2003年国民春闘共闘情報
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第66号  2003年8月27日

 

賃上げ率は過去最低の1.63%

 03春闘結果。厚生労働省のまとめ

 主要企業の03春闘の賃上げ率(定期昇給込み、加重平均)は、昨年を0.03ポイント下回る1.63%で、1956年の調査開始以来、過去最低となりました。厚生労働省が26日に発表したものです。 前年割れは6年連続。賃上げ額は5,233円で、前年を32円下回りました。(「朝日」8/27付)
 産業別に見ると、石油製品6,764円(1.56%)、自動車6,330円(1.92%)、食料品・たばこ6,293円(1.90%)、造船6,000円(1.86%)、非鉄金属5,997円(2.07%)が比較的高く、鉄鋼3,795円(1.28%)と電力3,613円(1.25%)が低調でした。なお、集計企業は東証と大証の1部上場企業で資本金20億円以上、従業員1,000人以上、労組のある189社。平均年齢は37.2歳、現行ベース(賃上げ前)は32万1308円でした。

「定昇のみ」が5割。03春闘で日本経団連

 03春闘では2社に1社が「ベアなし・定昇のみ実施」だったことが、日本経団連が20日に発表したアンケート調査結果でわかりました。503社が回答したものです。
 今春闘でベア・定昇とも実施したのは全体の4.3%の企業で、50.1%が定昇のみ。このほか、定昇縮減(8.6%)、ベア・定昇とも実施せず(5.0%)、定昇実施時期の先送り(1.6%)、時限的な降給(1.4%)、恒久的な降給(0.2%)といった「定昇の調整」などを実施した企業は合計16.8%にのぼりました。今後の望ましい賃金決定のあり方として、「定昇プラスベア方式でいくべき」としたのは0.6%でした。

トラック最賃確立へ東京の9産別

 ○…「賃下げに歯止めをかけ安全運行を」と、連合、全労連、中立などナショナルセンターの枠を超えた9産別がトラック産別最賃の確立へ向け共同の運動を展開しています。運賃ダンピングや過労運転などにともなうトラック事故を防止する運動の一環です。
 ○…トラック最賃で共同しているのは東京の9産別。連合の運輸労連、交通労連、港運同盟、自運労、新運転、全逓日逓と、全労連の建交労、中立の全港湾、東京港湾です。東京トラック運転者最賃対策会議を設置し、学習会を含めて今後のトラック最賃確立へ意欲を燃やしています。
 ○…続出するトラック事故の背景には長期不況による貨物数量減少の反面、規制緩和で事業者数が増加し過当競争の弊害が指摘されています。運賃低下は会社の92%にのぼり、過労運転、過積載、速度超過など深刻なトラック運送事業の危機と労働条件の悪化が目立っています。
 ○…安全運行と適正運賃は全日本トラック協会も要望し、運賃低下の歯止めとしてトラック最賃に関心を寄せる経営者は多い。国会では90年にトラック最賃について「確立に努めること」との付帯決議が採択され、96年には労使・学識者で最賃調査研究委員会も設置されています。
 ○…高知県ではすでにトラック最賃が設定され、日額7,280円。東京で新産別最賃を設定するには、トラック対象労働者約11万人の3分の1以上の合意が必要となります。9産別で約3万人であり、今後、他の流通関係産別にも働きかけ、05年の申出へ向け準備をスタートさせました。
 ○…いまや社会問題化したトラック事故。「低賃金を長時間労働、過労運転でカバーする過当競争を阻止し、公正競争確保の社会的システムとして、トラック最賃の確立をめざしたい」と東京交運労協の越田公雄議長は抱負を語りました。




 
 <最賃闘争> 各地方のとりくみ (4) 




 青森  「時給605円は安すぎます」と意見陳述

 「これ以下の賃金は違法です」という青森県の最低賃金は現在、時給605円。8時間フルに働いても1カ月手取りで7〜8万円がいいところ。生活保護の水準よりも低い最賃が労働者に低賃金を押しつけています。県労連は、7月9日全国の運動に呼応し、最賃の引き上げを求める「最賃デー」にとりくみました。
 青森労働局に対する要請行動には県労連から4人が出席、各テレビ局も取材に訪れました。地域ではチラシまきの宣伝行動も取り組まれました。中央最賃審議会が「目安ゼロ円」の不当な答申を出した直後の7月29日、県最賃審議会で「ひだまり」の有馬書記長が、県内労働者の実態と低すぎる最賃について10分間の意見陳述をおこないました。意見陳述を実施している県はまだ少なく、昨年に続いての意見陳述が注目されています。

 (県労連あおもり 8/5付より)  


