2003年国民春闘共闘情報
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第31号・回答第2号  2003年3月28日

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 

上積みすすみ加重平均6,153円へ

統一行動で引出し、2次3次回答も

 3月中、下旬段階の回答について 

2003年3月28日 2003年国民春闘回答集計センター

 1.春闘回答集計センターは3月27日、2003年国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より3月中・下旬の回答を中心とする第2回目の報告を受けた。第1回集計(3月13日)以降、全農協労連、建交労建設、化学一般労連、全労連繊維、建交労鉄道、全労連全国一般、全印総連から初めての報告があり、JMIU、建交労運輸、生協労連、出版労連、民放労連、日本医労連、地方マスコミなどの各組合が新規と上積み回答を引き出しつつある。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 929組合 33単産・部会中 17単産が引き出す   
(2) 回答組合数 246組合 引出し率 26.5%  
  うち2次回答以上 40組合 上積み率 16.3%  
  うち前年実績以上 88組合 回答数の 35.8%  
(3) 単純平均 246組合 5,626円 同率 1.85%
  前年同期 257組合 6,068円 同率 1.92%
  前年同期比   −  442円   −0.07P
  加重平均 5.9万人 6,153円 同率 1.92%
  前年同期 7.4万人 6,962円 同率 2.03%
  前年同期比   −  809円   −0.11P


88組合が前年実績プラス、40組合が上積み回答

 4) 全体の傾向について
 (1) 大手組合の「ベア要求せず」、経営側の「定昇・退職金削減」などリストラ・人べらしと一体となった春闘攻撃のもと、JCなどの「賃金体系維持(定昇相当分)」や能力・業績配分での収拾を睨んで、春闘共闘各組合にも同水準の回答=定昇相当分の4000〜8000円台の第1次回答が出されている。とくに、中小では深刻な不況、デフレのなかでの業績不振・赤字、社会保険料の使用者負担増などを理由とした「ベアゼロ(定昇のみ)」が圧倒的で、一部には賃下げ回答も見られる。定昇制度のない企業では「回答延期」が多く、出ても1000〜5000円台が多数を占めている。

 (2) こうして、新規の超低額回答と先行組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5626円(1.85%)、一人当たりの加重平均は6153円(1.92%)になった。2週間前の第1回集計と比較して単純平均、加重平均とも増加傾向を示した。単産ごとの前年同期比ではほとんどがマイナス傾向のなか、生協労連は額・率ともプラス傾向で、化学一般労連、全労連繊維と日本医労連は金額がプラス(率はマイナス)でがんばっている。これらの単産は昨年の春闘で定昇攻撃を受け、理論学習をしながら総反撃してきたことが共通している。

 (3) 3・13第4波全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、3月24日からの週に集中団交やスト含む統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、建交労運輸、出版労連、日本医労連、地方マスコミなどの40組合が第2次〜第3次の上積みをかちとっており、これらの単産では単純平均が上昇しつつある。

 (4) この間「1万円以上」の回答が14組合報告されている(登録外は除く)。これまでの最高は出版労連の組合で1万4630円(第3次回答)である。前年実績額との比較では88組合がプラス(同額16組合含む)をかちとり、最高は生協労連の組合で前年比プラス4389円である。回答次数ではJMIUの各組合が3月5日、13日と2波の統一ストライキを背景に、第5次回答1組合、第4次回答2組合、第3次回答2組合、第2次回答10組合でかちとり、全体水準の引上げに貢献している。


 3.パート賃上げ・企業内最賃改定など制度的要求の獲得状況について

 パートの賃上げ、企業内最低賃金の改定や雇用保障、労働時間短縮など職場要求の前進もすすんでいる。3月20日現在、6単産からのべ288組合(前年は5単産のべ145組合)の制度的要求前進の報告が寄せられた。傾向としては各々が減少ぎみながら、粘り強く要求実現を追求している。

 生協労連では、25組合がパート労働者の時間賃金を2.60円から10円(平均4.59円)引上げ、ひきつづき奮闘している。このほか、建交労、出版労連、日本医労連、全労連全国一般、JMIUなど(いずれも集約中)でパート・アルバイト等の賃金・労働条件改善をかちとっている。

 企業内最賃は、建交労運輸部会が主要都市の業種別集団交渉などで「18歳最賃」を16万6800円(東京)〜17万8000円(京都)で改定し、各種最低賃金・最低保障をのべ23支部分会が改定、引上げさせている。全印総連では11組合が企業内最賃を15万円以上に、出版労連もまず3組合が15万8000円以上とした。各単産とも地方本部や単組からの改定報告が日を追って増えている。

 このほか、建交労では退職金増額、労災上積みで成果をあげ、「戦争放棄など平和と民主主義擁護」で合意した関西生コン支部などが20日に2時間ストを決行した。日本医労連では4組合が夜勤制限などの要求で成果をあげている。(獲得状況は本紙3月21日付「第29号」に紹介した)


 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月19日現在、連合の第1回集計の回答+妥結状況は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 176 64.4 5,539 1.75 5,638 1.79 5,096 1.72 5,205 1.77

 2) 3月19日現在、日本経団連調べの回答+妥結状況は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 74 - 5,390 1.69 5,384 1.70 5,135 1.67 5,277 1.71



地方選挙と結んで要求実現へ。4月闘争の強化を

 5.国民春闘共闘に結集する各単産は、新賃金の3月決着をめざし、「賃下げ」や「ベアゼロ」、回答延期の流れを変えようと、3月中、下旬のスト含む統一行動などで奮闘してきた。しかしながら、きびしい経営環境を反映して経営側のガードは固く、個別の中小労使では解決できない実態もあり、多くの中小労組のたたかいは4月段階へ移ろうとしている。
 この間、各単産では闘争委員会、代表者会議などをひらき、国民春闘共闘第5回常任幹事会の「確認事項」をうけて、改めて労働者の生活悪化と税金・社会保険の新たな負担増、切実な要求に立ち返り、賃上げ、パート賃上げや企業内最賃、雇用確保などの実現にむけて「納得できる解決」を追求しながら粘り強くたたかう決意を固めあっている。とくに、今春闘で目立つ「手当の廃止」「定昇削減」などの回答については、いったん実施すると簡単には戻らないことから、原則的な対応で臨んでいる。不当な押し付けには、産別独自の統一行動をかまえて撤回を迫ることが重要になっている。
 また、急展開している「イラク攻撃即時中止」「健保本人3割負担凍結」「労働法制改悪反対」などの要求課題については、これから本格化する地域春闘のなかでおおいに宣伝し、一斉地方選挙の重要な争点にしていくことが期待されている。各単産、地方春闘共闘は課題別の集会・デモ、宣伝行動とともに「4・16―18第5波全国統一行動ゾ―ン」にむけて、総反撃の春闘を盛り上げようとしている。

(以 上)




 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復