国民春闘共闘2003年春闘方針

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国民春闘共闘委員会「03春闘方針」

すべての職場・地域から国民総決起春闘を

2003年1月15日

第2回幹事会総会・確認

1)03春闘はどんな情勢のもとでたたかわれるのか

(1) 深まる雇用、くらし、いのち、平和の危機

<1-1> 03春闘では、空前の倒産、解雇、失業、過労死、自殺、賃下げが労働者と国民に覆いかかるであろう。今でさえ、日本経済と国民生活は破滅寸前なのに、小泉内閣が不良債権処理の加速でさらなる景気悪化、デフレ経済を深刻にする破滅への道を暴走しているからだ。このままでは、新たに100兆円をこえる貸し剥がし、数万社におよぶ企業倒産、300万人をこえる失業者など際限のない倒産・失業地獄が出現しかねない。
 国民の生命と財産、社会の安全・安心も崩壊の危険にさらされる。今でさえ儲けのためなら何をやってもいいという企業のモラルハザードが食肉偽装、狂牛病、原発の事故隠しなどを招いているのに、小泉内閣が、医療、労働、教育、農業などあらゆる分野の規制緩和をおしすすめているからだ。セーフティネットは口先だけで、政府が通常国会に提出する03年度予算案は、失業給付・生活保護・年金の削減、医療や介護の負担増、消費税の増税など、国民の生存権をも奪う内容となっている。
 03春闘は、財界による賃下げ・リストラ攻撃や「春闘解体」の策動がいっそう強まるもとでたたかわれる。財界は、「賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に、社会的横断化を意図して闘う春闘は終焉した」と「春闘解体」を宣言している。また、「賃上げは論外、定期昇給も凍結・見直しすべき」と、あからさまな賃下げ春闘を唱えている。

<1-2> さらに、03春闘では世界と日本に戦争の足音が日増しに高く聞こえてくるであろう。アメリカによるイラク先制攻撃が秒読み段階に入っているからだ。圧倒的国際世論が一方的な武力行使に反対しているのに、小泉首相は「選択肢として理解できる」と容認している。日本国憲法を踏みにじって、日本を「戦争する国」につくりかえる有事法制の制定や、「愛国心」教育などそのための人づくりをねらう教育基本法の改悪も、03春闘における 小泉内閣と国民との重要な対決点となる。


(2) たたかいの前進の条件と展望

<1-3> 同時に、03春闘情勢は攻撃のきびしさの一面だけでない。「この不景気を何とかしてほしい」「仕事を増やして暮らし・営業を保障せよ」「医療や年金改悪を凍結せよ」「外形標準課税の導入、消費税率の大幅引き上げを行なうな」「小規模自治体の切りすてなど、一方的な市町村合併を見直せ」「一方的なイラク攻撃、有事法制反対」などの声が全国津々浦々にまきおこり、小泉内閣の政策転換を求める運動として広がっている。
 また、この間の運動によって政府も私たちの要求を一定考慮せざるを得ない局面をつくりだしている。それは、サービス残業の改善や過労死認定基準の緩和に関する行政通達、緊急地域雇用創出交付金の増額、長野、千葉、宮城の地労委における非連合推薦候補の任命、公務員労働者の労働基本権に関し労働組合の主張を全面的に認めるILO結社の自由委員会勧告が出されたことなどに示されている。

<1-4> 深刻な状態悪化が労働者の意識変化を促し、春闘と労働組合への期待を広げ労働組合間の要求の接近や共同の気運を高めている。03春闘には、みんなでたたかえば前進できる展望が多いに高まっている。すべての職場と地域から学習と討論を強め、たたかい前進の条件と展望を明らかにし、積極的・攻勢的な春闘に立ち上がろう。雇用、くらし、いのち、平和を守るために、現状を憂えるあらゆる社会勢力との共同を追求し、すべての職場・地域から国民総決起春闘を前進させよう。