 福島  初の意見陳述。「せめて隣の宮城と同額に」

 小川英雄県労連議長は7月11日、福島県最低賃金審議会特別部会で「意見陳述」を行いました。これは、県労連として始めてのことです。
 概要は◆最低賃金の目的、◆最低賃金引下げは、日本経済を悪化させる、◆生活保護基準すら下回る現行最賃、◆最低賃金法違反の実態、◆福島県より低いランクの県の最賃が高いという矛盾などについて述べました。
 結論として、少なくとも今年の福島県の最低賃金時間額は、福島県がCランクになった意味を発揮するためにも7円のアップでCランクの最低金額=隣の宮城県と同額となる金額にすることを求めました。

 (福島県労連 8/1付より要約)  


 東京  働けば生活できる最賃求め、座り込み

 7月24日、中央最低賃金審議会は最低賃金の引き上げの目安を「0円」と答申しました。昨年の「目安は示さない」に続き、2年連続の据え置きとなりました。
 東京春闘共闘は、東京最低賃金審議会開かれる7月29日、正午から会場の東京労働局前にて座り込みを行い、出席する最低賃金審議会の委員に対して、時給1000円以上、全国一律最低賃金制の確立を訴えました。座り込みには約70人が参加し、それぞれの立場からのリレートークがおこなわれ、「最低賃金で生活できるかと試したが病気になった。医療費を払ったとたん支出オーバーになってしまった(建交労)」「公共工事の代金はたたかれ続け、働いてもくらせない賃金になっている(東京土建)」「現行の仕組みでは時給1000になるのに100年かかってしまう(全国一般)」と訴えました。
 8月6日、東京最賃審議会はパート・臨時労働者の期待に背いて「金額改正なし」を答申しました。

 (TOKYO働く仲間 8/15付より)  


 石川  県最賃審を傍聴。史上初に委員も緊張

 石川県の最低賃金審議会は7月31日、金沢市の六華苑で開かれ、石川県労連から3人が傍聴に参加しました。この審議会に傍聴者が出席するのは初めてで、委員の皆さんも緊張しているとの件の関係者が話していました。
 審議会は午後1時半から行われたが、公益側5人、使用者側5人、労働者側5人のうち労働者側2人が欠席と報告されました。審議は事務局から中央最低賃金審議会目安の報告(引き上げ額ゼロ円)、平成15年賃金改定状況調査結果が報告されました。また、産業別最低賃金決定申請がUIゼンセン同盟県支部、JAM石川福井、情報関連労連石川地方協議会、県百貨店最低賃金連絡会議から五産業について出ていることも報告されました。
 私たち傍聴者はここまでで、この後は非公開で行われました。労働者側の委員は連合が独占しており、しかも審議会には欠席することなどもってのほかです。また、肝心の金額決定のプロセスを非公開にするなどとても納得できないものでした。
 しかし、「初めての傍聴で各委員も緊張している」と言わしめることができ、これからも各種審議会に私たちの要求を突きつけ傍聴し、闇で決定するのでなくガラス張りの審議をさせるよう変えていかなければならないと感じました。

 (石川県労連 8/20付より)  


 愛知  愛労連が引き上げ求めて座り込み

 愛労連は7月25日、愛知地方最低賃金審議会の本会議が開かれた中区の合同庁舎2号館前で、最低賃金引き上げを求める座り込み行動を行いました。中央最賃審議会が2年連続の据え置きを各県の審議会に答申したためです。座り込みには名勤生協労組のパートの仲間や自治労連、国公の仲間が参加しました。参加者は「答申には生活実感がまったく感じられない。審議委員自身が最賃生活体験をしてほしい」と語っていました。
 愛知最賃審議会は、こうした声を無視して据え置き(681円)を8月6日に答申しています。

 (愛労連 8/10付より)  


 広島  県労連、4年連続で「異議申出」を提出

 8月6日付で公示された広島県最低賃金審議会の「広島県最低賃金の改定決定についての意見」で「改正決定することを必要と認めない」との意見に対し、県労連は8月20日、永見議長など7人が参加して、広島労働局長に宛てた「異議申出」を行いました。賃金引上げの柱として最低賃金の改善を求める運動を続けてきた県労連としては、4年連続のこととなります。
 申出書は「意見」について「労働者が人間らしく生き、働く権利を充足するために設けられた最低賃金制度の趣旨を踏まえないもの」と批判。最低賃金額を月額15万円、日額7400円、時間額1000円にするよう要求しています。
 異議申し出理由として
1)県労政管理室が発表した2003年春闘における賃金引上げ率1.33%を下回り、「これ以下の賃金で働かせてはならない最低基準」から「ここまでなら賃金を引き下げることができる基準」への変質をいっそう進める
2)生活保護基準を下回る現状を早急に打開すべき
3)県勢でBランクの広島県よりも下位に位置するCランクの7県よりも定額になっている

ことなどを列挙。労働局の真摯な検討と審議会での徹底した再審議を要望しています。

 (県労連FAXニュース8/25付より抜粋)  





 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復