2004年国民春闘共闘情報
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第 10 号  2004年1月23日

 

ベアゼロ・賃下げはやめろ!

昼休みデモ、日本経団連に抗議

 1・21大企業包囲、国立病院・トヨタ・NTT行動


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 国民春闘共闘と東京春闘共闘は21日、04春闘の第一次全国統一行動として「大企業包囲行動」を展開しました。ベアゼロのトヨタ東京本社やリストラを強行するNTT持株会社に大企業としての社会的責任を果たすよう要求し、国土交通省には国鉄1047名解雇事件の早期全面解決を、厚生労働省には国立病院職員の雇用継続を要請しました。これらの行動には、官民各単産と地方(東京・神奈川)から昨年を上回るのべ2150人が参加しました。(全国の取りくみ状況は集約中)
 昼休みにはオフィスビルが立ち並ぶ丸の内中通りから大手町までデモ行進(写真)し、解散地点の日本経団連前で抗議行動を実施、「04国民春闘・闘争宣言」(単産・地方代表者会議で採択)を読み上げました。
 日本経団連前での行動で、主催者あいさつした坂内三夫全労連事務局長は、経団連の春闘終えん論を批判し、「大企業は労働者犠牲で利益をあげるのではなく、労働者に安定した賃金を支払って個人消費と景気を回復させるべきだ」と訴えました。 参加者は「すべての労働者・国民との共同をすすめ、国民総決起のたたかいを展開し、政府の悪政と大企業の横暴に挑む」という決意を込めた闘争宣言に拍手を送り、「賃上げで生活改善をはかろう」「リストラ・首切りをやめろ」などのシュプレヒコールを轟かせました。

 トヨタ東京前  賃上げ・公害防止で社会的責任を

 文京区・後楽園近くにあるトヨタ東京本社に対する抗議行動には300名が参加。「ふざけるなトヨタ、もうけを労働者へ。賃上げこそが景気回復!」(神奈川公務公共業務共闘・作)の大きな横断幕も掲げられました。
 全労連の大木寿副議長は、日本経団連の企業行動憲章が「従業員のゆとりと豊かさ」などをうたっていることにふれ、「トヨタ自動車は昨年1兆4000億円の利益をあげながら労使一体でベアゼロを決め、多くの大企業が追随した。今年度も1兆5000億円の利益といわれている。ベアゼロをやめて大幅な賃上げをすべき」と述べ、奥田会長の出身企業であるトヨタが社会的責任を果たすよう強調しました。
 労組員に混じり青いタスキをかけた東京大気汚染公害裁判原告団の参加者も見られました。米谷事務局長があいさつし、欠陥エンジンを作りつづけた自動車会社の社会的責任を追及。「2・11トヨタ総行動」へバスを仕立てて参加すると決意を表明しました。



 
多額の老人保健拠出金、赤字組合を助けて

健保・共済組合の代表が厚労省交渉

 国民春闘共闘と全労連は1月20日、建交労、生協労連、全教の代表とともに、健保・共済組合が直面している「赤字健保組合の救済」と「老人保健拠出金・退職者給付拠出金の負担」問題に絞った初めての厚生労働省交渉を実施しました。
 席上、国民春闘共闘・岩田事務局長は、健保連の平成14年度決算見込によると総額で約4000億円の赤字で過去最高になることや、この2年間に109組合が解散させられたことなどを紹介、その背景として「収入では、リストラによる人べらしと標準報酬月額のマイナス、支出では老人保険拠出金と退職者給付拠出金の負担増」をあげ、拠出金負担の軽減についての行政努力と、赤字健保組合への補助金について善処を求めました。
 対応した健康保険組合係の笠原係長は、赤字健保組合への補助について「法律的根拠がないために財務省から『なぜ出すのか』といわれている。きびしい中小企業をかかえる政管健保に補助をしているので、保険料率が82‰以上の中小健保組合にも補助をしている。予算額が減っているので危惧されているようだが、総報酬制の導入によって中小健保組合の財政も好転したと聞いており補助額は減少した。きびしいところについては従来どおり補助している」と回答しました。
 また、老人医療企画室の西澤係長は、老人医療について平成14年の「法改正」内容を説明して公費50%、拠出金50%となったことを紹介。「高齢者医療費を抑えるための制度を創り、最高額の北海道、最低額の長野県の違いを明らかにするなど新しい指針を出した。各県は平成16年には高齢者医療費の分析、把握をおこない、抑止効果も出てくると思う」とし、拠出金総額が平成15年の7兆円から16年には6兆4000億円に減少すると回答しました。要求の『拠出金総額の25%以内とする制度』については法律事項だとして、暗に難しいことを匂わせました。
 回答を受けて各代表が、健保・共済組合の苦しい財政実態や、赤字解消のための資産売却、運営の民主化など労働組合としての活動も紹介し、ひきつづく行政努力を要請しました。


運用利回り引き下げ、「401k」移行の提案も

企業年金学習会に10単産から20人

 国民春闘共闘は20日、厚生労働省交渉にひきつづき全労連会館で「企業年金問題学習会」をひらきました。制度移転や運用利回りの引き下げなど問題が表面化している通信労組、化学一般労連、全農協労連、生協労連、全損保、民放労連と公務三単産などから20名が参加。講師の講義を聞いたあと、具体的な対応をめぐって討論しました。
 「企業年金の問題点と対策について」講義した上席地方社会保険監察官の廣部正義氏(全厚生労組副委員長)は、
1) 企業年金の種類、
2) その位置づけ、
3) 企業年金改悪の背景、
4) 闘いの方針

などについて解説し、問題提起しました。
 討論では、化学一般労連より現状と問題点が報告されました。「2012年に税制適格年金が廃止になるのに伴い、向こう8年でリスクの大きい確定拠出型(401K)か、会社負担が大きい確定給付型か、給付額を市場金利に連動させる「キャッシュバランス型」かの選択を迫られている。いずれも運用利回りは現行水準(4.5〜5.5%)から下がり、給付額が大幅に減少する。従業員40〜50人規模の企業は中退金へ移行しての減額になる」ことから、当面する問題として、
1) 単組ごとに対応を迫られていること、
2) 会計法上、積立不足分は負債に計上され、4.5%の運用利回り確保が困難なため「401Kにしてくれ」との提案があること、
3) 「401K」では月額36,000円の掛け金が最高で、単純計算しても勤続38年で1,641万円にしかならず大幅な減額になる

ことなどが指摘されました。
 参加者から同じような悩みや問題点が指摘され、生協労連は厚生年金基金の運用利回りを3年前に5.5%から引き下げたが追いつかず、結局は代行返上してキャッシュバランス型(年金給付型)に移行したと報告。全国約360事業所・4万6000人が加入しており、この措置には労組としても同意してきた経緯と、いま経営側がポイント制による退職金の引き下げを狙っていることを紹介しました。
 討論を受けて、
1) 事態の推移を見ながら適宜「学習会」を開催し、労働者にとってより有益な方向を追求する、
2) 不当な国際会計基準の押付けを規制することや各種企業年金の運用基準の是正など対政府要求を練り上げていく

ことを申し合わせました。





 
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