2)03春闘をどんな春闘として前進させるのか

(1) 職場・地域・あらゆる分野から国民総決起の春闘を

<2-1> 個別企業における賃金や労働条件についても、財界や政府が直接介入して抑制攻撃を強めているもとで、春闘といえども職場の労使交渉だけでは要求の抜本的前進が困難になってきている。また、労働者だけでなく中小企業、自営業者、農漁民、高齢者、青年・女性、自治体、医療関係者などのあらゆる国民各層・団体に対して、政府・財界による系統的で全面的な支配網が張りめぐらされているからである。
 したがって今日の日本社会では、それぞれの分野で各団体が独自の運動を展開するとともに、要求の実現を拒んでいる政府・財界に対して国民的な戦線を築いてたたかうことが重要になっている。春闘共闘委員会は、労働者の要求実現をめざす統一闘争としての春闘を強めるとともに、すべての人びとの仕事と生活、権利と平和を守る社会的運動として国民が総決起する春闘の前進を追求する。


(2) 雇用・生活破壊に歯止めをかける反転攻勢の春闘を

<2-2> この間の春闘での奮闘にもかかわらず、労働者の年収は3年連続のダウンを余儀なくされている。加えて、03春闘では健康保険や年金・介護保険料の引き上げ、配偶者特別控除の廃止、発泡酒・たばこ税の増税によって、労働者に年間10万円を大きく上回る負担増が待ち受けている。また、続発する倒産・解雇などが労働者を強迫観念に追い込み、長時間・過密労働、サービス残業に駆り立て、過労死や自殺の急増を招いている。
 ガマンしていても、こうした状況は決して改善されない。すべての労働組合が「これ以上の雇用・生活破壊は許さない」との決意を固め、春闘に総決起する以外に解決の道はない。春闘共闘委員会は、全労働者の賃金底上げ、最低賃金とパート労働者の時間給改善、過労死・サービス残業の根絶などを求める最低規制闘争を土台に、官民・地方一体となって反転攻勢に転ずる03春闘を展開する。


(3) 地方政治の民主的転換と結合した地域春闘の前進を

<2-3> 日本中の多くの地方・地域で、商店街は「シャッター通り」と化し、工場からは機械の音が途絶え、田や畑が荒れ果てている。労働組合が地域で住民、市民団体、行政、中小企業、地域金融機関などと連携し、地域社会の活性化に向けた役割を発揮することが求められている。春闘共闘委員会は、小規模自治体の切りすてなど地域破壊攻撃がいっそう強められるもとで、単産・地方共闘が一体となって地域春闘の前進を追求する。
 また、03春闘は自治体の首長選挙など統一地方選挙と連動してたたかわれる春闘となる。政治の民主的転換なくして労働者の要求実現も困難になっているもとで、春闘共闘委員会は職場・地域で労働者の要求と国政・地方政治とのかかわり、魅力ある地域づくりの方向を積極的に討論していく。



3)賃金破壊に歯止めをかける底上げ、最賃闘争

(1) すべての労働者に「10,000円以上」の賃金底上げを

<3-1> 03春闘における賃上げ要求目標として、第一に「誰でも月額10,000円以上」要求をかかげる。具体的な金額は、財界の賃下げ攻撃を跳ね返して全労働者の賃金底上げを実現するために、
1)圧倒的多数の労働者・国民の支持と共感、
2)社会保険料引き上げや増税などからの生活防衛、
3)不況克服・日本経済の再生、
4)03春闘要求アンケート結果

などを分析し、春闘共闘委員会としてすべての労働者に呼びかける視点から設定する。
 春闘共闘の要求アンケートは、加重平均31,027円、3分の2ラインは20,767円になっている。平均要求については、全労働者を激励し、単産が合意できる方向を引き続き検討するが、03春闘では要求アンケートの集計結果などにもとづき各単産・地方において具体化することとする。春闘共闘委員会は、大量宣伝などで積極的な賃上げこそが景気回復、デフレ経済克服の決め手であることを国民合意に高める努力を行なう。また、労働者への一方的な犠牲転嫁によって溜め込んでいる大企業内部留保の社会的還元を要求してたたかう。


(2) すべての時間給労働者に「50円以上」の賃金引き上げを

<3-2> > 03春闘における賃上げ要求目標の第二に、「誰でも50円以上の時間給引き上げ」をかかげる。地域・業種などによる大きな賃金格差が存在し、パート労働者にも賃下げ圧力が増しているもとで、すべての時間給労働者の賃金引上げをめざして提起するものである。時給50円以上の引き上げ要求と時給1,000円以上への到達要求をかかげ、すべての労働組合、未組織事業所、自治体などへの要請行動にとりくむ。
 超党派でつくるパート議員連盟が、通常国会に議員立法で提出する「パート均等待遇法案」の骨子を発表し、また大阪府をはじめいくつかの自治体がILO175号条約の批准、パート均等待遇などを議会採択するなどパート均等待遇が社会的世論となりつつある。03春闘をパート春闘と位置づけ、「誰でも時給50円以上」の賃上げ、均等待遇を明記したパートタイム労働法の改正をめざす。


