2003年国民春闘共闘情報
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第55号・夏季第2号  2003年6月20日

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 

一時金から社保料負担が12%以上

過半数に回答、70万円の攻防

 夏季一時金第2回集計  03夏季闘争は山場へ

2003年6月20日 2003年国民春闘回答集計センター

 1.2003年国民春闘回答集計センターは6月19日、各単産・地方共闘より6月中旬の夏季一時金回答報告を受けて第2回集計をおこなった。登録組合の52%にあたる440組合が回答を引出し、うち196組合が妥結している。

2.回答+妥結状況は別表のとおり、集計結果は以下のとおりである。

 
(1) 登録組合数 839組合    
(2) 回答組合数 440組合 回答引出し率 52.4%
  2次回答以上 92組合 上積み回答率 回答数の20.1%
  前年実績額以上 118組合   回答数の26.8%
  妥結組合数 196組合 妥 結 率 登録数の23.4%
(3) [回答+妥結]      
  単純平均 440組合 2.11カ月+α 701,674円
  前年同期比 (02.06.20) 731,488円 −4.08%
  前年実績比 (同一組合) 735,639円 −4.62%
  加重平均 9.0万人   815,006円

3.回答・闘争状況の特徴はつぎのような諸点である。
 1) 6月中旬を迎え、多くの単産が夏季一時金の回答指定日を迎えており、春闘未解決組合の対策とともに、交渉集中日、統一行動日などを設定して回答引出し、上積みのとりくみをすすめてきた。前回集計時(6月6日)以降、新たに回答を引出してきたのは全農協労連と建交労・製造、自交総連(自教)、郵産労、全信労、地方マスコミ(新聞)で、回答引出し・上積みがすすんでいるのは建交労・建設、同・運輸、JMIU、化学一般労連、同・紙パ、全証労協、広告労協、映演共闘、日本医労連の各組合などである。こうして、登録31単産・部会のうち27組織の回答が出揃ってきた。また、支給日が6月30日や7月上・中旬に集中していることから妥結する組合も増えつつある。

 2) 回答状況の傾向は、他の調査機関の集計が大企業を中心にプラス傾向であるのに対して、春闘共闘の集計では同一組合の前年実績比で4.6%の減額を押し付けられていることである。対比可能な25組織中、引上げ率がプラスになっているのは化学一般労連、全労連繊維、郵産労、全信労、地銀連、地方登録組合の6組織のみで、同マイナスになっているのは建設業、製造業、運輸通信業、金融保険業、マスコミ関係業などの19組織となっている。この背景には、「ベアゼロ」「賃下げ」の春闘にひきつづきなりふり構わぬ総額人件費削減攻撃や、中小企業での業績悪化と社会保険料負担増(別掲)、金融機関の融資ストップなどがあげられる。こうしたなかで、個別にみると118組合(27%)が前年実績額を上回って奮闘している。

 3) 回答月数は平均2.11カ月で、前年の2.16カ月分を割り込んでいる。また、配分にあたっては「能力・業績配分」の提案が今年も報告されており、これを押し返すために交渉を継続している組合もみられる。一方では、多くの組合が若年者救済の一律支給(プラス・アルファ)を堅持しているのも春闘共闘参加組合の特徴である。

 4) 最高回答次数は小坂研究所支部(JMIU)をはじめ出版労連2組合と民放労連、映演共闘、日本医労連の各1組合、計6組合が第4次回答を引出している。最高月数は出版労連の3組合と民放労連1組合の計4組合が5.0カ月分。高額回答については出版労連の組合が269万円余を獲得しているのをはじめマスコミ関係中心に150万円以上が15組合報告されている。



4.他団体の集計結果について

連 合 6月10日現在 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 265組合 1.99カ月 542,945円 +1.47%
加重平均 58.4万人 2.21カ月 683,944円 +5.44%


日経連 6月18日現在 月 数 金 額 (引上げ率)
単純平均 大手178社   662,299円 +1.68%
加重平均     809,104円 +4.32%



 5.一時金から差し引かれる社会保険料の高負担について
 健康保険料、介護保険料、雇用保険料、厚生年金保険料などの社会保険料は今年の4月から総報酬制となり、一時金からも同率の保険料を徴収することになっている。このため、月々の保険料率は若干低減されているが、一時金からも徴収される保険料率は厚生年金の6.79%、健康保険料の4.1%など合計では12.05%になり、その分手取りが大幅に減少する。
 国民春闘共闘事務局の試算では、支給総額が平均的な67万2000円(2.1カ月分)の場合、社会保険料の合計は8万0976円になり支給時に天引きされる。昨年の9408円に較べ7万1568円の負担増である。同様に、50万円の場合は保険料合計が6万0250円、100万円では12万0500円になる(別表参照)。扶養家族の少ない人は所得税も大幅に課税され、まさにダブルパンチ。社会保険料は労使折半が原則で、使用者側も同額を支払わなくてはならず、中小企業では経営圧迫の一因として回答引出しの障害になっている。


 6.郵政公社「基準内賃下げ」の仲裁裁定について
 中央労働委員会は17日、日本郵政公社の労使に対し、「職員の基準内賃金を一人平均7,747円(2.58%)引き下げる」旨の裁定書を交付した。郵政事業がはじまって以来初の基準内賃金の引き下げになる。中労委は昨年度も基準内賃金を5,717円(1.9%)引き下げるよう裁定したが、一時金の減額で処理してきた。
 郵産労は同日、「中労委の『仲裁裁定』に対する声明」を発表し、

1)今回の仲裁裁定は、給与特例法が適用されていた当時と同じ「民間及び一般職国家公務員との賃金格差是正」に基づくもので違法である、
2)公社のもとでは「職員の生活実態と、そこからの要求と、公社の経営実態・判断から交渉により決定されるべきもの」である、
3)「仲裁委員会の判断基準そのものが誤り」であり、郵産労は仲裁裁定を認めるわけにはいかない


として厳重抗議した。


 7.今後の闘争強化について
 労働者の生活維持・改善の切実な要求にもとづく夏季一時金闘争は、ほとんどの単産が回答指定日を迎えたものの、ようやく過半数の組合が回答を引出した段階である。多くの単産が支給日との関係で一時金の決着期を「6月末」または「7月上旬」としており、23日からの週が最大の山場になろうとしている。各民間単産では、改めて交渉集中、闘争強化の統一行動で決着をはかろうとしている。また、7月9日には春闘共闘・全労連の「最賃デー」と公務労組連絡会の中央行動も準備されている。こうして、夏季一時金、最低賃金、人勧闘争と、延長国会での「イラク特措法案許すな!」など悪法阻止のたたかいが連動した熱い夏になろうとしている。



(以 上)




 
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