2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 42 号  2005年09月16日

 

パート賃上げ、最賃・公契約、均等待遇を追求

格差と貧困を食い止める06春闘へ

 全労連&春闘共闘  第4回賃金闘争交流集会ひらく

 全労連・春闘共闘は9月15日、東京・全労連会館で第4回賃金闘争交流集会を開催し、19単産23地方から82人が参加、06春闘の具体化にむけて本格的に討論しました。


写真

 交流集会では坂内三夫全労連事務局長が主催者挨拶。05春闘の成果と地域最賃の改善を紹介し「7月までは反転攻勢の賃金闘争の流れをつくってきたと思う。政府・財界の反撃はすばやく、8月の人事院勧告、総選挙での公務員バッシング、労働政策審議会最賃部会で最賃法の改悪案…。来春闘はこれまでの賃金闘争方針では前進を勝ちとれる状況にはない。どこで歯止めをかけ、どこで突破口を切り開いていくか、情勢に見合った戦略・戦術、社会的な運動としての賃金闘争を対置しなければならない」として、積極的な討論を呼びかけました。
 伊藤圭一全労連調査政策局次長(春闘共闘常幹)が問題提起を行い、
1) 要求提出100%、要求アンケートの再構築、回答集計作業の改善、成果・業績主義賃金の阻止など賃金闘争の活性化、
2) 公務の賃金破壊を官民一体で食い止める、
3) 法定最賃制度の抜本改革、
4) 均等待遇実現にむけての取り組み、
5) 公契約運動の推進、
6) 企業の社会的責任を追求するCSR運動、
7) 庶民大増税阻止・可処分所得の増加、
8) 雇用破壊を許さない取り組み
について、具体的な方向を示しました。
 討論では、最賃・地域春闘、民間春闘、公務の賃金闘争などをめぐり、22名代表が発言しました。概要は以下のとおりです。


見えてきた「地域春闘」の課題とたたかい方

 最賃・地域春闘では、05春闘の前進面と今後の課題が熱く語られました。「男女共同参画の視点で、均等法は適用が限られるため、間接差別の禁止が重要。正規もパートも職場での均等待遇をどう進めるか、協定化や組織していくことが運動の前進につながる」(生協労連)、「青年を中心に最賃の取り組みが進む。大学の授業に呼ばれ、新聞やテレビを見て一般からの参加者が4割。DVDを作って学習会などで活用中」(道労連)、「地域では自治体のパート・臨職の賃金引き上げが重要だ。平均時給を調べ、世論に訴え、当局と懇談し引き上げていく地域春闘を」(東京春闘)、「周りの相場と自治体の非常勤の賃金で地場の時給額が決まることに着目し、自治体キャラバンに取り組んだ。“税金のムダをなくす”という当局との懇談が大事。組合活動は、かっこよく、スマートに、わかりやすく」(埼労連)、「最賃や底上げの課題が職場の議論になっていない。賃金のあり方、水準が問われている。最低生計費を調査、試算する活動を1年間取り組んでいる」(京都総評)、「最賃・底上げ・均等待遇など女性の問題を全体方針の真ん中におき、男女間格差の議論から始めた。パートの当事者が意見陳述でき、審議会の中で時給1000円の要求が当然と変わった」(大阪労連)、「最賃と公契約で経営者と懇談し理解を得た。最低制限価格には労働者の賃金(8時間分)と経営者の賃金(24時間分)が必要である。06春闘では大企業にも『統一要請書』を提出する」(神奈川労連)、「今年初めて最賃審の傍聴、陳述ができ、最賃体験・標準生計費体験の報告を行った。自交の損害賠償裁判も起こり、公益委員がナショナルミニマムと全国一律最賃制の研究を提案し、予算化された」(宮城春闘)など。



どうする?中小企業の賃金闘争

 民間春闘では、経営困難な中小企業での賃金闘争に議論が集中し、「賃金闘争の活性化のために、少数でも要求をする。職場のすべての世代・すべての労働者を視野に、青年が将来展望を持てる提起を」(JMIU)、「成果主義賃金が提案されても、組合があれば学習して食い止めているが、赤字会社や少数組合では限界がある。経営者の賃金3倍論には賛成だ」(全国一般)、「05春闘では賃金構造維持分を取り、可能なところはベアをと取り組んできた。1年・1歳を加算し同年齢で同水準に追いついているか。平均すると5400円が必要で95支部がクリアした。総額アップにならず経営側も説得できる。成果・業績が入っても年功・経験を加味して運用している」(化学一般労連)、「タクシーの全国平均年収が269万まで落ち込み、青森、熊本、大分などでは最賃以下になった。半数以上の労働者が最賃を下回っている。規制緩和に反対するたたかいとともに地域経済の活性化政策をリンクした春闘を」(自交総連)、「パート・請負・出向などの労働者は、正規と同じ仕事をしていても大きな賃金格差がある。統一要求にもとづき委託労働者の賃金を上げると正規の賃金が下がるので、正規組合員が脱退した。成果主義は賃金体系の問題でなく雇用問題だ。モノサシは時間賃金で比較するしかない」(建交労)など。



公務・関連の賃下げ阻止へ、官民一体で

 公務の賃金闘争では、公務労組連絡会から05人勧の不当性が紹介され、「いま、地方の人事委員会で闘争中。政令都市で勧告を出させず労使交渉に移行したところもある。人勧の改悪内容どおりに試算すると(生涯賃金が)地域給と成果・役職給で1000万円以上の減額となる。06春闘は賃下げ阻止のたたかいになる」(自治労連)、「“住民のきびしい目”があるのだから、公務員組合に対する注文も書いてほしい。福岡の双葉学園(私学)では人勧準拠のマイナス賃金が遡及して押し付けられた控訴審で福岡高裁が『プラスを真似るのはよいが、マイナスを真似る必要はない』と断定した」(全教)、「郵政公社が発足して2年、成績主義が導入され、多くの人がぜんぜん上がらない。評価が正しくされているのか。組織拡大と共にアンケートを取り組む」(郵産労)などの発言がつづきました。




 
朝日火災争議、27年ぶりに中労委で和解

解決金と昇給・昇格差別の是正へ

 全損保朝日火災支部にたいする組織介入、賃金昇格差別の是正を求める争議は15日、中央労働委員会での和解が成立し、27年ぶりに労働者側の勝利で解決しました。

 主な解決内容は、
1) 会社は19名の組合員に対し、解決金として3億5000万円を支払う、
2) 原告のうち在籍者8名の職能資格・等級及び職位、基本給を是正(標準労働者水準の9割弱)し、6人を課長格・課長にする、
3) 在職者のうち不当配転が是正されていない6名を原則として配転前の職場に戻す、
4) 組合活動休暇を不承認として賃金カットした金額を返還する
――というものです。

 提訴団の大田決代表は、「和解内容は満足のいくものではありませんが、賃金差別と不当配転を基本的に是正させ、不当な差別は許されないということを明らかにできたと思います。今後とも働きやすい職場の実現をめざしていきたい」と語り、長年にわたる争議への支援、とりわけ今年3月に発足した「野村證券の責任を追及し、朝日火災争議をかたせる会」の活動に感謝の意を表明しました。
 この間、「かたせる会」では、毎月の野村證券本社への包囲行動、全国の主要支店への要請、金融庁や中労委への要請行動を繰り返し、労働委員会や最高裁判決に従わない野村證券の社会的責任を追及してきました。





 
 つなごうよ くらしと平和 守る手を




国民春闘共闘情報