(3) 最低賃金闘争とリビング・ウェイジ運動の推進

<3-3> 賃上げ要求目標の第三に、「時給1,000円以上」「日額7,400円以上」「月額150,000円以上」の最低賃金要求をかかげる。全国一律最賃制の確立にむけ単産・地方での大規模な最賃体験活動の組織化、最賃1,000万人署名運動、自治体における決議運動などを推進する。また、重点業種を設定した産別最賃の確立・改善のとりくみを具体化するとともに、地域最賃では生活保護やランク別最賃額の逆転現象の解消を重視してたたかう。
 さらに、自治体が発注する事業における労働者の労働条件や自治体が雇用する臨時職員などに対する公正な労働条件確保は、高品質の公共サービスを提供するうえで欠くことができない。公契約における公正な賃金の確保、リビングウエィジなどを全国的な運動の交流・激励を強めて推進する。


(4) 差別賃金の是正と官民・地方一体の賃金闘争の重視

<3-4> 男女賃金格差の是正、パート労働者の一時金・退職金をふくむ差別的取扱いの改善などを重視する。能力・成果主義賃金の導入・拡大や、民間・公務を問わず強まっている退職金の改悪・削減に反対するたたかいを重視する。また、「高卒初任給・180,000円以上」など青年労働者の自立できる賃金要求を重視する。
 春闘前段における労組・事業所訪問行動、3月中旬の民間の回答引き出しとヤマ場、5月〜6月にかけての地域最賃闘争のヤマ場、7月〜8月の人事院勧告時期の春闘全体を通して官民・地方一体の運動を追求する。
 当事者組合との協議・合意もなく、賃金引下げという労働条件の不利益変更を一方的に行なったマイナス人勧の違法・不当性を追及する。公務員労働者に対する賃金の不利益遡及が、人事院勧告に準拠して賃金が決定される労働者のみならず、民間をふくむすべての労働者に影響することへの怒りを運動化するため、国公労連などが行なう「集団訴訟」を官・民・地方一体で包んでたたかう。



4)倒産・失業社会を改善し日本経済の再生を

(1) リストラ「合理化」、労働法制反対のたたかい

<4-1> 解雇、希望退職、遠隔地転勤、パート労働者や国立病院賃金職員の雇い止めなど、無法・人権無視のリストラ「合理化」攻撃が吹き荒れている。不当な解雇・人員整理を規制し、労働者の雇用と人権を守る働くルールの確立をめざし、職場闘争、産別統一闘争、制度・政策闘争を三位一体のたたかいとして展開する。
 NTT東日本会社は、平成14年度末51才以上59才以下の社員について、雇用形態・処遇体系の再選択を強要してきた。春闘共闘委員会は、引き続きNTT「合理化」を大企業のリストラに反対する拠点闘争に据え、NTT総行動の展開、不当配転撤回を求める裁判闘争など、通信労組を全国的に支援する。また、7,000人をこえる国立病院賃金職員の雇い止めを許さないたたかいを重点に位置づける。

<4-2> 雇用保険制度の抜本改悪、解雇ルールの自由化、労働時間法制のホワイトカラーへの適用除外、労働者派遣、裁量労働制、有期雇用契約、有料職業紹介のさらなる規制緩和など、労働法制の再改悪を阻止するために全力をあげる。春闘で、国会議員・政党への要請、国会前座り込み行動などを波状的に展開する。
 3年単位の中期的運動と位置づけ推進している働くルール署名については、通常国会に上程される労働法制改悪法案審議と切り結んでたたかうため、03春闘期間中は働くルール署名の一環として「緊急国会請願署名」にとりくむ。春闘で少なくとも全組合員分(150万筆)を全組合が集約する。


(2) 労働時間短縮、サービス残業・過労死の根絶

<4-3> 労働時間短縮による雇用拡大を重視する。年間81億円の残業代を払わせてきたサービス残業の根絶のたたかいについては、3月を「サービス残業根絶月間」に設定し、職場の実態点検活動、ノー残業デー(第三水曜日)の実施、労基署への告発と監督強化などにとりくむ。違反実態の改善を拒否する企業との裁判闘争も検討するとともに、制裁金制度の創設などを内容とする法的規制をめざしてたたかう。

