2004年国民春闘共闘情報
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第 9 号  2004年1月16日

 

すべての労働者に賃上げを

年金の大改悪阻止へ国民的共同

 第1回単産・地方代表者会議で「春闘方針」を確立


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 国民春闘共闘委員会は15日午後、東京・全労連会館ホールで第1回単産・地方代表者会議をひらき、04国民春闘方針を確立しました。賃金闘争では「誰でも月額1万円以上、時間給50円以上」の底上げと、最低賃金改善の取りくみを重視。年金改悪阻止を「最大の国民課題」として、4・15ストなど国民的共同による大規模な反対運動を確認しました。会議には、全労連、純中立労組懇などの22単産と9地方から74名の代表が参加しました。
 あいさつに立った熊谷金道代表幹事は、3月期決算で上場企業の2割が過去最高益を見込んでいることにふれ、「ひと握りの大企業が人員削減、下請単価の切り下げなど労働者・中小企業の犠牲で利益をあげる歪んだ日本経済がつくられている」と指摘。大手労組が賃金要求を見送るなか「未組織や春闘共闘に入っていない労働者など地域のすべての労働者を視野に、広範な国民の共同で賃金の底上げを実現しよう」と、今春闘の意義を強調しました。

 岩田事務局長  賃上げ要求、年金改悪阻止、統一行動など提案

 会議では、労働総研の大木一訓代表理事が、日本経団連の「04年経営労働政策委員会報告の特徴とねらい」について講演し、多国籍企業の論理押し付けを批判。全労連・春闘共闘が国民各層と共同すること、未組織労働者の組織化や賃金底上げを実現することが財界の構想への最大の反撃となるとして、労働運動の発展に期待を述べました。(要旨は次号)
 国民春闘方針案を提案した岩田幸雄事務局長(写真)は、国民生活全体を破壊する小泉政権、問われる大企業の社会的責任など、情勢の特徴と闘いの基本について説明するとともに、重点課題として、
1) すべての労働者の賃上げ実現、
2) リストラ・雇用破壊に反対、
3) 年金の大改悪・大増税阻止、
4) 公務員制度、地方自治と地域経済を守る、
5) イラクへの自衛隊派兵阻止

などの5課題を紹介し、4・15年金スト、回答引出し・要求実現の3・18統一行動の具体化を中心に提案、説明しました。主な提案内容は以下のとおりです。
 賃上げ要求目標については、

第一に「誰でも月額1万円以上」「時間給50円以上」の賃金引上げ要求を求めてたたかうとしています。

第二に「04春闘では賃下げは絶対に許さない」「全労働者の賃上げをはかる」こと、すべての組合が賃上げ要求を提出することを強調しています。

第三に、全国一律最賃制・産別最賃の確立、企業内最賃・地域最賃の引上げをめざし、「時間額1000円・日額7400円・月額15万円以上」の最低賃金要求を掲げ、最賃1000人体験運動などを推進します。

第四に、すべての組合が「時給1000円以上」などパート労働者の時間給引上げの取りくみを強めることを強調しています。


 年金改悪阻止を04春闘の最大の国民課題としてたたかいます。保険料の大幅引上げ・給付の大幅削減に反対するとともに、対案として、
1) 基礎年金の国庫負担をただちに二分の一に引き上げること、
2) 年金の支え手である労働者の雇用と生活を安定させること、
3) 200兆円を超す積立金を計画的に活用することを要求、その財源も提起しています。

なお、「最低保障年金制度」創設の具体案とパート労働者の厚生年金加入については引き続き検討することにしています。
 04春闘の主な統一行動については、
1) 1月21日は、日本経団連をはじめNTTやトヨタ、JR、国立病院、関係省庁への抗議要請行動、
2) 2月13日に「パート中央行動」、3月5日に「青年中央行動」と「女性菜の花行動」、
3) 2月25日は、地域を起点に労組や各団体が地域要求・各分野の要求をもちよって「全国1000地域(自治体)」を目標に宣伝・署名、自治体・企業・労組訪問、集会・デモなどを展開、
4) 2月中に要求提出をおこない、回答確約・促進の産別行動を重視し、3月17日に集中回答日、翌18日に回答引出し・要求実現の全国統一行動を配置します。
5) 春闘最大の全国統一行動として「4・15年金ストライキ」をかまえ、連合系の組合や業者・農民団体、市民団体などにも幅広く呼びかけることとしています。

 重点課題の共同行動として、緊迫するイラクへの自衛隊派遣に抗議・反対する緊急集会の具体化(2月13日=明治公園。3月20日=国際共同行動への合流)も提案されました。



 
経営者に賛同求める。全国キャラバンも

 年金闘争へ決意。職場環境と賃金、産業政策など活発に討論 

 年金闘争をめぐっては、「経営者に対し、年金改悪に反対する行動への賛同を求めていく。労組との共同を強め、改悪を利用した賃下げや雇用破壊を行わないよう要請する」(JMIU)、「ストができる単組は断固追求し、できなくても全員参加の行動を工夫する。1万人年金オルグを要請中」(自治労連)、「2カ月間かけて全国キャラバンを予定。35都道府県で早朝からストに入る」(通信労組)などの決意が語られました。生協労連は「『年金の財源になるなら消費税の増税は仕方がない』という人が増えてきた」ことを紹介、学習の強化を強調しました。
 職場環境と賃金闘争、産業政策をめぐっても現状報告と取りくみが次々紹介されました。
 民放労連は、政府が2011年に地上波アナログ放送を打ち切り、デジタル放送に切り替えること、それにより約1億台のテレビが買い替えをせまられること、テレビ局やプロダクションがデジタル化投資を迫られ賃金・労働条件の原資が侵食されている状況を紹介。一方的な政策に反対して国民的な署名運動への協力を訴えました。番組の質向上のためには制作プロダクションの賃金改善が必要として、下請労働者の最低賃金の引上げを求めてたたかう考えを示しました。
 化学一般労連は、化学工場で相次ぐ重大事故にふれ、労災保険の民営化に反対するたたかいを強調しました。民営化されれば営利のために、労災認定は厳しくなり、「過労死認定」はなくなると指摘。民営化論を再浮上させない取りくみへの決意が述べられました。
 自交総連は、タクシー事業の規制緩和を背景に、年収が10年前、20年前の水準になり、多発する交通事故、タクシーの売上げを狙った強盗の急増などの実態を報告。適正な車両数や運賃制度、タクシー免許など規制の強化に向けてたたかう決意を語りました。





 
 春闘で 明日を変える 未来を拓く