春闘方式の6原則、春闘の教訓=成果と弱点・課題などについて整理し、05春闘に求められるものとして「原点重視」と「成果の維持・発展」などについて語り、たたかう国民春闘路線の継承に期待を寄せました。


● 新年度役員を選出

 代表幹事、事務局長・次長を再選

 新年度の役員体制(三役)は以下のとおり。
◇代表幹事=熊谷金道(全労連)、老田弘道(純中立労組懇)、中山伸(東京春闘共闘)
◇事務局長=岩田幸雄(全労連)
◇事務局次長=渡辺正道(全労連)、浦上義人(純中立労組懇)、伊藤潤一(東京春闘共闘)
三役はいずれも再選です。
◇常任幹事=各団体・大産業別グループより17名、特別常任幹事=首都圏地方より3名、会計監査=2名(氏名略)




 
● 主催者あいさつ  熊谷代表幹事

「まともな春闘」に関心高まる

底上げ、均等待遇、国民要求の前進を

 今年は大型台風が全国各地に被害をもたらしているが、加えて中越地震という大変なことが起きて、多くの住民、仲間たちと家族が大きな被害に会い、今なお後片付けも出来ず、避難所生活を余儀なくされている。春闘共闘としても常任幹事会で改めて被災者支援を全国の仲間に呼びかけていくことを確認しあった。被災者を激励し、物心両面にわたる支援を行っていきたいと思う。

 本日の年次総会は2005年度の春闘をいかに闘っていくのか、春闘共闘としての構想案を発表して議論をスタートさせる会議である。来年は日本の春闘の歴史が始まって50年の節目に当たる。労働戦線再編の中で「まともな春闘を」をスローガンにして、国民春闘共闘を私たちが立ち上げて15年目の春闘にもなる。お互いに日本の労働運動の弱点である企業内主義を克服して、産別に、全国的に力を集中して賃金闘争をたたかい、激励しあって、社会的相場を作りあげ、それを全国的に波及させようというのが春闘の始まりであった。

 最近では、特に社会的波及力が低下している。リストラで空前の利益を上げている大企業、そこの労働組合が要求すらしない。そういう事態や困難な状況の中で、私たちはこの間たたかって一定の前進を勝ちとってきた。また単に本工、正社員の賃金・労働条件の改善だけではなく、増大するパートや不安定雇用労働者など、すべての職場・地域の労働者、未組織労働者を視野に入れたたたかい、更には組織労働者として国民的要求の前進をめざすたたかい、国民的共同を追求しながらこの間たたかいを進めてきた。最近の春闘では、拡大する賃金水準の格差に対して、歯止めなき賃下げ攻撃を食い止め、賃金の底上げを勝ちとっている。あるいはパートなど不安定労働者の均等待遇などを大きな柱に掲げながら、時の政治課題にも立ち向かって運動を進めてきた経験がある。

 来年の春闘では、この間の教訓や経験を踏まえ、節目の春闘を契機に春闘が広範な労働者・労働組合にとって賃金・労働条件を大きく前進させる、国民的要求を前進させていく、そういうたたかいの方針を練り上げていく場に、今日の総会を進めていきたい。今年はプロ野球選手会労組がストを打って、労働組合に対する関心が多くの若者を含めて広がってきている。このときに「まともな春闘を」を掲げて、国民春闘共闘を立ち上げた私たちが、どういう方針で、どういうたたかいを展開するのかは、大きな関心が寄せられている局面での年次総会である。皆さんの積極的な討論を期待する。