<4-4> 必要人員までも削減するリストラ「合理化」の強行のもとで、年次有給休暇の取得率は48.4%まで低下している。これらが労働者の健康破壊を招き、定期健康診断の有所見率は10年前に比べて倍化し44.5%に達している。全組合が職場の健康実態調査、改善闘争にとりくみ、過労死や労災職業病の防止、安全衛生活動の強化、メンタルヘルス対策の確立などを要求してたたかう。


(3) 雇用を増やし、地域経済を守るたたかい

<4-5> 「地域雇用創出交付金」の就労期間の延長、対象業務の拡大、労務費の適正な積算基準の設定、失業者団体・労働組合・NPOへの発注、地方自治体への交付金の増額などを求めてとりくみをすすめる。補正予算や03年度政府予算で、「地域雇用創出交付金」の抜本的な増額・改善を要求して対政府闘争を展開する。すべての都道府県で、ハローワーク前でのアンケート活動、失業者の要求にもとづく自治体や関係当局との交渉、「失業者ネット」の組織化、「失業なくせ県内行進」などの共同行動にとりくむ。

<4-6> 中小企業は長期不況、需要の停滞、下請け単価の低落、不良債権処理策の加速などのもとで存続の危機にさらされている。地域の経済・雇用を支える中小企業支援策の確立、下請け関連二法の厳守と適用拡大、外形標準課税の導入や信金・信組など地域金融機関の再編に反対する共同闘争をすすめる。02春闘の教訓を生かして、各地で商工団体と共同の地域実態調査の実施を検討する。



5)社会保障改悪、増税反対など国民共通要求の実現

(1) 医療・年金など社会保障改悪阻止のたたかい

<5-1> すべての組合が、春闘における社会保障闘争を「第二の賃金闘争」と位置づけ、社会保険料の引き上げや給付削減反対のたたかいを強化する。政党に対し、医療改悪の中止を求める「凍結法案」を通常国会に提出することを要請するとともに、全国各地から宣伝・署名活動、医師会をはじめとする医療関係団体との懇談、医療改悪中止を求める自治体決議運動、1組合員5筆を目標とする社会保障署名などを推進する。
 厚生労働省が新たにうちだした「医療保険制度の体系のあり方」「新しい高齢者医療制度の創設」などの撤回、社会保障闘争のさらなる高揚をめざして、2月3日に「許すな3割負担、医療・年金・介護の改悪ストップ国民集会」を開催する。国立病院、社会保険病院、労災病院、自治体病院など、公的病院の統廃合に反対してたたかう。

<5-2> 当面する年金給付額の削減、支給開始年齢の引き上げなどに反対してたたかうとともに、さらなる保険料負担と給付削減の方向を打ちだした厚生労働省の「年金改革の骨格に関する方向性と論点」の撤回を要求する。03春闘を新たな出発点に、全額国庫負担の「最低保障年金制度」の確立を求める運動を開始する。
 介護保険料の値上げ、介護報酬の引き下げに反対し、低所得者への減免措置や高齢ヘルパー利用者への軽減措置、介護サービスの改善などにとりくむ。公的保育制度の拡充、男女とも安心できる子育て支援を求めるとともに、障害者分野の実効ある公的支援制度をめざすたたかいにとりくむ。


(2) 政府予算の組み替え、大増税阻止のたたかい

<5-3> 政府の03年度予算案は、不況の深刻化で税収が大幅に落ち込み、総額81兆7891億円のうち国債発行が44.6%を占める。一方で健保本人3割負担の導入、年金給付の削減、配偶者特別控除の廃止による所得税の増税、発泡酒やたばこの増税など、歳出と歳入の両面から国民のくらし、経済・景気を破壊する内容となっている。1月20日開会の通常国会において政府予算の組み替えを要求する運動にとりくむ。

<5-4> 配偶者特別控除、特別扶養控除、生命保険料控除、損害保険料控除の廃止など、労働者への大増税阻止を春闘の重要課題に設定してたたかう。最低生活費の非課税原則の立場に立ち、現行103万円の課税最低限度を生活保護基準である180万円に引き上げることを求める。また、赤字中小企業にも課税する外形標準課税の導入、消費税の免税点縮小や税率の大幅引き上げ、酒・たばこ税の見直しなどに反対して、広範な国民共同のたたかいを展開する。集中回答日(12日の翌日に配置する第四波全国統一行動を、「3・13重税反対全国統一行動」と連動させて全国各地で成功させる。


(3) 市町村合併、農業、災害対策などの運動

<5-5> 労働、教育・研究、医療・福祉、農林・水産などの規制緩和に反対し、国民生活の安定に対する国や自治体の責任を追及する。とりわけ、構造改革特区を活用しながら日本の主食・米を市場原理にゆだねる米政策大綱に反対し、WTO協定の改定、緊急輸入制限の発動、食品の安全・安心の確立、日本農業、地球環境を守る運動にとりくむ。

<5-6> 地域経済問題を正面に据え、地域金融機関や中小零細企業・商店の倒産、賃金切り下げの加速、失業者の増加などをくい止める運動にすべての労働組合がとりくむ。各地方・地域で、住民の切実な声を結集した要求・政策を自治体に提言し、住民世論の形成、首長や自治体関係者との共同を探求しながら、自治体リストラや小規模自治体の切りすてを許さず、住民本位の自治体への転換をめざしてたたかう。

<5-7> 関東大震災80周年の03年を前に東京都が自衛隊を前面に出した防災訓練を実施し、小泉内閣も防災体制を隠れ蓑に危機管理体制をつくりあげようとしている。有事法制とも連動する国民の権利を踏みにじるたくらみを明らかにし、住民本位の防災対策を求める。公的支援・個人補償の住宅再建支援法の制定、見直し時期を迎える被災者生活支援法の改善、三宅島被災島民の支援活動、阪神淡路大震災8周年メモリアルデーをはじめとして、全国各地で防災運動に積極的にとりくむ。



6)ILO勧告の遵守、公務員制度のとりくみ

<6-1> ILO理事会は全労連の提訴を全面的に受け入れ、政府に対して「公務員制度改革大綱」の再考を求める画期的な結社の自由委員会勧告を承認し、日本の労働者・労働組合を大きく激励した。しかし日本政府は、「わが国の法制度や実情についての理解に欠け、承服しがた」との見解を発表して、勧告を無視する態度に固執している。マスコミは「ILO勧告の判断を支持する」として、日本政府の態度をきびしく批判している。

<6-2> ILO勧告に示された日本の公務員労働者の労働基本権問題は、
第一に日本国憲法に定める民主的原則の完全実施をめざすたたかいであり、全国民的な課題である。
第二に、公務員労働者の権利剥奪・制限は過酷なリストラ・雇用不安にさらされている民間労働者の状態と表裏一体であり、働くルールを確立する全労働者の闘争課題である。
第三に、天下り禁止や腐敗・不正を摘発することなど、行政の民主化をはかるうえで不可欠な課題である。
第四に、アジアを始め世界の労働者に影響を与える国際的な課題である。


<6-3> 春闘共闘はこうした視点に立って、当面する03春闘での獲得目標を、
1)ILO勧告に従い政府がすすめている「公務員制度改革」作業を中止し、「大綱」を白紙撤回すること、
2)公正で民主的な公務員制度に改善すること、
3)当該労働組合や全労連との実効ある交渉・協議を行なうこと、
4)労働組合との合意をぬきにして、一方的に関係法案を国会に提出しないこと

におき、春闘共闘委員会の重点課題としてたたかいぬく。

<6-4> 具体的行動として、
1)全組合員を対象とした学習と対話活動、そのためのパンフ・学習資料の作成、
2)政府・及び担当大臣との交渉、国会議員、各政党への要請行動、
3)3月地方議会での決議、意見書採択運動、
4)著名人・有識者アピールの推進、
5)働くルール、民主的公務員制度の確立を求める「全国キャラバン」の実施(5〜6月予定)、
6)国際的意見交流などを検討し具体化する。



7)イラク攻撃、有事法制反対、民主主義擁護の運動

<7-1> 03春闘では、米軍の対イラク武力行使、有事立法、イージス艦のインド洋派遣、ミサイル防衛システムの日米共同開発など、平和をめぐる重大な事態が進行するもとでたたかわれる。先制攻撃戦略など、国連憲章にもとづく世界の平和秩序を破壊するアメリカに追随する日本政府をきびしく批判し、悲惨な戦争の惨禍に国民を引きずりこんだ歴史を繰り返さないために、「平和を守る03春闘」をたたかう。
 アメリカのイラク先制攻撃や有事法制に反対する有識者・著名人などの呼びかけにこたえ、広範な国民各層の共同を広げることを重視しつつ、緊急事態を迎えた場合は全国民的な大集会などを呼びかけて労働組合の役割を発揮する。

<7-2> 政府は、個人情報を取り扱う際の「基本原則」と、報道機関などを除く個人情報取り扱い業者の罰則付き「義務規定」を柱とする個人情報保護法案についても、一部修正して成立をねらっている。しかし、同法案は言論・表現の自由に重大な規制を課し、個人情報保護でも修正では繕えない欠陥があり、廃案にして抜本的に見直す以外にない。「疑惑の政治家保護」「内部告発つぶし」となる法案反対のとりくみを展開する。

<7-3> 倒産、失業など社会不安が広がるもとで、子どもと教育をめぐる状況も深刻さを増している。また、学習指導要綱の本格実施により、学校現場における平日授業の過密化、土曜補習の広がりなど、学校5日制の趣旨に反する事態もおきており、03春闘で広範な父母・教師・国民とともに民主教育を確立する運動にとりくむ。
 また、政府は国際競争力に勝つことを目的に、よりいっそうのエリート教育の推進、「愛国心」教育の強化など、日本を戦争する国にするための人づくりをねらう教育基本法の改悪法案を国会に提出しようとしている。広範な共同戦線を築き、教育基本法の改悪を阻止するための運動にとりくむ。



8)闘争態勢の確立と全国統一行動の展開

(1) 要求・スト権の確立と対話・共同の推進

<8-1> 中央における国民春闘共闘委員会とともに、各地方でも引き続き広範な労働組合に呼びかけ「春闘共闘」や「連絡会」の結成に努力する。また、大産別ごとの共闘・共同をいっそう強化して春闘をたたかうとともに、女性、青年、パートなどの独自の春闘態勢を確立し、それぞれが多様なとりくみを展開する。
 要求提出が70%台、ストライキ権確立が60%台にとどまっている現状の克服をめざし、「労働組合がしっかり春闘をたたかってこそ職場が守れる」ことの確信を広げ、全組合が春闘要求やストライキ権を確立して春闘に決起する。各単産は、2月末までの対使用者要求の提出、スト権確立に努力する。

<8-2> 03春闘で、全組合が組織拡大を推進する。また、03春闘は連合や大企業労組の多くが賃上げ要求提出を断念するもとで、これまでにも増して春闘共闘委員会の要求とたたかいが注目される。広範な労働組合の対話と共同、保守層をふくむあらゆる社会勢力との対話をいっそう推進する。


(2) 03春闘で展開する主な統一行動

<8-3> 03春闘における「第一波全国統一行動」を1月21日に配置する。この統一行動では、中央・地方で大企業に対する要請、抗議の宣伝・包囲行動などを計画する。また「NTT総行動」など、内部留保を溜め込みながら労働者に犠牲を転嫁する大企業の社会的責任を追及し、国民的な世論喚起をはかる。

<8-4> 「第二波全国統一行動」を2月20日に実施する。この統一行動は、地域を起点に国民総ぐるみで決起する統一行動と位置づけ、広範な団体が地域、各分野の要求をもちよった地域からの「国民総行動」として成功させる。そのために、中央・地方で「実行委員会」の結成などをめざす。単産と地方・地域の共闘組織が一体となった行動を追求するとともに、この統一行動ではすべての組合員が何らかの行動に参加することを重視する。

<8-5>03春闘の「第三波全国統一行動」として、3月4日に単産横並び「実行委員会方式」による霞ヶ関中央行動を計画する。この統一行動では、各単産・大産別共闘による宣伝、省庁包囲・交渉などとともに、全体が統一した「春闘決起集会」や国会請願デモを検討することとし、「実行委員会」で具体化をはかることとする。

<8-6>03春闘の集中回答日を3月12日(水)に設定し、13日に「第四波全国統一行動」を配置する。この統一行動では、官民のすべての組合が短時間でもストライキ、職場集会などで決起する。また「重税反対3・13行動」と結合し、各地で業者、農民などと共同の宣伝、集会、デモなどを計画する。第四次統一行動以降の統一行動については春闘の進捗状況などをふまえて検討する。



以上